2月4日(水)に新作『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』をリリースするボブ・ディランはアメリカの失業問題の解消は富裕層にやらせるべきだと発言している。
アメリカの高齢者向け総合誌AARPの取材に応えたボブは失業問題について次のように語っている。
「政府が仕事を作ってくれるわけじゃないんだから。別にそれは政府のやることじゃないし。それは人々の方で作っていかなきゃいけないんだよ。で、それをやれるのはよく槍玉に上がる億万長者の連中だろう」
しかし、現実にはそういうことは行われていないし、都市部では犯罪と人々が「アルコールと薬物に耽る」ような状況が蔓延しているとボブは語っている。
「こうした連中はみんな、うはうは儲かってる億万長者どもが仕事を作ってたらそれにありつくことだってできたはずだよ。そうなってたら、なんかしらの幸せが生み出されていたであろうことは間違いないよ。だからって、別にそうしなきゃいけないっていう話をしてるんじゃないよ。共産主義をやれって俺は言ってるんじゃないんだから。でも、そんなにお金を稼いでて一体なにに遣うんだよって話なんだよ」
さらに機会に恵まれていない人々についてボブは次のように語っている。
「しっかりした人たちだっているんだけど、こうした人たちは仕事がないという状況に押し潰されてるんだよ。こうした人たちがなんかしらの職に就くことはできるはずなんだ。億万長者どもがこの国の中できちんと産業を興せばいいんだよ。けどね、誰にもそんなことを指図する権利はないしね。だから、神様のお導きを待つしかないよね」
なお、ボブの新作『シャドウズ・イン・ザ・ナイト』はフランク・シナトラのレパートリーのカヴァー集になっているが、カヴァーに取り組んだ抱負を次のように語っている。
「こういう楽曲に取りかかる時にはフランクのことを思ってなきゃだめなんだ。というのは、フランクは山だからなんだよ。途中までしか行けなかったとしても、それはどうしても上っていかなきゃならない山なんだよ」
「フランクはね、聴き手に歌いかける人だったんだよ。単に聴き手に向かって歌うだけじゃなくてね。俺は誰かに向かって歌うだけのような歌い手には絶対になりたくなかったんだ。俺はいつだって誰かに歌いかけたいと思ってきたんだよ」
さらに今回のレコーディングが5人編成のバンドだけで制作されたことについて次のように語っている。
「俺としてはきっと、今回のカヴァーをこの5人組のバンドだけでやったことにフランクに驚いてもらえると思うんだよね(フランクのレコーディングの大半はストリングスとホーンも含めたビッグ・バンドで行われていた)。そこをある意味、誇りに思ってもらえるんじゃないのかな」