【完全レポ】米津玄師、誠実な愛をもって貴方に接近する「はうる」ツアーファイナル

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米津玄師が12月8日にツアー「米津玄師 2016 TOUR / はうる」のファイナル公演をZepp Tokyoで開催した。RO69ではその模様をロングレポートでお届けする。

●セットリスト
1. ナンバーナイン
2. アンビリーバーズ
3. ミラージュソング
4. メランコリーキッチン
5. 駄菓子屋商売
6. Undercover
7. KARMA CITY
8. amen
9. Black Sheep
10. love
11. アイネクライネ
12. LOSER
13. Neon Sign
14. ゴーゴー幽霊船
15. パンダヒーロー
16. ドーナツホール
(アンコール)
1. 花に嵐
2. ホープランド

2016年初春の「音楽隊」に続く、年内2本目のツアー「はうる」は、東京→名古屋→大阪→仙台→再び東京という全5公演のスケジュールであり、ファイナルの舞台=Zepp Tokyoへと辿り着いた。先に結論から言ってしまおう。米津玄師という才能の巨大さは十分に認識しているつもりだったし、彼はその才能を広く伝えるための努力を払ってきたわけだが、今回のステージほど、その途方もない努力の痕跡が全編から溢れ出るステージは観たことがなかった。

サポートメンバーの須藤優(B)、堀正輝(Dr)、中島宏士(G)が待ち構えるステージに米津が姿を見せて喝采を浴び、浮遊感たっぷりなエレクトロサウンド(須藤がキーボードに向き合う編成)の中から、最新シングル表題曲のひとつである“ナンバーナイン”を届けるオープニング。ゆらゆらと身を揺らし、人の歴史の中で自分たちの座標を探るロマンチックなその歌を、くっきりと浮かび上がらせていった。「どうも米津玄師です! ヨロシクー!!」の挨拶にも気合が漲っている。

今回のセットリストは、インディーズ/メジャー期の作品を見渡すオールタイム・オブ・米津玄師なものになっていて、バンドは繊細さから激しさ、冒険心に満ち溢れた楽曲群を次々に、鮮やかに描き出してみせる。アレンジが大きく変わっているわけではないけれど、ほとんど楽曲群が生まれ変わってしまったかのような響き方をしていた。米津自身も鋭いギターリフを繰り出しながら、クリスピーで感情表現豊かな歌声を届ける“メランコリーキッチン”。ツインキーボード編成でディープな心象を音像化する“KARMA CITY”には、幾何学模様のライティング演出も加わって刺激的であった。

『LOSER / ナンバーナイン』収録の“amen”では、厳かで畏怖の念に満ちたエレクトロニックゴスペルを歌い上げつつ、ステージの床を滑るようなステップを披露する。それは華やかというよりも極めてエモーショナルなパフォーマンスで、祈りに近い舞踏に思えた。さらに、“Black Sheep”の後には、12月10日発売の書籍『かいじゅうずかん』のために書き下ろした新曲“love”を紹介して演奏に向かう。雄大にして幻想的なロックシンフォニーの中から、思いを伝える美しいナンバーだ。

さて、「けっこう重大な発表があって、心して聞いて欲しいんだけど(笑)」と楽しそうに語り出す米津。どよめくフロアに告げられたのは、2017年2月15日のニューシングルリリース。そのシングルには、TVアニメ『3月のライオン』のエンディングテーマとなる“orion”が収録されるということだ(詳細ニュース記事はこちら→http://ro69.jp/news/detail/152685)。ご機嫌に、オーディエンスの「oriooooon!!」コールを促す米津である。

そして、アップテンポな楽曲を連発することを宣言してなだれ込む“LOSER”は、MVのようにダンスを披露するパフォーマンスではなかったものの、人々と真っ直ぐに向き合いステージに立つ覚悟を、その境地へと至る悩ましさもひっくるめて解き放つ熱演になった。フロアからも自然に歌声が巻き起こり、米津は昂ぶったシャウティングボーカルで応える。“ゴーゴー幽霊船”のぶっ飛んだメロディに、無数の掌が楽しそうに揺れる光景も素晴らしかった。“パンダヒーロー”や“ドーナツホール”といったハチ名義作品のセルフカバーは、もともと人気曲だからというよりも、明らかに一期一会のライブの熱狂をもたらすパフォーマンスであった。

アンコールでは、現代ポップミュージックの様々なアイデアを取り入れ、バンドの技術を磨き上げたライブの末に、鮮烈でストレートなロックへと辿り着く“花に嵐”が最高だ。「ツアーに始まって、ツアーに終わった1年でしたね」と、中島とのツアー思い出話で笑いを誘いながら、米津は『3月のライオン』の原作コミックを読んでいた頃、偶然にも劇中舞台のひとつである月島に住んでいたことを懐かしそうに語った。来る2017年、彼は我々にどんな景色を見せ、どんな思いを届けてくれるだろうか。(小池宏和)
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