1978年リリースの作品のマスター音源がすべてレコード会社からアーティストに強制返還?

1978年リリースの作品のマスター音源がすべてレコード会社からアーティストに強制返還? - ブルース・スプリングスティーン1978年作『闇に吠える街』ブルース・スプリングスティーン1978年作『闇に吠える街』

ブルース・スプリングスティーンやビリー・ジョエルなど、1978年にヒット作を世に送り出したアメリカのミュージシャンは近く、こうした作品の音源の所有権をすべて取り戻せるかもしれないとニューヨーク・タイムス紙が伝えている。

これは70年代にアメリカの著作権法が改正された折に設けられたある条項が影響しているとのことで、作品の発売から35年経った時にアーティストに対して、その作品のあらゆる契約関係を終了させる権利を付与するというもの。つまり、アーティストはレコード会社に対して作品の元となるマスター音源を託している関係にあるが、アーティストとレコード会社との間の契約関係とは無関係に、35年経った作品に関してはそのマスター音源の所有権や使用権は一切すべてアーティストにいったん戻されてしまうということだ。アーティストに戻されるということは、当然、その先またその作品をリリースしていくにはレコード会社はあらためてその対価をアーティストに支払わなければならなくなるということなのだ。

1978年にアメリカでリリースされたシングルやアルバムがこの条項の対象の初の例となるが、この条項が生きてくるには発効年の2年前、つまり今年のうちに申請をする必要があって、すでにボブ・ディラン、トム・ペティ、ロレッタ・リン、トム・ウェイツ、ブライアン・アダムスらがこの申請を行っているという。

ただ、レコード会社側にとってはこれは大損害を招きかねない事態で、ユニバーサル、EMI、ワーナーとソニーBMGと、メジャー4社は揃って、法廷でこの条項の有効性について争っていくことを宣言している。アメリカ・レコード産業協会に近いスティーヴン・マークスは作品のマスター音源の制作そのものはレコード会社がその音源をすべて引き受ける「買い取り」の仕事として行われているため、ほとんどの音源について、著作権法の「終了権」はあてはまらないと語っている。今回の法が適用される2013年にメジャー各社はこの理屈で法廷で戦っていくことを明らかにしている。
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