アントニー・ヘガティ、オスカー・パフォーマンスを断られ授賞式への出席自体を中止に

アントニー・ヘガティ、オスカー・パフォーマンスを断られ授賞式への出席自体を中止に

ドキュメンタリー映画『Racing Extinction』に提供した楽曲"Manta Ray"が今年のアカデミー賞最優秀楽曲賞の最終候補に推挙されているアノーニことアントニー・ヘガティは、授賞式でのパフォーマンスに招かれなくなったため、授賞式への参加そのものを取りやめたことを明らかにしている。

"Manta Ray"はアノーニとソングライターのJ・ラルフによる共作曲でJ・ラルフが歌ったコラボレーション曲となっているが、授賞式では同じ部門のほかの候補となっているレディー・ガガ、ザ・ウィークエンド、サム・スミスらが当日のパフォーマーとして招聘されているのに、自分とJ・ラルフに関しては「時間的制約のため」出演がままならないと説明されたという。その一方でデイヴ・グロールらがデヴィッド・ボウイへの追悼パフォーマンスのために出演する予定も明らかになっていて、自身が意図的に排除されていると感じたことから出席そのものを取りやめることにしたと、自身のウェブサイト上に公開したエッセーで綴っている。

「誰もがそれでも出席はするべきだとわたしにいいました、あのレッド・カーペットを歩くだけでも自分のキャリアへの後押しになるはずだからって。

最終候補者としての各種イヴェントに参加するため昨晩ロサンゼルス行きの便になんとかして自分を乗せようと頑張ってみましたが、屈辱と怒りの気持ちが蘇ってきて、どうしても飛行機に搭乗することはできませんでした。あの錚々たるハリウッド・スターの顔触れのなかで座っているのはどういう気分だろうと想像し、その中でも最も臆面のない人はわざわざわたしに悲しい表情を浮かべて歩み寄ってきては慰めの言葉でもかけてくるに違いないと思いました。そう思い至って、その辱しめの痛みが性別移行者としてかつてアメリカ社会への不適合者という烙印を受けた時の記憶を思い出させたのです。わたしは空港で踵を返して自宅に帰りました。

そんなわたしの傷に塩を塗るかのようにアカデミー賞のオフィシャル・サイトではその翌日、トリビア欄でわたしがトランスジェンダーだとわざわざ紹介されていました」

「アメリカではすべてがお金の問題です。お金を持っているか、持っていないかということにすべてが集約されます。個人のアイデンティティをめぐる施策や政治というのは所詮、富の搾取という世界に蔓延しているカルチャーからの目くらましとして使われている煙幕のようなものに過ぎません。人間が自然から富を搾取していない時、その人は必ず労働者か中間層から搾取しているのです」
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