トニー・レヴィンが70年代クリムゾン曲を演奏する際に心がけていることとは? 「僕がジョン・ウェットンを完コピしても意味がない」

トニー・レヴィンが70年代クリムゾン曲を演奏する際に心がけていることとは? 「僕がジョン・ウェットンを完コピしても意味がない」 - 『rockin'on』2019年1月号より『rockin'on』2019年1月号より

現在、約1ヶ月にわたるジャパン・ツアーを開催中のキング・クリムゾン。

『ロッキング・オン』2019年1月号では、毎公演セットリストが変更されるなど大きな注目を集めている同ツアー直前に行った、ベーシストのトニー・レヴィンへのインタビューを掲載している。

最新ライブ作『メルトダウン〜ライヴ・イン・メキシコ』のライナー・ノーツにおいて、ロバート・フリップは現在の8人体制のバンドを「キング・クリムゾン4つ目の決定版フォーメーションとなった」と述べているが、この言葉をトニーはどう受け止めているのか。

まあ、メキシコのライブの出来についてロバートがこの上なく喜んでいたのは僕たちにもよくわかったからね。バンドとしてあるレべルにまで達したという実感から、新しいバンドか別なバンドになったと、そう考えたということだと思うけど。

でも、ロバートの言葉だから、どうしてそう断言したのか詳しく説明することはできない。ただ、ロバートがそう感じていることがすごく嬉しいし、特別な感じはするね。確かに僕たちが特別なバージョンになっている実感はあるから。


ピーター・ガブリエルの2ndアルバム『ピーター・ガブリエル』のレコーディング・セッションの時に初対面を果たしたというトニーとフリップ。

その時のフリップの第一印象は一体どんな感じだったのか。トニーは以下のように答えた。

あんまり正確には思い出せないんだけど、もちろん、ロバートの演奏スタイルは知ってたし、ものすごく際立ったものでもあったからね。ただ、その時はピーターの作品を作る場だったから、ロバートの演奏だけに気を取られるわけにもいかなかったけど、すごくいい人だと思えたし、仕事も一緒にしやすかったよ。

それから間もなくして声がかかって、ロバートの『エクスポージャー』に参加することになり、そこで彼をもっとよく知ることになったし、それはほんとにすごい体験だったよ。あの作品の中にはキング・クリムゾンの楽曲のように思えるものもあるし、今のこのバンドでも、あのアルバムからの楽曲を取り上げようかという話も時々するくらいなんだ。

といっても、今度の日本公演でそれをやるかどうかはわからないし、実際問題として僕はどういう曲をやるのか知らされていない(笑)。基本的にそれを決めるのはロバートで、当日の朝に決めるんだよ。40曲から50曲くらいのうちから選んでいくわけで、なにがどうなるのかは彼以外にはわからないんだ。ロバート自身、毎晩セットリストを変えていくように心がけてるようだしね。


また、現在の編成では、70年代のクラシック・クリムゾン・ナンバーがライブでよく取り上げられているが、そういう楽曲をやる時の解釈やアレンジなどについて心がけていることは何なのだろうか。

クラシック・ナンバーをやる時にはまた別な挑戦が伴うんだよね。というのも、これまでのキング・クリムゾンのベーシストは皆、ベースに関して素晴らしい貢献をしてきているからだ。だから、その特に素晴らしいところはきちんと伝えることがとても重要だと考えてる。まったく新しいものとしてやり直してしまうんじゃなくてね。

でも、その一方で僕自身のものにもしなければならない。それはサウンド、あるいはベースライン、いずれでも構わないんだけど。カバー・バンドじゃないんだから僕がジョン・ウェットンの完コピをやっても意味がない。

だけど、かつて演奏されたベースについては大きな敬意を感じているから、そういう思いを注ぐと同時に自分自身のなにかも加えたいんだよ。

(中略)クラシック・ナンバーをやる時の挑戦は、そうしたかつてのベース演奏のよさを自然と活かすことで、それと同時にジョン・ウェットンらを意識せずにトニー・レヴィンとして自然に演奏するということになるね。


インタビューではその他、2014年にキング・クリムゾンが再始動した際の時の心境や、トニーがこれまで作品に参加してきたジョン・レノンやデヴィッド・ボウイとの裏話などについても語られている。

連日圧巻のパフォーマンスを繰り広げているキング・クリムゾン、トニー・レヴィンだからこそ知り得るバンドの実体は『ロッキング・オン』1月号にて確かめてほしい。



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トニー・レヴィンが70年代クリムゾン曲を演奏する際に心がけていることとは? 「僕がジョン・ウェットンを完コピしても意味がない」 - 『rockin'on』2019年1月号『rockin'on』2019年1月号
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