ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、"ムーンライト・マイル"について語る

ザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、"ムーンライト・マイル"について語る

北米ツアーの開始に先駆けて行われたサプライズ公演で1971年の名盤『スティッキー・フィンガーズ』の全曲ライヴをやってのけたと伝えられたザ・ローリング・ストーンズだが、ミック・ジャガーは"ムーンライト・マイル"の制作秘話を語っている。

"ムーンライト・マイル"の収録された『スティッキー・フィンガーズ』は6月10日にデラックス盤のリリースも予定しているが、ミックはこの曲を書いたきっかけを次のようにザ・ウォール・ストリート・ジャーナルに振り返っている。

「"ムーンライト・マイル"のごく早い段階の歌詞は1970年の夏の(ヨーロッパ・)ツアーの時に持ち歩いていた楽曲ノートに書きつけたものだったんだ。この頃にはツアーもしんどくなってきて、ちょっとホームシックになってたんだね。列車で移動してて月が出てきた時にこの曲が閃いたっていうことだったんだと思うよ」

ただ、レコーディングそのものはためらっていたと次のように説明している。

「時々、自分が書いてる曲をレコーディングする気にならないこともあるんだよ。なんか、『これはわざわざレコーディングするほどのもんじゃないな。ただの落書きだろ』って思っちゃうんだよ」

しかし、ツアーが終わってみると心境が変わってやっぱり取り組んでみる気になったと次のように振り返っている。

「1970年10月にヨーロッパ・ツアーを終えて、スターグローヴスっていうぼくのイングランドにある田舎の別荘にみんなでいたんだ。ある晩、みんながいたところで、ぼくも以前書きかけていた曲をいじってみたんだよ。もう自分の家にもいたし、すごく気分も落ち着いてね。そうしたら、曲がそういう方向で形になり始めたんだよ。見知らぬ土地にいて帰りたいなあっていう気分の時に列車の窓から外を眺めてると、列車の横の線路が月明かりに照らし出されているのが見えるっていうね」

最終的に1970年にハンプシャー州にあったミックの邸宅「スターグローヴス」で行ったレコーディングでのセッションでこの曲のレコーディングも行われたとミックは説明するが、キースはすでに帰宅していて、ビル・ワイマンも不在だったため、ミック・テイラーとチャーリー・ワッツの3人だけで制作したのだという。また、ミックはこの曲の制作の特徴を次のように説明している。

「たとえば、曲をひとりで書いてデモを作ってスタジオに入っていろいろ手を入れて変えていくっていうやり方もあるんだけどね。でも、時々、曲を書き上げるのとレコーディングするのとを同時にやっちゃうこともあるわけだよ。これはそんな曲のひとつだったんだ」

「"ムーンライト・マイル"を特別なものにしてるのは、これが曲であると同時にレコーディングでもあるからなんだ。いろんな要素が詰まってるんだよね、変な調子のピアノとか、マレットで叩いてトムトムみたいな音のドラムとか、いろんな音色のギターとか。それが全部ひとつになって、やわな部分と寂しさをかもす感じを生み出していったんだよ。ベーシック・トラックを3人で作り終えたのは朝の6時くらいだったんじゃないかな。もう日が昇り始めてたから」

なお、ライヴでのこの曲の手応えについては「ぼくたちの今の演奏の仕方の方がアルバムでやった時よりぼくも全然安心できるものだからね」と語っていて、次のように今の心境を明かしている。

「今"ムーンライト・マイル"を聴いてみると、本当にこれが好きなんだ。これは音楽としていい作品だと思えるんだよ。変わってて、でも聴きやすくて、繊細で、ちゃんと落ちもついて終わり方もいいからね。それとあの頃と較べるとぼくもツアーの生活にすっかり慣れたってこともあるのかな(笑)」
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