クラフトワーク、"メタル・オン・メタル"のドラムが無断で使われたとの訴訟で逆転敗訴

クラフトワーク、"メタル・オン・メタル"のドラムが無断で使われたとの訴訟で逆転敗訴

クラフトワークは音源を無断でサンプリングとして使われていたとドイツの最高裁判所で起こしていた訴えを5月31日に棄却され、二審では勝利していたため逆転敗訴を被ることとなった。

問題の音源はドイツのヒップホップ系プロデューサー、モーゼス・ペラムが制作し、ドイツの女性ラッパーの第一人者のサブリナ・セトラーの作品としてリリースされた"Nur mir"というトラックで、クラフトワークは1977年の『ヨーロッパ特急』の"メタル・オン・メタル"のドラム・シークエンスが2秒ほどのループとしてところどころ使われていると、このシングルが1997年にリリースされた直後から訴えを起こしていた。

無断使用による損害賠償などを訴えていたクラフトワークはいったん勝訴していたが、ペラム側が表現の自由を妨げる判決だとして控訴し、最高裁はペラムの主張を認めることとなった。今回の判決では、ヒップホップという表現スタイルではサンプリングが根幹をなすことが前提として認められ、著作権を侵害していると判断できないような短いセクションの使用は見過されるべきだというものになった。

問題となる作品の知的財産の使用権への影響が「微々たるものである場合には、著作権所有者の利益よりも、表現者の自由が優先される」という判断を裁判所は示し、音源が無断でサンプリングされても使われ方によっては著作権侵害を問われないという考え方を打ち出した、画期的な判決になったと目されている。

これにより、ある新しい作品がサンプリングされた作品と直接的に競合していない場合、また権利所有者の利益を損なわない場合においては、無断サンプリングは有効だと認められることになったとAFP通信が伝えている。 
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