イエス、来日ツアーいよいよ開幕。初日公演を速報レポート

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ジャパン・ツアーを昨日11月21日(月)の東京・Bunkamuraオーチャードホール公演よりスタートさせたイエス。

RO69では、『海洋地形学の物語』より“神の啓示”、“儀式”の完全再現と、『ドラマ』、『イエスソングス』の楽曲をメインに名曲の数々を披露すると伝えられた同公演のオリジナル・レポート記事をお届けします。

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【イエス @ Bunkamura オーチャードホール】

『危機』『サード・アルバム』『究極』の「スリー・アルバム・ツアー」をはじめ、ここ最近は過去にリリースしたアルバムの再現がツアーの大きな目玉になっているイエス。プログレッシヴ・ロック史を代表する名盤2作品=『危機』『こわれもの』の完全再現ツアーだった2014年の前回来日での、TOKYO DOME CITY HALLの3日間ソールドアウト→追加公演でNHKホールが決定、という盛況ぶりは、日本におけるイエス人気の根強さを十分に物語るものだった。

そして――東京:オーチャードホール4日間/名古屋/大阪の計6公演にわたって行われる、イエスの2年ぶりとなるジャパン・ツアーの柱は、「『危機』の直後=1973年に発表された『海洋地形学の物語』から“神の啓示”、“儀式”の完全再現」と「同じく1973年リリースのライブ盤『イエスソングス』からのベスト・セレクション」、そして「1980年のジェフ・ダウンズ在籍時の作品『ドラマ』からの楽曲も披露」という3点。

1曲18分という大曲“危機(Close To The Edge)”の絶賛を受けてその翌年に制作された、「LP2枚組に約20分の楽曲を4曲収録、トータル80分」の超大作『海洋地形学の物語』。発売当時ですら賛否両論を生んだというあまりの曲の長さから、なかなかライブで再現されることの少なかった同作の楽曲を軸に据えたツアーということで、これまでの来日公演とはまったく異なる佇まいのライブになるだろうとは思っていたが、そんなこちらの期待感を爽快に上回る名演を観せてくれた。

開演前、ステージには見覚えのあるリッケンバッカーの白いベースが用意され、惜しくも昨年亡くなったベーシスト=クリス・スクワイアの写真がヴィジョンに映し出される。各パートともメンバーの出入りが激しかった音楽至上主義集団=イエスにあって、たったひとり「イエスを脱退したことのないメンバー」だったクリスの死を悼むオーディエンスの想いが、オーチャードホールの客席に静かに満ちていく。

ほどなくしてメンバーが舞台に登場。『ドラマ』からの“Machine Messiah”で幕を開けた後、“白い車”を経て、“光陰矢の如し”の驚くほどしなやかなグルーヴ感へと流れ込んでいく。今回の来日ラインナップが前回と大きく異なる点はふたつ。ジョン・デイヴィソン(Vo)/スティーヴ・ハウ(G)/ジェフ・タウンズ(Key)という前回ツアー同様のメンバーに加え、クリス・スクワイアの後任をビリー・シャーウッドが務めていること。そしてもうひとつ、今年腰痛の手術を受けて体調万全ではないアラン・ホワイト(Dr)に代わって、アメリカ・ツアーでもドラムを担当していたジェイ・シェレン(Dr/ex.ワールド・トレード、エイジア、サーカ、GPS etc.)がリズムの核を担っていたことだ。

「8人イエス」時代からマルチプレイヤーとして参加&『オープン・ユア・アイズ』、『ラダー』ではメンバーとしてバンドを支えてきたビリーと、ワールド・トレード時代から彼とともにリズム隊を組んできたジェイ、という50代コンビによって格段に若返った(?)ビート感は、今回のライブの大きな特徴だった。“I've Seen All Good People”、“Perpetual Change”といった『サード・アルバム』の楽曲群から、『危機』の“同志”、さらに『こわれもの』から“燃える朝焼け”……モダンロックではデフォルトとなっている音圧感やギミックの力を借りることなく、卓越したプレイアビリティと歌唱力だけで豊潤な音楽世界を編み上げていくイエス・サウンドが、新たな躍動感をもって鳴り渡っていく図は、それ自体がスリリングな魅力にあふれていた。

加入からもうすぐ5年、フロントマンとしての風格も漂い始めたジョン・デイヴィソンの美麗ヴォーカルも、アクロバティックなフレーズを丹念に再現していくジェフ・タウンズのパフォーマンスも、現在のイエスには不可欠なものだ。そして、今回の音楽面での核を担っていたのはやはりスティーヴ・ハウ。アコギ&シタール音色用にセットされたスタンド・ギター/ペダル・スチール/フルアコなどを駆使して多彩なプレイを次々に繰り出し、会場の熱気を刻一刻と高めていく。

中盤に20分間の休憩を挟んだ後、ライブはいよいよ『海洋地形学~』の世界へと突入。“危機”、“錯乱の扉”、“悟りの境地”といった、ドラマチックな展開やクラシカルな構築美で聴かせる大曲とは異なり、20分の尺の中で悠久の時間を描き出していくようなファンタジック&サイケデリックな楽曲“神の啓示”――これまで音源しか聴いたことのなかったあの幽玄なサウンドスケープが、「今」のイエスの肉体性によってくっきりとした色彩感をもって立ち昇ってくる。『海洋地形学~』は「ビル・ブラッフォードに代わってアラン・ホワイトがイエスに加入した直後の作品」でもあったため、アラン・ホワイト不在で“神の啓示”の演奏がスタートした瞬間には若干の寂しさと不安を覚えたのだが、そんなこちらの思惑をあっさりリセットするだけの驚きと感激を与えてくれる音楽空間が、そこには確かにあった。

スティーヴ・ハウのクラシック・ギターをフィーチャーした“Leaves Of Green”(『海洋地形学〜』の“古代文明”の後半パート)を経て、この日の本編ラストを飾ったのは“儀式”。荘厳なイントロから雄大な音風景が展開されるこの楽曲の最後、ドラムとパーカッションの応酬の場面では、アラン・ホワイトがステージに登場! ジェイがドラムセットをアランに譲り、アランのドラムとジェイ&ジョンのパーカッションがせめぎ合いながら、オーディエンスの高揚感を一段と熱く煽っていった。

アンコールではそのままアランがドラムを担当、満場のクラップとともに響いた“Roundabout”に続けて、“Starship Trooper”で圧巻の多幸感とスケール感を描き出して――終了。途中20分の休憩を挟んでいたとはいえ、2部構成でアンコールまで含めてトータル12曲・2時間40分というタイム感と、その隅々にまで張り巡らされた緻密で伸びやかな構築性は、まさにイエスのライブならではのものだ。ジャパン・ツアーはこの後、同じくオーチャードホールでの公演(11/22)、大阪:オリックス劇場(11/24)、名古屋:Zepp Nagoya(11/25)を経て、再びオーチャードホール2公演(11/28・11/29)へと続いていく。まだ残席もあるようなので、詳細はUDO公式サイトをご参照のほど。(高橋智樹)

〈SETLIST〉
第1部
01. Machine Messiah / マシーン・メシア
02. White Car / 白い車
03. Tempus Fugit / 光陰矢の如し
04. I've Seen All Good People / アイヴ・シーン・オール・グッド・ピープル
05. Perpetual Change / パペチュアル・チェンジ
06. And You And I / 同志
07. Heart Of The Sunrise / 燃える朝焼け

第2部
08. The Revealing Science Of God / 神の啓示
09. Leaves Of Green / リーヴス・オブ・グリーン
10. Ritual / 儀式

En1. Roundabout / ラウンドアバウト
En2. Starship Trooper / スターシップ・トゥルーパー

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なお、イエスはこの後も東京、大阪、名古屋で来日公演を行う。

公演の詳細は以下の通り。

●ライブ情報
「イエス ジャパン・ツアー2016」
〈東京〉
2016年11月22日(火)・28日(月)・29日(火) Bunkamuraオーチャードホール
チケット料金 S¥10,000 A¥9,000(座席指定・税込)
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999 http://udo.jp/

〈大阪〉
2016年11月24日(木) オリックス劇場
チケット料金 S¥10,000 A¥9,000(座席指定・税込)
お問い合わせ:大阪ウドー音楽事務所 06-6341-4506 http://udo.jp/Osaka/

〈名古屋〉
2016年11月25日(金) Zepp Nagoya
チケット料金 ¥10,000均一(1Fスタンディング/1F、2F指定席・税込)※ドリンク代別途
お問い合わせ:ウドー音楽事務所 03-3402-5999 http://udo.jp/
CBCテレビ事業部 052-241-8118

更なる公演の詳細は以下のサイトで御確認ください。
http://udo.jp/Artists/Yes/index.html
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