「ミック・ジャガーを『時計じかけのオレンジ』の主役に」ビートルズらの嘆願書、競売に

「ミック・ジャガーを『時計じかけのオレンジ』の主役に」ビートルズらの嘆願書、競売に

ザ・ビートルズの4人も署名した、ミック・ジャガーを『時計じかけのオレンジ』の主役にと訴える嘆願書がオークションに出品され、話題を呼んでいる。

『時計じかけのオレンジ』はスタンリー・キューブリック監督、マルコム・マクダウェル主演の作品として1971年に公開されたが、もともとの映画化権はミック自身が500ドル(1967年当時のレートで約18万円)で原作者のアンソニー・バージェスから買い付けていて、それを映画プロデューサーのシー・リトヴィノフに譲ったものだった。

実は今回オークションに出品された嘆願書とは別に、リトヴィノフが『真夜中のカウボーイ』などの傑作で知られる映画監督のジョン・シュレシンジャーに宛てた手紙も数年前に発見されていて、リトヴィノフがシュレシンジャーに監督要請を打診していたことが明らかになった。この手紙の中でリトヴィノフはシュレシンジャー監督に対して、ミックが主役のアレックスを演じたいと熱望していること、さらにビートルズが音楽を提供したがっていることも明らかにしている。

シュレシンジャーはその後この映画の監督を断ったが、実は脚本についてはミックとリトヴィノフが映画化権を獲得した時点で『イージー・ライダー』の脚本などで知られるテリー・サザーンが執筆に着手していたことで知られている。しかしある時点で、サザーンは主演に『欲望』などで知られるデイヴィッド・ヘミングスを予定して製作準備を進めていたことが発覚し、嘆願書は次のようにヘミングスではなくミックを主役に据えるよう要求している。

「以下に署名のあるわたしたち一同は、『時計じかけのオレンジ』のアレックス役にあなたがミック・ジャガーではなく、デイヴィッド・ヘミングスを推していることについて、(あなたへの)期待が砕け散った幻想となってしまった思いですし、そのことを極めて激烈に抗議します」

これにマリアンヌ・フェイスフル、アニタ・パレンバーグ、映画監督クリスチャン・マルカンらが表面に署名し、裏面にはビートルズの4人が署名している。

最終的にサザンの脚本は全英映画等級審査機構により審査拒否扱いとなってしまったため映画化が不可能となり一時凍結されたが、その後、自身のナポレオン伝記映画プロジェクトが頓挫したキューブリックがこの原作を読んであらためて脚本と監督を手がけることになった。なお、オークションを開催するパドルエイトによれば、キューブリックはミックの起用も考えたが、当時のミックが薬物で逮捕され投獄されていたことなどを危惧して、『if もしも…』で主演デビューしたマルコム・マクダウェルを抜擢したのだという。

ミックを主役にとビートルズも署名した嘆願書はこちらから。
https://paddle8.com/work/the-beatles/85355-petition-against-the-selection-of-david-hemmings-over-mick-jagger-for-the-lead-role-in-kubricks-a-clockwork-orange/
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする