Charisma.com、ニューアルバム『愛泥C』のリリースツアー、全国7本のファイナル、5/15(日)渋谷TSUTAYA O-EASTを観ました。
『愛泥C』のリード曲“サプリミナル・ダイエット”とそのMVに合わせ、このライブ自体がフィットネスジムである、という設定のライブ。
ダンサー4人が登場したり、ゴンチによるDJタイム……というか「この振付けで踊ってください!」という要求を次々とオーディエンスにする時間があったり、ゲストでシンガー優が登場、ミニシンセを弾くいつかとふたりで“ベルサッサ”を歌ったり、 “自撮ーる”でゴンチ&いつかがセルカ棒で自分やお客さんを撮りながら歌い、その映像がステージバックの3面に映し出されたり、ザ・チャレンジのタラコチャレンジ(ギター)&ヤンキーチャレンジ(ベース)がゲストで登場、3曲をプレイしたり、アンコールでは、そのゲスト3人が加わったアコースティック・セットで“アラサードリーミン”を歌ったり。
と、観る側の集中力を一瞬もそらさない盛りだくさんの内容。それらすべてを見事に遂行していく、いつかのパフォーマーとしての能力の高さ。「いつかにいじられる人」としての精度を「芸」の域にまで高めたゴンチの存在感。
何かもう、完璧でした。めちゃめちゃ楽しい、でも楽しいだけじゃなくて、いつかの矢や毒がこっちにスパーンと飛んでくる。O-EAST、超満員札止御礼状態だったけど、そして『愛泥C』のタイミングで『MUSIC STATION』とか出まくっていたってことは世に知られ始めているんだろうけど、あと2Fの関係者席の一部が芸能人エリアみたいになっていたので、そういう意味でも注目度が上がっているんだろうけど、まだでしょ。こんな規模でやる人たちでも観る人たちでもないでしょ、もっともっといかないとおかしいでしょ、この超絶ハイクオリティは。
と、つくづく思った。メジャーデビューしてまだ2枚なのに。
「この攻撃性はなんだろう」とか、「このパフォーマーとしての完成度は誰に通じるだろう」とか考えると、「石野卓球」とか「KREVA」とか、そういうでかすぎる先人たちしか浮かばない。僕の場合は、かもしれませんが。
あと、なんのためにやっているのかが、いちいち伝わってくるのもすばらしい。
「怠惰」「無責任」「不正」「不誠実」「偏見」「差別」「頭悪い」「無能」「礼儀知らず」「恥知らず」「目に余る自己愛の強さ」などなどの、普通に生活していく上で大なり小なり人が行ってしまう、他人を不快にしたり不幸にする行動や思考を、世の中からなくしたい。そのためにいつかは、リリックを書いてラップして歌って音楽をやっている。だから、バラエティに富んでいて楽しくても、MCでとても笑えても、常に緊張感がビッとはりつめている、そんなステージになる。
とか思いながら観ていたら、アンコールのMCで自分でも言っていた。曰く、自分は正論を歌にしているつもりなんだけど、世の中は正論をあんまり求めてなかったりする。正論が通らない世の中もある。でも、自分は正論を歌っていいよね、そう思っていいよね、と。
いいと思います。で、これからも熱く強く支持していきたいと思います。(兵庫慎司)