【完全レポ】SiM、横浜アリーナで至高の「いつもどおり」を鳴らす!

【完全レポ】SiM、横浜アリーナで至高の「いつもどおり」を鳴らす!

SiMが、10月16日に横浜アリーナでワンマンライブ「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR 2016 GRAND FiNAL“DEAD MAN WALKiNG”」を開催した。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。

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●セットリスト
1. THE KiNG
2. NO FUTURE
3. Abel and Cain
4. T×H×C
5. JACK. B
6. FUCK iT ALL
7. I DUB YOU
8. Life is Beautiful
9. The Problem
10. KiLLiNG ME
11. SUCCUBUS
12. I Hate U (It’s Not A Play On Words)
13. If I Die (Acoustic ver.)
14. Paradox (Acoustic ver.)
15. Misery (Acoustic ver.)
16. GUNSHOTS
17. Dance In The Dark
18. CROWS
19. EXiSTENCE
20. Same Sky
21. Blah Blah Blah
22. f.a.i.t.h
EN. MAKE ME DEAD!


「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR」は、夏フェス出演や主催の「DEAD POP FESTiVAL 2016」を挟み、いよいよグランドファイナル「DEAD MAN WALKING」を迎えた。巨大なステージには、枝のねじ曲がった枯れ木や墓石、無骨な鉄門、巨大なガーゴイル像などが立ち並ぶ、ホラーな空間だ。特殊メイクによりモンスターと化したSIN(B)、SHOW-HATE(G)、GODRi(Dr)、そしてMAH(Vo)が順に映し出されると、いよいよキャリア最大規模のワンマンライブが幕開けである。

まずは姿勢表明のような新作曲“THE KiNG”がゴリゴリと立ち上がり、オーディエンスの歌声をさらうオープニング。会場に対してステージが横長にデザインされているので、眼前のスタンディングエリアを始め、オーディエンスを極力近くに感じる構造になっている。音響も素晴らしく、ヘヴィなのに小回りが効く、SiM唯一無二のアンサンブルがくっきりと浮かび上がっていた。ガーゴイル像からもビンビンとレーザー演出が迸る“NO FUTURE”、そして“Abel and Cain”と楽曲を繰り出す中で、瞬く間に濃密なコミュニケーション空間が育まれる。4人はそれぞれ楽しそうに笑顔を浮かべ、SINはステージの端まで軽やかにステップを踏むのだった。

MAHは「そうだなあ、今日はみんながでっかいアトラクションに来たと思って、最後まで楽しんでいってください!」と呼びかけていたが、一曲の間だけステージ上の撮影を許可した“FUCK iT ALL”では、刺激的なアニメーション演出とMAHの鬼気迫るボーカルワークが相まって、切迫感に満ちたパフォーマンスこそがアトラクションの本質だと伝えてくる。物悲しいストーリーのドラマ映像を挟み込み、ダブのグルーヴに生きることの切々とした思いを詰め込んで見せた“I DUB YOU”から“Life is Beautiful”は、とてもピュアなカタルシスをアリーナ一面にもたらす時間であった。

「改装したてのこんな綺麗な会場で、こんなステージぶっ立ててワンマンやらしてもらって……ザマアミロですよ!!」と高笑いするMAH。会場に訪れたバンドマンたちには「俺たちはもうやったんで、次は君の番じゃないんですか? 楽しみにしています。SiMを倒しに来てください!」と告げ、“KiLLiNG ME”以降は怒涛のアップリフティングな展開に持ち込むのだった。

サウンドがくるくると表情を変える“I Hate U (It’s Not A Play On Words)”の後には一転、昨年11月の武道館公演を思い出させるアコースティックセットへ。大会場を逆手に取るような趣向、そしてアルバム音源とは一味も二味も違った“If I Die”や“Paradox”のアレンジが染み渡る。ブルースフォーク色の強い“Misery”がまた素晴らしく、MAHは演奏中に「音楽で政治のこと歌うなって人がいるけど、この曲めっちゃそういうこと歌ってるから」「私もそう思う、とかじゃなくていいからね。ただ、そういう考えの人がいるってことだけ覚えて帰ってくれれば、俺はそれでいいって思ってます」と語りかけていた。

さてこの後には、こちらも恒例?となった階上オーディエンスの席替えチャンス。幸運な2組4名がPAエリア付近に招かれ、そして“GUNSHOTS”のユーモラスな狂騒へと飛び込んでゆく。SHOW-HATEがワイヤーで宙を舞うのか、いや飛ばない、という前フリがあったのだが、最後にはギターだけ飛んでいって火花と破裂音に包まれる、というオチである。実はギターも弾いていなかった、と正直申告しつつ、なんと代役としてステージ袖で弾いていたcoldrainのSugiを招き入れる。この三段構えのサプライズには、オーディエンスも大喜びであった。楽しい。

“CROWS”から“EXiSTENCE”とシングル攻勢が続き、ラウドなシンフォニーと化して押し寄せる“Same Sky”の後には、MAHがフロアを二つに割るサインを繰り出して“Blah Blah Blah”へと飛び込む。オーディエンスの歌声が止まらない。「横浜アリーナ! 結局、いつも通りですみませんでしたぁーっっ!!」とは言うものの、ライブハウス並の密度の高い熱狂をアリーナ規模で成立させてしまうことが、すでに異常事態である。

本編は鮮烈な“f.a.i.t.h”で締め括られたが、アンコールに再登場したSiMはそれぞれユーモラスに挨拶し、そしてMAHは「別にみんなを感動させようとか思ってないし。みんなを楽しませなきゃとか、今日は思ってないし。俺が言いたいのはただひとつ! SiMってカッコよくないっすか? それだけだバーカ!」と、この夜最大級の歓声を巻き起こしていた。終演後には、「THE BEAUTiFUL PEOPLE TOUR」新シーズンの開催も大発表(ニュース記事はこちら→http://ro69.jp/news/detail/149986)。驚きと喜びが、そして人間らしい心がぎっちり詰め込まれた、特大アトラクションの一夜であった。(小池宏和)
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