TOTALFAT「PUNISHER'S NIGHT 2014」@ 新木場STUDIO COAST

TOTALFAT「PUNISHER'S NIGHT 2014」@ 新木場STUDIO COAST
毎年、渋谷CLUB QUATTROで開催されてきた恒例のTOTALFATプレゼンツ「PUNISHER'S NIGHT」だが、今年は大きくスケールアップして初の東名阪で開催された。1月31日の大阪BIGCAT、2月1日の名古屋DIAMOND HALL、そしてこの夜の新木場STUDIO COASTと見事に全ヶ所ソールドアウト! まだ積雪の残る寒空のなか開演前から大勢のキッズが駆けつけ(半袖半パンで駅からダッシュする強者も!)、STUDIO COASTは汗ばむほどの熱気に包まれた。

ライヴの先鋒を担ったのは、最後に出演がアナウンスされたKNOCK OUT MONKEY。意気揚々と登場したdEnkA(G)、ナオミチ(Dr)、亜太(B)、w-shun(Vo&G)の4人は「かかって来い! 後ろも来い!!」と、冒頭“Primal”を激しいアジテーションと共に撃ち放ち、瞬く間に絶頂へ。“神戸の暴れ猿”との異名に違わぬ荒々しくも躍動的なアクトで盛大なクラウドサーフを巻き起こし、一転、ダンサブルな“実りある日々”では「遊びに来たんでしょ? 好き勝手やってちょーだい!!」とギターを置いてハンドマイクとなったw-shunがステージ狭しと飛び回り、キッズも肩を組み合ってジャンプ。場内はあたたかなヴァイブスで満たされていく。後半戦では「今年初ライヴなんで、お年玉じゃないけど新曲やりたいと思います!」と2月26日に発売を控えた1stフルアルバム『INPUT ∝ OUTPUT』から強力ナンバー“I still”もプレイされ、早々にフロアを沸かせていた。ハードコア、パンク、メタル、レゲエなどなど、あらゆる音楽性を激しくも卓越したアンサンブルで響かせる技量、そしてw-shunによる際立った歌メロと、バンドのポテンシャルを余すところなく見せつけたKNOCK OUT MONKEY。4月からのツアーにも期待膨らむ快演だった。

しばしの転換後、大歓声を浴びてdustboxが登場! 初っ端“Break Through”からグゥの音も出ないほど完成されたアンサンブルで加速し、「そんなもんかい!? 今日はヤっちゃっていいんだよ!!」(SUGA)と焚きつけて“Try My Luck”“Jupiter”と矢継ぎ早に畳み掛け、イベント丸ごと乗っとっちゃうほどの大熱狂を立ち上げてみせる。パイセンの実力と貫禄をこれでもかと見せつけながらも、「俺らがここでワンマンやった時とか、あいつら(TOTALFAT)いつも遊びに来てくれて。で、いつかここで演ってみたいッス!って言ってて。それが、今日叶いましたよ! 目いっぱいお祝いしてあげて!」(JOJI)とMCでは後輩思いな一面も覗かせ、終盤メタリックな“SxOxP”では不意にパーカー姿の男が乱入――フライングVを抱いた彼こそは、そう、Kuboty from TOTALFAT! SUGAと高らかなユニゾンソロを響かせて燃え盛るような熱狂を生み出し、最後はSUGAがキッズの元へダイヴ! メロディックパンクの理想を体現したと言って過言じゃないマーヴェラスな熱演で主役にバトンを継いだdustboxだった。

TOTALFAT「PUNISHER'S NIGHT 2014」@ 新木場STUDIO COAST
そして午後8時に差し掛かるころ、「新木場アガってるか!? PUNISHER'S NIGHT、盛り上がって行こうよろしく!!」と金髪に染めたShunが叫んでTOTALFAT出陣! フロア一面にコブシを突き上げて冒頭“PARTY PARTY”から瞬く間に沸点へと駆け上がり、Buntaのドラミングを原動力に、そしてJoseの天を突くようなハイトーン・ヴォイスが翼となって、一路<その先>へと突き進んでいく。3曲目“Summer Frequence”では「Kubotyの超ヤバいソロ見たい人?」(Shun)とお立ち台でKubotyがド派手なタッピングソロを披露するなど、序盤からTOTALFATならではの乱痴気パーティが展開された。

TOTALFAT「PUNISHER'S NIGHT 2014」@ 新木場STUDIO COAST
TOTALFAT「PUNISHER'S NIGHT 2014」@ 新木場STUDIO COAST
「満員御礼、ソールドアウトありがとうございます!」と最初のブレイクでShunが告げる――「俺、わかってんの。みんなが普段仕事とか学校とか、いろいろ自分押し殺してマジメに一生懸命やってんの、知ってます。せっかく今日集まったんだからバカになって一緒にパーティしよう!」と呼びかけて、さらに場内のヴォルテージは急上昇。毎度のことながらShunのMCが何しろ熱くて、常にキッズの立場に寄り添った言葉はこの夜のひとつのハイライトと言えるほど。「みなさんに贈ります。君はひとりじゃない!!」と力強く届けられた“Place to Try”は、そこにいた誰もがあたたかなフレンドシップで結ばれ、青春がまさにピークを迎えたような絶景がとりわけ感動的だった。

TOTALFAT「PUNISHER'S NIGHT 2014」@ 新木場STUDIO COAST
いつの間にかBuntaは上半身裸になっていて、中盤以降も列島上空に居座る寒波を吹き飛ばしてしまうほどの熱演でスパート。「大事な先輩、これからもついて行きます!」とdustboxに、「あいつらとは出会ってからは長くて。同い年ってこともあって、でっかいシンパシー感じてます!」とKNOCK OUT MONKEYに最大限のリスペクトを捧げて、「全力でかかってこい! 全部受け止めてやるよ!!」と“Overdrive”の爆速2ビートで再び絶頂へと駆け上がって本編はフィニッシュ。アンコールでは全ヶ所ソールドアウトできたことの感謝と喜びを語って、さらに「いつか一ヶ所でデッカイのやりたいと思ってんのよ。それがいつになるかわからないけど、俺たちの夢に付き合ってくれますか?」(Shun)と心踊る発言も――。いや、こんなにストレートに、絵空事ではなく“愛”と“勇気”を歌ってくれるバンドがいることに無性に胸が熱くなってしまった。「いま、めちゃめちゃ曲作ってて。俺たちだけじゃなく、みんなの人生変わっちゃうような曲と歌詞を絶対書きます!」(Shun)との宣言も頼もしい限り。大いなる夢に向かって加速度を上げるTOTALFAT、振り落とされずについて行くべし!(奥村明裕)
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