トム・モレロ、ウィスコンシン州の組合潰し法案への大抗議デモを現地ルポ

トム・モレロ、ウィスコンシン州の組合潰し法案への大抗議デモを現地ルポ - 1999年作 『バトル・オブ・ロサンゼルス』1999年作 『バトル・オブ・ロサンゼルス』

アメリカのウィスコンシン州知事スコット・ウォーカーが労働組合の賃金交渉権を制限する法案を州議会に提出したのをめぐって、先週ウィスコンシン州マディソンでは州議事堂に2万5千人を越えるデモ隊が押しかけて占拠するという騒動が起きているが、現地にはこれまでも政治や社会的不公平を徹底的に糾弾してきたレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロがやはり訪れていたとスピナーが伝えている。

トムによると、現地ではバーでライズ・アゲインストのティム・マクラス、元MC5のウェイン・クレイマー、アイク・ライリー・アサシネーションのアイク・ライリーやストリード・ドッグスらの面々と落ち合ったというが、バーで一番盛り上がっていたのが地元のプロ・アメフト・チームのグリーンベイ・パッカーズのユニフォームを着込んだがたいのいい連中だったとトムは語っている。

「普段だったら、(アメフト・ファンは)一番ぼくとはあまり馴染まないタイプの連中なんだけど、今回の組合問題についてはマディソンで最も闘争的な連中になってて、組合を盛り上げるエールでバーを盛り上げていて『すげーな、これはまさにアメリカにとって新しい歴史の1ページだし、現場に来てほんとによかった』って思ったんだよね」

もともとトムは組合員の労働者やさまざまな組合からもぜひ現地に来て応援してほしいという要請があってマディソンに赴いたというが、むしろ現地の抗議運動の熱さに圧倒されたと語っている。「学生たちが州議事堂を占拠してもう戻さないという勢いなんだよね」とトムは説明する。「しかもさ、学生が多いんだけど、消防士や警察官もいるからね。職業を越えて、信条を越えて、人種を越えて集結してるんだよ。若者もいれば、宗教団体もいるし、教師やヒッピーもどきもいて、全員が闘争的で気合が入っているのをこの目で見てすごく興奮したよ」とトムは語る。

実はフロリダ州でもウォーカー知事と同じ共和党に属するリック・スコット知事が同種の組合活動を制限する法案が提出されようとしていたが、反対意見の強硬さに結局、諦めたばかりという経緯があり、全米でこうした組合潰しの機運とそれに対抗する労働者の衝突が起きている。こうした出来事の背景をトムは次のように説明している。

「もともと富裕層と銀行とで引き起こし、アメリカの労働者階級と中流に大打撃を与えた経済的な悲劇(リーマン・ショック)をチャンスとして保守層と右翼が利用しようとしていて、もう何十年前も昔までに時代の流れを引き戻すような法案を通そうとしているんだよ。連中は今ならぼくたちも泣き寝入りするだろうと踏んでいたんだろうけど、そうはならなかったんだな」

ウォーカー知事の法案についてはオバマ大統領も組合潰しだと指摘しているが、そんな知事にトムは「だったら、自分で議事堂へ行って、あそこに集結した警察官や消防士や復員軍人と学生たちを説得してみろっていうんだよ。怖くてできないはずだぜ」と語っている。
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