3月21日に新作『レッキング・ボール』をリリースしたブルース・スプリングスティーンだが、作品の内容について「エセ愛国者」と批判されていることにブルースが反論している。アメリカの深夜番組『ザ・デイリー・ショー』に出演したブルースは司会のジョン・ステュワートのインタヴューに応えて、自分の音楽にレッテルを貼りたがる批判的な論客への反論を繰り広げた。
アメリカでは3月5日にリリースされ、ブルースにとって9枚目のチャート1位にも輝いた『レッキング・ボール』は、リーマン・ショックを引き起こした金融業界や大企業の当事者らが責任も負わされずにのうのうと生きているのに対してなぜ人々の生活は破壊されたままなのかと問うプロテスト・ソングを多く収録した作品になっている。こうした作風や政治的な意見をトーンダウンさせようとする勢力からのプレッシャーには屈しもしないし、たじろぎもしないとブルースは語っている。
「最近ではこの国の二極化はあまりにも過剰に進行していて、人をエセ愛国者か擁護者のどちらかに仕立て上げようとするんだな」
さらにブルースはこう続けている。「ある意図を持った政治的な意見や表現そのものが政争や政論の堕落によってきちんと受け入れられなくなってきていて、アメリカに関する議論を幼稚化させてしまっているんだ。俺はそれに与するわけにはいかないし、そういう書き方をこれからもするつもりはないよ」。
さらにシングル"ウィ・テイク・ケイア・オブ・アワ・オウン"については「あえて問いを投げかける」ために書いた曲だとしていて、新作は過去30年ブルースが進化させてきたテーマや哲学の延長上にあるとも認めている。
なお、ブルースは先週サウス・バイ・サウスウェスト・フェスティヴァルで行った基調講演で、エルヴィスの細身のパンツのかっこよさに触発されてギターを買ったと観衆に語った。
(c) NME.COM / IPC Media 2012