NY発のEDMフェスが日本初上陸。「Electric Zoo Beach Tokyo」の模様を速報レポート

NY発のEDMフェスが日本初上陸。「Electric Zoo Beach Tokyo」の模様を速報レポート - Electric Zoo Beach Tokyo オフィシャル・フェイスブックよりElectric Zoo Beach Tokyo オフィシャル・フェイスブックより

ゴールデンウィーク最終日となる5月6日(水)、「Electric Zoo Beach Tokyo」として日本初開催されたニューヨーク発のEDMフェス「Electric Zoo」。RO69では、スティーヴ・アオキをヘッドライナーに据え、国内外総勢21組のアーティストが出演した同フェスのオリジナル・レポート記事を公開しました。

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【Electric Zoo Beach Tokyo @ 海浜幕張公園 Electric Zoo Beach Tokyo 特設会場】

NY発のパーティ「Electric Zoo」が、千葉・幕張の海岸に「Electric Zoo Beach Tokyo」として初上陸である。本稿では洋楽アーティストを中心にレポートするけれども、スティーヴ・アオキをヘッドライナーに据え、今をときめくスターDJ/プロデューサーがズラリと揃ったラインナップ(前日には「electrox Beach Osaka」にも出演した顔ぶれ)が、ビーチにEDMの時代感覚を鮮やかに描き出すさまは壮観であった。

砂浜には、OCEAN STAGEと、そちらより一回り大きなBEACH STAGE(フィールドの海側には櫓型のラウンジが設けてあり、潮風に舞う砂埃を防ぐというデザインも秀逸)の2つが設置され、次々にパフォーマンスが繰り広げられる(日中は、会場エントランスの外で、車両にサウンドシステムを積んだブースのRed Bull MEGA CRUISER STAGEも稼働していた)。BEACH STAGEに登場したLA出身のパリス・ブロームは、硬派なビートとサイレンの如きブレイクスで煽り立てて歌モノを投下する。年始の「electrox」でもステージを繰り広げたクライオマンのライヴは、重心の低い音作りにエキゾチックなメロディを絡め、自らペットボトル入りの水を2ダースほどフィールドに投げ込みつつ、お馴染みのLEDロボット・スーツがスモークを噴射してパーティ性を高めていた。

そしてこちらも「electrox」以来となる、イタリアの兄弟DJデュオ=ヴィナイ。マジック!“Rude”のゼッド・リミックスなどキャッチー&バウンシーなハウスを連発し、フィールドから勝手にコールが巻き起こるほどの人気者だ。スウェーデンのブロンド女子2人組=レベッカ&フィオナは、ソウルフルな歌モノとファンキーなグルーヴをセレクトする、ディスコ・カルチャーへの愛に貫かれたパフォーマンスが魅力的。ヴィナイに続いてダッチ・ハウス由来のプレイを繰り広げたオランダのリハブ(R3HAB)も大人気で、パンダのアニメVJを背負った“Flashlight”を手始めにセパレートDJも交えて歌心を大切にする。ビート控え目の“Soundwave”では、じっくりとオーディエンスの歌声を誘ってみせた。

個人的に楽しみにしていた出演者のひとつが、キャッシュ・キャッシュである。ポップ・バンドとしての出自を持ちながら今やDJアクトとしても実に頼もしく、エミネムをマッシュアップした自己紹介トラックから“Satellites”へと繋ぐ。キャッチーなオリジナル曲やリミックスを数多く抱えたアドヴァンテージが光り、エイミー・ワインハウスからウータン・クラン、そして新作にも収録された“Overtime”と鮮やかにミックスする手捌きも見事だ。リハブからダッチDJリレーのバトンを受け取ったのはW&Wであり、ひたすら扇動的でいなたい力技のパフォーマンスが熱狂を誘う。彼らも“Rude”のゼッド・リミックスで喝采を浴びていたが、そういえば会場内ではゼッドの来日公演決定(6/4東京・新木場スタジオコースト/6/6大阪・堂島リバーフォーラム)も告知されていた。

こちらもオランダ出身のダイロは、ダンスホールものから鬼のようにバウンシーなトラップと、4つ打ちハウスとは一線を画した切り口で攻め立てる。昨年の新作『アバンダン・シップ』を携えたナイフ・パーティーの、これぞブレイクビーツ・プライドと呼ぶべきロックな即効性と並び、日が落ちて気温の下がる環境には最高のブッキングだった。そしてOCEAN STAGEのアンカーとして立つダブズ(DVBBS)は、手抜かり無しの豪快なダブステップでスパートをかける。「electrox」でもそうだったけれど、彼らがマイクを握って煽るさまは本当に凄まじく、リハブ曲をプレイするところにクライオマンのロボット・スーツも登場させるという、同世代の共闘ぶりも見られた。

そして大トリは、登場前から「エィ!オ!キ!!」のコールが自然発生する我らがスティーヴ・アオキである。BEACH STAGEは一日を通じ、来場者の盛況ぶりに対してどうしても音量が小さく感じられていた。どうにかPAテントの前方辺りまで潜り込んでみたのだが、疲労なのかアオキの煽り立てる声も掠れてしまっている。それでも序盤から、間もなく5/13に日本盤リリースされる新作『ネオン・フューチャーPart.2』の収録曲を惜しげもなく披露していった。

オリジナル曲を連発する彼の唯我独尊DJは相変わらずユニークだが、冷静に考えてみると、他アーティストの人気曲やディグした優れたトラックをプレイするDJと比べて不利も大きい。だからこそ、アオキは躍起になってキラー・チューンを量産してきたのかな、と感じられた。女子ファンや出演DJ、そしてクリエイティブマンの清水代表らを招き入れて記念撮影を敢行し、ダウンロード公開された新曲“Cake Face”がプレイされたかと思えば、巨大ケーキをオーディエンス目がけて投げつける(フェスではもうやらない、と言っていたのに)。掠れた声で最後まで叫び続ける体当たりのパフォーマンス含めて、やたら胸を熱くさせられるステージであった。(小池宏和)
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