ポール・マッカートニー、ジョージ・マーティンと"イエスタデイ"のアレンジに取り組んだ日々を偲ぶ

ポール・マッカートニー、ジョージ・マーティンと"イエスタデイ"のアレンジに取り組んだ日々を偲ぶ

3月8日に自宅で息を引き取った、ザ・ビートルズのプロデューサーとして有名なジョージ・マーティンについてポール・マッカートニーが追悼している。

ジョージの死はリンゴ・スターが「ジョージ・マーティンに神様のご祝福がありますように。ジュディとご遺族のみなさんにラヴ・アンド・ピース。リンゴとバーバラより愛をこめて。ジョージの不在はとても惜しまれることでしょうxxx」とツイートしたことで公になったが、死因などは明らかになっていない。ポールは自身のウェブサイトで次のようにジョージを偲んでいる。

「とても愛しい人であるジョージ・マーティンの訃報を知って、悲しみにたえません。この偉大な人物とは素敵な思い出があまりありすぎて、これからもずっとその思い出は大切にしていきます。ジョージは真の紳士で、ぼくにとっては二人目の父親のような存在だったんだ。

ジョージはザ・ビートルズのキャリアを素晴らしい手腕とユーモア・センスでもって導いてくれて、おかげで、ぼくとぼくの家族にとって真の友人にもなってもらえたんだ。もし5人目のビートルという称号に本当の意味でふさわしい人物がいるとしたら、それはジョージだったよ。

ビートルズにレコーディング契約を提供してくれたその日から最後に会ったその日まで、ジョージはぼくがこれまで知り合った人間でも一番やさしくて、知的で、音楽的な人だった。

ジョージと過ごした楽しい時間はいろいろありすぎてそのうちのどれが一番楽しかったかなどと選ぶことはできないけれども、記憶に蘇ってくるのはレコーディング・セッションに"イエスタデイ"を持ち寄ってみたところ、バンドのみんなにこれはギターの弾き語りでソロとして歌った方がいいんじゃないかと提案された時のことだね。その通りにやってみたあとでジョージ・マーティンは『この曲に弦楽カルテットを加えたらというアイディアがあるんだけど』とぼくに言ったんだ。

ぼくは『ジョージ、それはだめだよ、ぼくたちはロックンロール・バンドなんだから、それはうまくいかないよ』といったんだけど、偉大なプロデューサーとしてぼくをなだめるようにジョージは『やるだけやってみて、うまくいかなかったらそれはもう使わないことにして、きみのソロ・ヴァージョンでいけばいいじゃないか』と促してきたんだ。ぼくはそれに同意して、その翌日、ジョージの自宅へ出向いてアレンジに取り組むことにしたんだ。

ぼくが曲のコードを弾いてみせるとジョージはその構成音をピアノの鍵盤に広げてみせて、低音はチェロに当て、高音はヴァイオリンに当てるなどして、カルテット用にどうやって弦楽の音を作っていくのかという最初のレッスンを受けることになったんだ。

それからアビイ・ロードで実際の弦楽カルテットのレコーディングをしてみると、ジョージのアイディアがあまりにも正しかったことを知ってぞくぞくして、それからは何週間も人と会えばその話ばっかりしていたよ。このアイディアがうまくいったということは、この曲がその後最もカヴァーされた曲のひとつとなって、フランク・シナトラやエルヴィス・プレスリー、レイ・チャールズ、マーヴィン・ゲイなど何千という人によって取り上げられたことからもわかるんだ。

これはそんなジョージとの思い出のほんのひとつで、それからも"エリナー・リグビー"や"死ぬのは奴らだ"など、ぼくのそのほかのいろんな曲でも手伝ってもらうことになったんだね。

あれほど素敵な紳士で、ユーモア・センスに富んでいて、自分をも笑い飛ばせる人と知り合えてとても誇りに思うよ。その後、女王陛下に騎士として列せられた時にも少しも気取ってしまうところもなかったしね。

ぼくの家族もぼくも、ジョージを心からの友達だと思っていたので、とても寂しくなるし、奥さんのジュディやお子さんのジャイルズとルーシーとお孫さんのみなさんに愛をお送りしたいです。

世界は真に偉大な人を、ぼくの魂に、そしてイギリスの歴史に大きな足跡を残した人物を失いました。

ジョージ、きみときみに導かれた誰しもに神様のご祝福がありますように!」
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