ポール・マッカートニー、ビートルズ時代の作曲クレジット問題を語る

ポール・マッカートニー、ビートルズ時代の作曲クレジット問題を語る

今週行われるノルウェイとスウェーデンの公演でヨーロッパ公演を終え、残すはロラパルーザ出演だけとなるポール・マッカートニーのアウト・ゼアー・ツアーだが、ポールはビートルズ時代の「レノン=マッカートニー」としての作曲クレジットについて語っている。

エスクワイア誌の取材に応えたポールはさまざまな話題に答えているが、ジョンと自分の作曲クレジットを「レノン=マッカートニー」と取り決めた時のことや、かつて自分の楽曲は「マッカートニー=レノン」として表記する取り決めも実際にしていたことを次のように明らかにしている。

「まだ、駆け出しだった頃、自分たちの曲のクレジットをどういう名称にするかって悩んでたんだよね。それで(マネージャーの)ブライアン・エプスタインとジョン(・レノン)とぼくとでミーティングをやったんだよ。ジョンとブライアンはもうこの話をしていたようで、『作曲クレジットはレノン・アンド・マッカートニーというものするべきじゃないかと思うんだけど』という話があって、ぼくはこう言ったんだよ、『それでいいけど、マッカートニー・アンド・レノンっていうのはどう? ぼくが書いた曲についてそうするのってどうかな。それも語呂としてはいいし』ってね。そうしたら、『じゃあ、そういう場合には順番を入れ替えようか。レノン・アンド・マッカートニーとマッカートニー・アンド・レノンってね』っていう話に落ち着いたんだけど、結局、そういうことにはならなかったんだ。で、別にぼくは別にそれでよかったんだ。ロゴとしても座りがいいし。ロジャーズ・アンド・ハマスタイン(40年代から50年代にかけて活躍したブロードウェイ・ミュージカルの作曲チーム)みたいにね。ハマスタイン・アンド・ロジャーズだといまいちだからね。それでぼくも『それでいいや』って思ってたんだ。

だけど(1996年に)『アンソロジー』を出した時に、『ジョン・レノンとポール・マッカートニーによる作曲って説明されるんだったら、レノン=マッカートニーってクレジット処理されるのとは違うし、レノン=マッカートニーっていう作曲ロゴにもなってないよな』ってぼくは思ったんだよ。特に"イエスタデイ"だったら、ジョンは全然関わってないし、ほかのビートルズのメンバーも関わっていないし、ぼくがひとりで書いて、ひとりで歌って、ほかの誰もレコーディングに参加していないし、誰もなんら関わってさえいないし、そのことをみんなも気にしてなかったし、ぼくも気にしてなかったし、誰も気にしてなかったけど、ぼくの曲だったわけだから、そういうことだったら『ポール・マッカートニーとジョン・レノンによる作曲としてくれないかな』って提案したんだよ。『その代わり"ストロベリー・フィールズ・フォーエヴァー"はジョン・レノンとポール・マッカートニーによる作曲、"ノーホエア・マン"はジョン・レノンとポール・マッカートニーによる作曲、そして"ペニー・レイン"はポール・マッカートニーとジョン・レノンによる作曲ってすればいいんじゃないか』ってね。曲を解説するという意味合いでも、こういうことはできないかって提案したんだよ。

で、最初は(オノ・)ヨーコもいいわよってことだったんだ。でも、その数日後にヨーコから電話があって、当時ヨーコが同棲していた(画廊経営やアート・コーディネイターで知られている)サム・ハヴァトイとも相談していて、あんまりいい考えじゃないと思うって言い出して、それからはだめだめだめだめってなっちゃったんだよ。それからぼくにはなんだか納得できなくなったんだ。というのも、『アンソロジー』のデザインでは"イエスタデイ"が『ジョン・レノンとポール・マッカートニーによる作曲』となっていて、しかも、ジョンの写真が使われてるんだからね。それで『ちょっと勘弁してくれないかなあ!』って思ったんだけど、そうさせてもらえなかったんだ」

実際、ポールがこうした作曲クレジットの変更を希望していることが報じられるとポールは批判されることにもなったが、ポールとしてはたとえば、映画のチケットを買っても近頃ではスペース上の問題で『デンジャラス・ビューティー』とすべてチケットに印刷されずに『デンジャラス・ビュー』と頭だけになってしまうようなこともままあるので、クレジットの最初に名前がくるのとこないのとでは大違いだし、自分が書いた曲については自分の名前を頭にもってきてほしかったと語っている。しかし、その後、諦めたと次のように語っている。

「それでね、変に思われたら嫌だなと思って……っていうか、ジョンが今生きてたら、絶対に別にいいよって言ってたはずだから。ジョンにはそういうことは別にどうでもいいことだったからね。そんなことで悩むようなタイプじゃなかったし。だから、もうぼくも諦めることにしたということだね。なんかジョンに対してけちをつけてると変に勘ぐられたら嫌だなと思ったからね」
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする