ジャスティスのグザヴィエ、10月リリースの新作『Audio, Video, Disco』について語る

ジャスティスのグザヴィエ、10月リリースの新作『Audio, Video, Disco』について語る

衝撃のファーストからついに4年ぶりのセカンド『Audio, Video, Disco』が10月25日にリリースされることが明らかになったジャスティスだが、逸早くアルバムを聴いたピッチフォークによれば、グラム・ロック、プログレ、ウェスト・コーストなど70年代アリーナ・ロックを自在にモチーフにした内容になっていて、イエスもクィーンもイーグルスも同時に響いてくる音になっているのだとか。

すでに4月にリリースされているアルバムからのシングル“Civilization”についても、非常に大がかりなロック・バンド的なサウンドが特徴的なのだが、実際に外部のミュージシャンやバンドを使っているのかという問いにグザヴィエ・ドゥ・ロズネは基本的にはほぼエレクトロニックなアプローチで作った作品なのだということを明らかにしている。

ただ、多くの音は実際にグザヴィエとギャスパール・オジェが楽器演奏したもので、それをすべて加工していったというのが今作の特徴的なアプローチで、2人がそもそもミュージシャンとしてはとうていプロとはいえない腕前しかないので、演奏も部分部分を少しずつ作っていきながら進んでいくというやり方しかできず、このせいでかなり遅々とした、それでいて膨大な作業にもなり、今作がかなり時間がかかった理由にもなっているとか。

たとえば、ドラムだったら、気に入ったドラム・パターンが決まるまで、細部のパートずつレコーディングしながら緻密にドラム・トラックを作り上げ、いったん出来上がったら今度はそれを逆にまたプログラミングしていくという作業を重ねていたという。

こうしたアプローチについてグザヴィエはこう説明している。「ぼくたちは音楽における本当の作曲やレコーディングの作法やプロセスをたいして知らずに音を作ってるから、ぼくたちのやってることはあまり理屈にかなってなかったり、厳密なテクという意味じゃよくできてもいなかったりするんだよ。でも、それこそが2011年に音楽を作ることの面白さなんだと思うよ」。

「このアルバムはプログレであっても、ほどほどにいい感じでプログレになっていて、それはすべてがシンプルになっちゃっているからで、それというのもぼくたちのミュージシャンとしての限界のおかげでもあるんだよ。それにやっぱり、ぼくたちはシンプルな感情を喚起するシンプルな音楽が好きだからね」

また、今回のこうしたサウンドを思いつくきっかけはなんだったのかという問いにグザヴィエは、2008年にディオールのショーのために制作した“Planisphere”というトラックが出発点となったと説明している。このトラックでかなり自由に音の構成と転調などを試みることになり、それがひどく満足できるものだったので、このアプローチを今回の新作でも追求することにしたが、ただ、楽曲はあくまでも短い形にとどめたとのことだ。

「この新作ではあまり技術的なところでは新しいテクノロジーや機材を使っているわけじゃないんだ。ぼくたちは、パートとパートのテンポやキーを大胆に変えていくことで、たとえば、あるパートにフィルターをかけるなどということをせずとも、4分間通して自分たちにとってもずっと刺激的な音として感じる楽曲の届け方を発見したということなんだよ」

また、ファーストのようによりダンス寄りなアプローチを取ろうという誘惑はなかったのかという問いには、そもそも自分たちのファーストはポップ・ミュージックのある形を作りたかっただけで、別にダンス指向のつもりではなかったともグザヴィエは説明している。「だから、ファースト収録曲のオリジナル・バージョンについては、どんなクラブでもぼくは聴いたことがないよ」とグザヴィエは語っている。

なお、今作の大きなモチーフとなっているプログレのなかでも、感情的に最も強烈な作品はなにかという問いにグザヴィエは「その時代に応じた手段とテクニックという意味でプログレを捉えた場合、ビートルズの『リヴォルヴァー』は偉大なプログレ作品だと思う」と答えている。

“Civilization”のビデオはこちらから。
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