今、聴くべきアルバム『9』を生んだカシミア・キャットがよくわかるコラム

今、聴くべきアルバム『9』を生んだカシミア・キャットがよくわかるコラム

ノルウェー出身のDJ/プロデューサーであるカシミア・キャットのデビューアルバム『9』は、現代ポップミュージックにおける脱構築の美が、アルバムの頭から終わりまでぎっちりと詰め込まれた傑作になった。

近年では、カニエ・ウェスト『The Life of Pablo』、ザ・ウィークエンド『スターボーイ』、エド・シーラン『÷(ディバイド)』といったヒット作でも活躍し、メキメキと頭角を表しているカシミア・キャットとは何者なのか、動画と共にまとめてみたい。

①カシミア・キャットのバイオグラフィー
Cashmere Cat - 9 (After Coachella) ft. MØ, SOPHIE

アルバムのタイトル・チューンとして先行公開された“9 (After Coachella)”のビデオは、カシミア・キャットこと Magnus August Høibergの生い立ちと生活をユーモラスに伝えてくれる内容だ。共作者の盟友プロデューサー=ベニー・ブランコや、デンマークのシンガーであるMØ(ムー)も登場。2015年のコーチェラ出演を契機に生まれた同曲について語られている。

②ノルウェーを代表する凄腕DJ
ティーンエイジャーの頃からヒップホップDJとして馴らしたカシミア・キャット。DMCワールドDJチャンピオンシップでは、ノルウェー代表のDJファイナル名義で何度もファイナリストに名を連ねている。

驚異的なターンテーブリズムの中にも、どこかナイーヴで愛らしい、現在の彼の音楽性に通じるものを感じさせるプレイだ。

そのプレイは以下のリンクより観ることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=k9cNbqibjJo

③ヒットメーカーとしての成長
Charli XCX - Break The Rules

Kanye West - Wolves (Balmain Campaign)

2012年にEP『Mirror Maru』でソロデビューを果たすと、ベニー・ブランコの手引きもあり、2014年にはアリアナ・グランデ『マイ・エヴリシング』やチャーリーXCX『Sucker』などのプロダクションに参加。

独創性豊かなトラップ/フューチャーベース観を武器に、ヒットチャート上位を賑わす楽曲をいくつも手掛けるようになる。カニエやシーア、ヴィック・メンサらとのコラボ曲“Wolves”のインパクトも大きかった。

④アルバム『9』における美しき解体と創造
Cashmere Cat - Trust Nobody ft. Selena Gomez, Tory Lanez

満を持して放たれたデビューアルバム『9』は、セレーナ・ゴメスやザ・ウィークエンド、タイ・ダラー・サイン、ソロ活動に踏み出した元フィフス・ハーモニーのカミラ・カベロなど、シーン最前線のシンガーばかりを招いた作品だ。

ヒップホップやEDMのあらゆる約束事を解体し、チルで情緒的な新しいポップソングを生み出すプロダクションが凄まじい。美しいものしか聴きたくない、と言わんばかりの、剥き出しの歌声とサウンドが際立っている。

⑤アリアナ・グランデの最新ワールドツアーでも共演


アリアナは以前からカシミア・キャットをステージに招くことがあったが、「デンジャラス・ウーマン・ツアー」では5月8日のスウェーデン公演でカシミア・キャット名義の最新コラボ曲“Quit”を初披露。

16日のアムステルダム公演では、サプライズでステージ共演も果たされた。テロによる痛ましい惨事となった、5月22日のマンチェスター公演ではカシミア・キャットのゲスト出演はなかったが、間違いなく彼も、今回の事件に深く胸を痛めているアーティストの一人だろう。(小池宏和)
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