Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST

Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST - pic by RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)pic by RUI HASHIMOTO(SOUND SHOOTER)
凛とした決意と闘志がそのままダイナミックな熱風の如きアンサンブルとなって吹き荒れる最新シングル曲“ツバメクリムゾン”が、満場の新木場STUDIO COASTに開演早々から炸裂! 高らかに響き渡るフロア一面のクラップが、やがてコースト丸ごと激震させる狂騒感へと姿を変えて、《変わりゆく 君が笑っていた 真っ赤にスターダスト燃え尽きて 消えゆくまで》という村松拓の熱唱&熾烈なサウンドスケープと渾然一体となって、広大な空間を熱気と歓喜で満たしていく……昨年12月18日にリリースされた最新シングル『ツバメクリムゾン』を引っ提げて行われた、Nothing's Carved In Stoneの4都市5公演のツアー『Dive Into The Crimson Tour』のファイナルにして、新木場STUDIO COAST 2Daysの2日目。序盤から沸き返る会場に「よぉ、新木場! 今日がどんな夜になるか、俺は想像ついてるけど……みんな、どんな夜になると思う? 最高の夜にしようぜ!」と語りかける村松の言葉とそれに応える大歓声を待つまでもなく、揺るぎないロックが最初から最後まで観る者すべての心と身体を満たした、最高の一夜だった。

Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST
シングル収録曲“ツバメクリムゾン”“It means”はもちろん、“Out of Control”“The Fool”“Sick”など最新アルバム『REVOLT』の楽曲、“Spirit Inspiration”“Pride”といった前作:メジャー1stアルバム『Silver Sun』の楽曲、シングル『Out of Control』のカップリング“Raining Ash”、さらにはインディーズ時代のアルバム3作『PARALLEL LIVES』『Sands of Time』『echo』の楽曲を織り重ねて……といった具合に、Nothing's Carved In Stoneの歴史を高純度で凝縮してみせるような意欲的なセットリスト。そして、そこからリアルに浮かび上がってくるのは、スタートから5年あまりで急速な極限進化を遂げ、目映いほどの輝度と強度を獲得しながら、よりいっそう加速度をつけて「その先」へ駆け抜けていこうとする、村松拓/生形真一/日向秀和/大喜多崇規の4人の「今」のエネルギーそのものだ。

Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST
時に幾何学的なフレーズを描き出し、時にロックンロールの化身のようなギター・ソロを弾き倒し、STUDIO COASTの空気を震わせていく生形。スラップ奏法からハイブリッドなエフェクト音色まで駆使し、緻密で大胆なナッシングスの音楽にスリリングなドライブ感を与えていく、日向の豪腕ベース・プレイ。5拍子/7拍子から「一見変拍子」なリズムまで自在に繰り出しビートの黄金律に変えるしなやかさと、触れる楽曲すべてを壮大な地平へと誘っていく圧巻の爆発力に満ちた、大喜多のドラミング。そして、この5年間でロック・アイコンとしての強烈な訴求力を獲得した村松の歌と佇まい……それらすべての要素が至上のヴァイブとともに響き合って、オーディエンスを高揚の彼方へと導いていく。晴れやかな音像と心に焼きつくような村松の歌が鮮烈に輝く“Sunday Morning Escape”、《偽れない 君の未来を 迷いは照らす 重なって 覆い隠してる 幾千の願いを》という真摯な歌が胸震わせる“朱い群青”、個々のパートが一見まったく別のリズムとロジックで進み出すような“The Fool”がやがて4人一丸となって繰り広げる雄大な音の風景……高度に編み上げられたフレーズとリズムのタペストリーが、熱い想いと覚悟と一体となった時、そこには現実をこじ開ける途方もない突破力と推進力が生まれる。この日の4人のステージは、まさにそんなマジックそのものだった。

Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST
「今回『ツバメクリムゾン』っていうシングルを出して。ある意味、決意表明というか。一瞬の花火でもいいから、燃えれるだけ燃えて燃え尽きてやろうじゃないか、みたいな。そういう決意をもって、今回のツアーを回ってます」と、今回の『Dive Into The Crimson Tour』の意気込みを語っていた村松。「懸けるものがあると、気持ちも強くなるけど、その分、気持ちの波も激しくなって。いいことも悪いことも全部、自分にのしかかってくるし、負けそうになるんですけど。それだけ、自分のための明るい未来を求めていかないと、求めてるものは全然振り返ってくれなくて。だから、どんだけ熱くなって、そんだけ正直にそこに向かっていくかっていうのが、今うちのバンドにとって大事だなと思って、立ち向かおうかなっていう気持ちなんですけど」――彼らの視線の先にまだまだ見果てぬ世界が広がっていることが、その言葉からもびりびりと伝わってくる。

Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST
「もうバンドやって5年経つんですけど。メンバーそれぞれ、他にバンドやってたり、いろんなプロジェクトやってたり、それぞれプレイアビリティを持つバンドだと自負してて。4人集まって音出したら、まあ負けねえだろって。お前ら、俺みたいな声出すやつ、他に知ってるか? 日本に今、俺以上の声を持ってる人は……まあ、違う声出す人はいるけど、でも俺の声出せるやつは日本のどこにもいねえよな? っていう4人でナッシングスやってます!」という気迫のこもった村松の宣誓に、フロアから惜しみない拍手が沸き上がる。「このバンドに懸けてる意気込みがずっと、5年前から変わらずあって。その決意をこめた曲が、うちのバンドにあります。その曲を、新木場と共有したいな!」というコールとともに叩き付けたのは、1stアルバム『PARALLEL LIVES』の“November 15th”! さらにそこからナッシングスの始まりの曲“Isolation”へ! “Around the Clock”を経て流れ込んだ最後の“きらめきの花”の、タイト&ソリッドな16ビートがあたり一面を多幸感で包みこんで……本編終了。

Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST
アンコールではアルバム『REVOLT』の幕開けを飾る“Song for an Assassin”からNCIS流ハイブリッド・ファンク“Assassin”、そして「踊るぞー!」の村松の絶叫から純白の霹靂の如き“Rendaman”の音像へ雪崩れ込み、“You're in Motion”でコーストをクラウドサーフ連発のむせ返るような熱狂空間へと叩き込んで終了……かと思いきや、アンコールを求める熱いクラップに応えて、三たび4人がオン・ステージ! 「俺たちのエモがいちばん籠もった曲を……」という村松の言葉とともに放った正真正銘のラスト・ナンバーは“村雨の中で”。微塵の淀みもないメロディを歌い上げる村松の声が、轟々と渦巻くサウンドとともに、この上なく激しく、逞しく響き渡った。すべての音が止み、舞台を去ろうとした生形が、足を止めてオーディエンスに語りかける。「今日、帰りにチラシもらえるから。4月に、AXで『Hand In Hand』っていうイベントやるから!」の言葉に、ひときわ熱い大歓声が湧き起こる。これまで9mm Parabellum Bullet、the band apart、THE BACK HORN、[Champagne]といった錚々たる対バン・ゲストを迎えて行われてきた、Nothing's Carved In Stoneの自主企画2マン・イベント・シリーズ『Hand In Hand』。今回は「Vol.5」=4月10日:北海道・札幌PENNY LANE 24、「Vol.6」=4月17日:東京・SHIBUYA-AX、「Vol.7」=4月18日:大阪・なんばHatchの3公演にわたって開催決定! ゲスト・アーティストは発表されていないが、いやが上にも胸躍る熱演を実現してくれるに違いない――とさらなる期待感を抱かせてくれるには十分すぎる、珠玉のロック・アクトだった。(高橋智樹)
Nothing's Carved In Stone @ 新木場STUDIO COAST
セットリスト
01.ツバメクリムゾン
02.Spirit Inspiration
03.Spiralbreak
04.Cold Reason
05.Out of Control
06.Raining Ash
07.Palm
08.Sunday Morning Escape
09.朱い群青
10.The Fool
11.Sick
12.Pride
13.It means
14.Diachronic
15.November 15th
16.Isolation
17.Around the Clock
18.きらめきの花
(Encore 1)
19.Song for an Assassin
20.Assassin
21.Rendaman
22.You're in Motion
(Encore 2)
23.村雨の中で
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする