名機ローランドTR-808のドキュメンタリー映画『808』が来年公開に

名機ローランドTR-808のドキュメンタリー映画『808』が来年公開に - 『808』 オフィシャル・フェイスブックより『808』 オフィシャル・フェイスブックより

ロックやR&B、初期ヒップホップやハウスに画期的な影響をもたらしたドラム・マシーン、ローランドTR-808のドキュメンタリー映画『808』が来年アメリカで劇場公開される。

通称「808」で有名なTR-808はマーヴィン・ゲイが初めてR&Bで導入したことやアフリカ・バンバータ、トーキング・ヘッズ、ビースティ・ボーイズら多数のアーティストが使ってきたことで知られていて、最近ではカニエ・ウェストが2010年の自身の作品『808s &ハートブレイク』のタイトルにまで使ったことでも記憶に新しい。

TR-808は1980年の発売直後にイエロー・マジック・オーケストラによって初めてライヴで使われていて、81年のアルバム『BGM』でも導入されることになった。その後、マーヴィン・ゲイ、アフリカ・バンバータ、トーキング・ヘッズやデヴィッド・バーンの使用によって広く知られるようになり、プロデューサー・デュオのジミー・ジャム・アンド・テリー・ルイスがさまざまなアーティストの作品に導入することで爆発的に広まることになった。その後、ドラム・マシーンのサウンドは格段に向上していったが、86年にビースティ・ボーイズが『ライセンス・トゥ・イル』をほぼ全編808を使って制作すると、ヒップホップにおける定番サウンドとして逆に定着することになった。

ドキュメンタリーでは808を使ったアーティストの数々がインタヴューに応じていて、デーモン・アルバーン、フィル・コリンズ、ディプロ、ニュー・オーダー、ファットボーイ・スリム、デヴィッド・ゲッタ、ジミー・ジャム・アンド・テリー・ルイス、トーキング・ヘッズのクリス・フランツ、リル・ジョンらが登場しているという。

ファレル・ウィリアムスは808を使ったアフリカ・バンバータの"プラネット・ロック"について「"プラネット・ロック"はまったく別なものをもたらしたんだよ。あんな音はそれまで聴いたこともなかったからね」と語る一方で、『ライセンス・トゥ・イル』のプロデューサーを務めたリック・ルービンは「808はあの機械独自のグルーヴを内に備えてるんだ」と振り返っている。また、ザ・ルーツのクエストラヴは「それまであんな未来的な音は聴いたことなかったよ。機械の中にドラムが詰め込んであったんだから」と説明している。

ダンス・ミュージックでは長く評価された機材だったが、早急に生産が見送られるようになった事情などについてもローランド社創業者のミスター・Kこと梯郁太郎が答えているとか。なお、ドキュメンタリーの監督、アレクサンダー・ダンは次のように語っている。

「ドラム・マシーンという電子機材のドキュメンタリーを制作するというのはとても面白いチャレンジとなったよ。ドラム・マシーンは自分からは語ってくれないから、なかなか物語を固めていくのが難しかったね。でも、この808の話はぼくには壮大な発見の旅ともなったんだ。おかげで50人以上の世界中のアーティストやミュージシャンに会えることにもなったし、808や808特有のサウンドを使って制作した音楽についてそれぞれの個人的なお話を聞かせてもらえることになったんだ。この作品の本当の主人公はこうしたアーティストやミュージシャンのみなさんで、この人たちの手にかかることで808を音楽を決定的に変えていくことになったんだよ」

なお、作品の公開時には808を使って制作された音楽作品のコンピ盤もリリースされる予定になっているという。

『808』の予告編はこちらから。

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