キッスのジーン・シモンズ、若いバンドが成功するための土壌をファンが破壊したと語る

キッスのジーン・シモンズ、若いバンドが成功するための土壌をファンが破壊したと語る

かねてから違法ダウンロードなどによってロックは衰退したと訴えているキッスのジーン・シモンズだが、持論をあらためて主張している。

イギリスのラジオ局のプラネット・ロックの番組に出演したジーンは現在のロック・バンドはかつて自分たちが受けたような資金的な支援を受けていないから同じような成功を手にすることもありえないと語っていて、それはファンのせいだと断じている。

「これはファンが悪いんだよ。ファンがこぞって、みんな全員で、そう決めたんだから。ダウンロードやファイル共有によって音楽はただで手に入れるものだってね。そうやって次のエルヴィス・プレスリーや次のビートルズ、次のキッスや次の誰それをあらかじめ殺しちゃってるんだよね。っていうのは、もう今じゃ無料で音楽を提供しなくちゃならないからなんだ」

「すごくがっかりすることだよね。ファンが若いバンドを応援したがってないってことなんだから。それは次の偉大なバンドに大きな影響を与えるんだよ。チャンスにもう恵まれないんだからね。どうしてこうなっているのか? もう才能ある人材がいなくなってしまったからなのか。いや、才能ある連中はいくらでもいるんだよ。ファンの方から殺しちゃったんだよ。ファンがインフラを破壊しちゃったんだから」

さらにかつてのレコード会社はどこまでもバンドを支援したと次のように振り返っている。

「レコード会社は別に返済しなくてもいい資金をバンドに与えてたんだよ。バンドがうまくいかなくて、レコードも大コケしたら、その前金はそのまんまチャラにしてもよかったんだ。そんな金をくれる業界がほかにある? 銀行に行って100万ドル(約1億2300万円)融資してもらって事業が大失敗したとしても、失敗したかどうかなんてことは銀行には関係ないよ。とにかく金返せって言うだけだよ」

さらにレコード会社の振る舞いは「天国からの贈り物」のようだったともジーンは語っていて次のように続けている。

「もちろん、レコード会社だって儲けには貪欲だけど、きみとまったく同じように金を稼ぎたいだけの話なんだよ。それなのに、金を渡してくるんだよ、しかも百万単位でね。そんなレコード会社がなかったらね、セックス・ピストルズだって存在しなかっただろうし、パンクだって存在しなかっただろうし、なんにもなかったはずだよ。パンクは存在したかもしれないけど、小さなクラブだけでの話だよ。それが現象になるようなことなんてありえなかったね」

ジーンは昨年エスクワイア誌とのインタヴューでロックは死んだと宣言し、現在ロック・ミュージシャンを志す若者への助言としてもはや収入は見込めなくなっているから「日中の仕事はやめちゃだめだというのはいいアドヴァイスだと思うよ」と語っていて次のようにロックの全盛期を振り返っていた。

「俺が駆け出しだった頃は音楽業界はこんなにどうにもならない世界じゃなかったんだ。レコード会社に見込まれさえすれば、しっかり資金的に援助してもらえたし、それはつまり、ツアーもすればその援助も資金的にしてくれたということなんだよ。次のビートルズを支援する業界そのものがあって、そういう才能を見出しては支えてたんだよ」

さらに次のようにロックの死について語っていた。

「ロックは老齢のため死んだんじゃないんだ。殺されたんだ。その真犯人は、隣に住んでいる15歳の少年やその友達なんだよ。あるいはその少年が一緒に練習しているバンド仲間かもしれないんだ。問題はね、自分が1万時間注ぎこんで作り上げたような作品に対して誰も対価を払おうとしなくなったということなんだ」

なお、フー・ファイターズはこのジーンの発言に対して、キッスの1976年の『地獄の軍団』収録の"雷神"にちなんで、「そんなに早く殺してんなよ、雷神のおっさん」とコメントしていた。

(c) NME.COM / IPC Media 2015
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