【完全レポ】Ken Yokoyama、ザ・クロマニヨンズ、そしてWANIMA。三世代三つ巴の歴史的な一夜で何が起こったのか

photo by Teppei Kishida / Ken Yokoyama
photo by 柴田恵理
photo by 柴田恵理
photo by Yuji Honda / WANIMA
photo by Yuji Honda / WANIMA
photo by Teppei Kishida / Ken Yokoyama
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photo by Teppei Kishida / Ken Yokoyama
photo by Teppei Kishida / Ken Yokoyama

Ken Yokoyamaが、8月4日に新木場スタジオコーストでマンスリーライブ「Ken Yokoyama presents Rumble Of The Month Final 2Days」の最終公演をゲストにザ・クロマニヨンズ、WANIMAを迎え開催した。RO69では、この模様をロングレポートでお届けする。

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Ken Yokoyamaのライブ企画「Rumble Of The Month」は、平日のライブハウスを熱狂で狙い撃ちする、という趣旨のイベントだ。ファイナルの舞台は新木場スタジオコーストの2デイズであり、両日ともザ・クロマニヨンズとの対バンを決行。しかも初日にはOKAMOTO’Sを、2日目にはWANIMAをゲストに迎えるという、言わば三世代のロック/パンクヒーローが揃い踏みの、感慨無量のステージになった。本稿では、最終日の模様をレポートしたい。

巨大なバックドロップがせり上がり、真島昌利(G)、小林勝(B)、桐田勝治(Dr)が大歓声を攫うザ・クロマニヨンズ(前日はトリを務めた)。一呼吸置いて、初っ端から上半身裸の甲本ヒロト(Vo)が、白いタオルで目隠しをしたままヨタヨタと中央に進み出てくる。コミカルさと危うさを併せ持った、ロックンロールな絵面だ。 “タリホー”、“ギリギリガガンガン”、“紙飛行機”とオールタイムベストな楽曲群を畳み掛けてゆく。

「今日は3バンドとも本当に素晴らしいので、そうだなあ……最低5キロぐらいは痩せて帰ってください!」とヒロトが告げ、“スピードとナイフ”が胸を震わせる。“底なしブルー”では、ブルースハープとギターソロが焦げ付くようなデッドヒートを響かせていた。Johnny(横浜銀蝿)の“ジェームス・ディーンのように”を歌い出すヒロトを、3人のサウンドとオーディエンスのクラップが咄嗟に援護する一幕も楽しい。“エルビス(仮)”から“クロマニヨン・ストンプ”で駆け抜けるまでの14曲、スリリングにしてどっしりとしたアンサンブルが頼もしすぎるトップバッターであった。

さて、2番手はゲストのWANIMAだ。“THANX”に始まって、ザ・クロマニヨンズ“ギリギリガガンガン”やKen Yokoyama“I Won’t Turn Off My Radio”の歌メロを拝借して沸かせながら、それらの名曲にまったく引けを取らない“いいから”の沸騰に持ち込む。「次はKen Bandやけ、本気出さんでいいって!」と前フリしてからの“Hey Lady”特大シンガロングは痛快だった。「頼りない3人だけど、俺ら絶対、クロマニヨンズとかKen Bandみたいな大人になるけん!」と約束し、それを裏付けるかのような“ともに”までの5曲。短い持ち時間ながら、全身全霊で先輩バンドに挑むステージが見事だ。

「Ken Band」の小さな手書き看板を無造作にぶら下げ、この夜のトリを務めるKen Yokoyamaが登場だ。Hidenori Minami(G)、Jun Gray(B)、松浦英治(Dr)と共に痛ましき戦地の激情“Mama, Let Me Come Home”を叩きつけるオープニング。続いて“Save Us”や“Believer”で序盤の大合唱を巻き起こすと、「ヒロトさん、マーシーさんの背中を追っかけて18歳のときからやってきて、まさか一緒にやれる日が来るなんて! 夢って叶うんだぜ!!」と率直に喜びを溢れ出させる。この日会場に来た息子たちには、「あの人たちがいなかったら俺はここにいないから、ということはお前たちも生まれてないんだぞ」と語ったそうだ。

目隠し歩行練習中のヒロトの股間にタッチした、という楽屋ネタも織り交ぜながら、「クロマニヨンズと対バンしたって言ったら、俺の死んだ友達とか仲間たちがびっくりすると思うんだよな」と“A Beautiful Song”のエモーションをじっくりと押し広げて喝采を誘う。あるいは、“I Won’t Turn Off My Radio”、“You and I, Against The World”、“Ricky Punks III”といった時代に向き合う主張を爆音で発信し、眩いバックライトを浴びながらの“WALK”カバーに表情を綻ばせるのだった。五分五分のスタンスの対バンだから自分たちはアンコールをしない、と宣言し、“Pressure Drop”の満場のダンスでフィナーレへと向かう。

ライブハウスで鳴らすロックが、フロアの酸素を奪い、汗の湿気で床をびしょ濡れにする。日常の連続がロックのバトンを繋ぎ、歴史を紡ぐのだという、そんな意義深いメッセージが伝えられた「スペシャルな平日」の夜であった。(小池宏和)