【コラム】BUMP OF CHICKEN再び! NHK『SONGS』で語った音に込める想いとは?

【コラム】BUMP OF CHICKEN再び! NHK『SONGS』で語った音に込める想いとは?

昨年12月5日放送回に続いて早くも「2度目」が実現した、NHK総合の音楽番組『SONGS』へのBUMP OF CHICKEN出演。スタジオライヴで披露された“天体観測”“花の名”“ray”“ガラスのブルース”の4曲とともに、BUMPのキャリアを改めて総括してみせた昨年の『SONGS』。そこからさらに踏み込んだ今回の放送は、結成以降の20年間を貫く音楽への探究心を通してBUMPの「今」に明確にフォーカスを合わせた内容だった。

昨年末に「COUNTDOWN JAPAN 15/16」からの生中継という形で初めて出演した『紅白歌合戦』の映像から始まった今回の『SONGS』。スタジオライヴで演奏されたのは、事前にアナウンスされた“Butterfly”“Hello,world!”“supernova”に加え“車輪の唄”の計4曲。アグレッシヴなロック感に満ちた“Hello,world!”の演奏風景に続いて、アルバム『Butterflies』のレコーディングが行われたスタジオが初めてテレビで公開される。スタンドにずらり並んだギターを前に、直井由文が「一番レコーディングで時間がかかるのが音選びです。藤原(基央)君のギターと増川(弘明)君のギターは今日は少なめですけど、いつもだったらこの倍以上です」とバンドの音作りの様子を解説していく。

「『この中にない楽器なんじゃないか?』みたいな話になると、藤原君はそのまま楽器屋さんへ行きますね。楽器屋さんで試奏しながら音を探して、『あったど〜』って言ってそれをレコーディングに使うとか」と語る直井に続けて藤原は、誕生日に直井からプレゼントされてレコーディングでも使用したという黒のストラト(U2のギタリスト=ジ・エッジと同じギター)を紹介しつつ、「歌がまずありまして。歌を真ん中にして、この歌をもっとより良く、効果的に響かせるにはどうしたら良いかなという工夫の結果が、我々のアレンジになっているのかなと思う」とサウンドメイキングの方法論について明かしていた。

藤原いわく「暗い曲」=“レム”を書き上げた後、ごく自然に生まれてきた開放的なメロディと歌詞を活かすために、マンドリンなどそれまでのバンドアレンジとは異なる音色を取り入れたという“車輪の唄”。「ラララとか、言葉じゃないじゃないですか。でも、何か表現しているじゃないですか。何らかの感情をね。だから自分でも、悔しいなと思う時ありますね。言葉をはめようとしても『はまんねぇや』みたいな。そしたらそれで良いかなと」という思索の果てに、メロディを言葉で捩じ伏せることなく「歌詞のないサビ」を響かせた結果、オーディエンスの大合唱の輪を生み出すに至った“supernova”……そんな流れを観ていて、ふと思い出した。つい先日、2月11日に幕張メッセで行われた結成20周年Special Live「20」のMCで、藤原が2万5000人の観客に語りかけていた言葉だ。

「長いことやってると、いろんな曲が生まれてきて。新しい曲は、今まで通りの自分たちの得意なやり方だけじゃ許してくれない曲もあって。『もっと新しいことやろうぜ』『もっとお前ら挑戦しようぜ』『もっといろんなことを届けていこうぜ』っていうメッセージを持って生まれてくる曲もいて。そうすると僕たちは、足手まといになりたくなくて――僕らは音楽に育てられてるから、音楽に恩返しをしたいんだよね。生まれてきた曲の足を引っ張りたくないんだよね」

あらかじめ「自分たちらしさ」を設定するのではなく、生まれてきた楽曲とメロディを最大限に輝かせるサウンドが、新たなバンドの未来図を作っていく。アコギを奏でながら決然と放たれる藤原の歌声、升秀夫のタイトなビート感、EDM直系の鮮烈なシーケンスが一丸となって壮麗なサウンドスケープを描き出す“Butterfly”はまさに、そんなBUMPの誠実な足跡と意志の結晶そのものだった――ということが、番組のラストを飾った“Butterfly”のスタジオライヴ映像からもひときわ強く伝わってきた。

オンエア終盤、「やっぱり曲を伝えたいっていう想いは昔からあって、それが年々強まっていって。僕たちが今までやってきたことはもちろん、新たな扉を開けていかなくてはいけない。その新しい扉を開ける時には、勇気いりますよね」という直井の言葉を受けて、「昔よりも濃ゆくなってますよね、『怖いな』と思うことに対しても、『勇気出さなきゃ』と思うことに対しても」と語っていた藤原。初のスタジアムツアーを目前に控え、音楽探究心もライヴの表現欲求も全方位的に高まっているバンドの「今」を伝える、珠玉の30分間だった。(高橋智樹)
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