フジファブリック、9年ぶりの思い出の野音公演!3人の覚悟と志村への想いが交差した一夜

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現在、全国ホールツアー「FUJIFABRIC HALL TOUR Hello!! BOYS & GIRLS」を敢行中のフジファブリック。RO69では、このツアーの初日、2015年10月25日の模様をライヴ写真とレポートでお届けする。

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とても特別な夜だった。全国ホールツアー「FUJIFABRIC HALL TOUR Hello!! BOYS & GIRLS」の初日にして、フジファブリックにとって約9年ぶりとなる野音ワンマン。これまでの歩みを振り返り、未来へと突き進むためのポジティヴな意志に裏打ちされたサウンドが、目も眩むような輝きでもって放たれていた。

昨年のメジャーデビュー10周年を経て、今年2枚のコンセプトミニアルバム『BOYS』と『GIRLS』をリリースしたフジファブリック。それらを引っ提げた本ツアーが重要な意味を持っていることは、セットリストを見るだけで明らかだった。まだツアー初日のため詳細は伏せておくが、『BOYS』と『GIRLS』の楽曲を要所に配しながら、過去の名曲をバランス良く散りばめた内容。前回の野音ワンマンで披露された楽曲もいくつかあって、9年前のライヴも生で観ていた筆者としては、セットリストを見ただけでグッと来るものがあった。

バンドメンバーは、山内総一郎(Vo・G)、加藤慎一(B)、金澤ダイスケ(Key)のオリジナルメンバーに、ドラムのBOBOとギターの名越由貴夫をサポートに加えた5人編成。カラフルでポップな楽曲も、毒気たっぷりのトリッキーな楽曲も、胸に沁み入るようなストレートな楽曲も、盤石のアンサンブルでタイトかつクリアに表現してみせるあたりは、さすが凄腕のプレイヤーぞろいといったところだ。個人的にツボだったのは、9年前の野音でも披露された“サボテンレコード”。独特の詩情漂う音世界がメンバーのソロリレーを交えながらドライヴ感たっぷりに届けられ、ライヴバンドとしてのフジファブリックの現在の実力をまざまざと見せつけているようだった。

懐かしい曲を披露するたびに、「いろんな思いが溢れますねぇ。なにせ9年ぶりですから」などと感慨を口にしていた山内。中盤のMCでは、「実は僕、今日誕生日なんです」という発言から唐突に半生を語り始める。ギターに出会ってプロになるために単身上京してきたこと、フジファブリックとしてデビューしたこと、そして志村のこと。「志村くんとフジファブリックのことが大好きだったから、自分が歌うという決断をした。とにかくフジファブリックの音楽や精神を絶やしたくなかった」という心情が堰を切ったように伝えられ、「最初は歌えることはひとつしかなかった。それは志村くんのこと。でも曲を作っていく中で歌いたいことがどんどん変わってきて。それも含めてフジファブリックを更新していきたい。自分の思った気持ちをそのまんま伝えるのがフジファブリックだと今は思っています」という言葉で、長いMCを締め括った。

3人でフジファブリックを続けていくという決断をしてから、新たな音楽ジャンルに挑戦するなどさまざまな試行錯誤を繰り返しながらバンドを転がし続けてきた彼ら。そして今、どこか吹っ切れたように素直な想いを伝えていくという境地に至ったことは、とても喜ばしいことだと思う。だからこそ、この日披露された“Green Bird”や“Girl! Girl! Girl!”など最新アルバムの楽曲は、どこまでも風通しの良いムードに溢れていたし、「これが今のフジファブリックだ!」と告げるような説得力に満ちていた。何より嬉しいのは、こうして新境地を開拓した曲も、志村が遺した数多くの曲も、大きな愛と躍動感でもって有機的に響き合っていたところ。過去も現在も丸ごと受け入れることで、フジファブリックというバンドの幹をどんどん太くしていこうとする彼らのスタンスは、本当に素晴らしいものだと思う。

アンコールでは、山内の誕生日を祝ってギター型のバースデーケーキが登場! この日は木枯らし1号の強風で、山内が火を消す前にロウソクの火が消えてしまったのだが、金澤がすかさず「志村が消したんじゃないの」と言っていた。メンバー紹介では、「フジファブリックとして生きられて本当に幸せです」と告げた山内が「志村正彦ー!」と声を上げるシーンも。さまざまな苦難を経て新な季節に突入したフジファブリックの今を祝福するかのように、終演後には温かな拍手がいつまでも鳴り響いていた。(齋藤美穂)

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