スティング、自身の楽曲やトランプ当選、難民問題について語る

スティング、自身の楽曲やトランプ当選、難民問題について語る - スティング『ニューヨーク9番街57丁目』発売中スティング『ニューヨーク9番街57丁目』発売中

新作『ニューヨーク9番街57丁目』を11月11日(金)にリリースし、同作のプロモーションのために6年ぶりに来日していたスティングだが、先月NPRでおこなわれたインタビューで、アメリカ大統領選や、欧州連合からのイギリス脱退問題、移民問題や新曲について、以下のように答えている。

―トランプ当選について

「皆と同じように少しショックだし、困惑しているよ。だけれど、ポジティブにならないといけないと思う。僕たちには実際、それしか残っていない。自分の考えが、まだまとまっていないんだけど、僕の国で6月に起こったことと同じだよ。52%の人が僕たちに利益をもたらすような何かから離れることに投票したんだ。僕も含めて48%の人はとどまることに決めたわけだけどね。英国は構造的な問題があって、この問題はやっかいだ。でも、世界は変化の時期なんだよ」

―米大統領選と世界各国の比較について

「英国の欧州連合(EU)離脱については、EUとは全く関係ないことだと思う。っていうか、英国でEU離脱が決まった次の日に英国で一番ググられたのは“EUとは何か?”だったんだよ。僕は国民が政府を背後から蹴っとばす機会があったんで、蹴っ飛ばしたんだと思う。だけどもこの問題は複雑すぎて簡単に「はい」と「いいえ」だけに凝縮できないよ。非常に洗練された議会システムがある。だけれどこのシステムは政治的なプロセスを通して機能するものだから、国民投票で決めたというのは非常に大きな間違いだったと思う。でももう後戻りできないよ」

―失業について語った自身のブロードウェイ舞台『ザ・ラスト・シップ』について

「僕は英国北東部出身。労働階級の出身でもある。僕の先祖は造船所で働いていた。彼らは彼らの力の及ばない市場の力で職を失ったんだ。だから僕は北東部「The Rust Belt」の人と同じように職を失った人たちに対して同情するんだ。アメリカでもそう感じるよ。だけれど、今与えられた解決方法や約束ごとは自分にとって説得力のあるもののようには思えない」

―難民のために書いた新譜の“Inshallah”と、この曲を書くにあたってスティングをインスパイアした難民危機について

「難民問題は明日消えてなくなるような問題じゃないんだ。中東で起こっている戦争、アフリカでの貧困によってもたらされている。もしかしたら近い将来温暖化が難民問題の理由となるかもしれない。だから明日終わるように望むことができるような問題ではないんだ。僕は政治的な解決方法があるわけではないけれど、もし解決方法があるならば、それはこのボートに乗っている人たちへの共感のようなものから始めなくてはならないと思う。なぜなら人間は移住する動物だから。人間はみな移民なんだよ。この国にいる皆は移民だし、僕も移民だし、自分の先祖たちも皆移民なんだ。移住は止まらない、人間の性だからね。もし移民の人たちに同情するのなら、自分と自分の子供や妻がボートに乗っている気持ちを考えてほしい」

―「Inshallah」という言葉を選んだことは、この意味を人々に訴えかけるためなのかということについて

「これは美しいアラビア語だよ。文字通りには“もしそれが神様の意思なのであれば、なるようになる”という意味なんだ。だけれどこれは辞退、謙遜、希望だったり、勇気を意味するんだ。僕にとってはこれは団結という意味だと思う。僕は(難民の人たちに)希望を持っているよ

(訴えかけるための)戦略ではないよ。美しい文化の美しい言葉だっていうだけ。イスラム文化、アラブの文化は、科学、宇宙、建築、音楽など多くの素晴らしいものをもたらしてくれたってことを僕たちは忘れてはいけない」

―プリンスにインスパイアされた新曲“50000”について

「自分にとって今年の音楽業界はつらい年になったね。重要な文化的アイコンが僕たちのもとから離れていった。デヴィッド・ボウイ、プリンス、イーグルスのグレン・フライや本当に多くの人たちも。ショッキングだった。もちろん、多くの人たちと同じように、僕の中にいる子供の自分は、こうしたアイコンたちが不死身だと思っていたんだ。で、このアイコンたちも死を免れることはできないとわかると本当にショックを受けてしまう。僕は65歳で、自分の人生のうちのほとんどを既に生きたと思う。この年齢は自分の死という運命を受け入れさせられるよ。この曲はその事を書いたんだ。この曲は僕のようなロックスターが過去に5万、10万、20万人もの人たちを前にスポットライトを浴びてきた時代と野心を思い出している曲なんだ。で、どこで自分の哲学を学んできたのだろうか、と考えて内省しているんだ」

―自分の死となぜ自分がまだここにいるかについて

「生存者としての罪悪感はないよ。自分がここにいる意義はもちろんある。僕の意義は人を楽しませること。人を最初に楽しませない限り、人に何も教えることはできないよ」
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