BIGMAMA @ 渋谷クラブクアトロ

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もう、ここまでやるか!?のオンパレード。己のアイデアと労力とユーモアの限りを尽くしてオーディエンスを楽しませようとするBIGMAMAの精神が、いかんなく発揮された夜だった。今年で4年目、今回は規模を拡大して3都市4公演の東名阪クアトロツアー形式で開催された、BIGMAMA恒例のX’mas Special Live、そのファイナルとなる渋谷クラブクアトロ公演である。会場に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは、フロア天井に吊り下げられた星形や球体のオーナメント。そしてステージ後方には特大のクリスマス・リース。「聖なる夜ですので節度のある行動を。痴漢行為などはご遠慮ください」といった趣旨の影アナで大盛り上がりとなった場内に、開演時刻の19時ジャスト、大歓声に迎えられてメンバーが登場する。

オープニング・チューンは、なんとワム!の“Last Christmas”のカヴァー。東出のヴァイオリンの音色と金井の透明なヴォーカルが、クリスマス色溢れるロマンチックなメロディに絶妙にマッチしている。そのまま“春は風のように”を柔らかなタッチで演奏したかと思いきや、続く“ファンデーション”ではリアドの疾走感あるビートが炸裂! 早くもクラウド・サーフが乱立するフロアの狂騒を尻目に、ヴィヴァルディの“春”をモチーフにした“走れエロス”、東出が奏でる“ジングル・ベル”の旋律から突入したジャム・セッション、そして“荒狂曲“シンセカイ””とノンストップで畳み掛け、場内のヴォルテージを一気に上げていく。

「このクリスマス・ライヴを始めて4年目になります。性格的にはファッキン・クリスマスの方だったんですけど、こうやって毎年BIGMAMAを好きなみんなとクリスマスを迎えるようになって、悪くないなと思うようになりました」という金井のファーストMCからの“Lovescape”で軽やかな横揺れを生み出した後は、「このツアーのためにカヴァーを仕上げてきました」と、再びクリスマスにちなんだ演出が。壮大なバンドサウンドと金井&柿沼のコーラスがエモーショナルに響いたJUJUの“やさしさで溢れるように”、東出のヴァイオリンの音色によって粉雪がはらはらと舞い散るような冬の情景を描いた山下達郎の“クリスマス・イブ”と、BIGMAMAらしいアレンジが施された2曲のカヴァーを披露して、場内のハンドクラップを誘っていく。そしてパッヘルベルの“カノン”をモチーフにした“計算高いシンデレラ”で「ラーラーラー」の特大シンガロングを巻き起こし、一旦ステージ袖に引き上げるメンバー。実はこの日のライヴは二部構成になっていて、「メンバーのお色直しのため5分休憩いたします」のアナウンスによって第一部が終了。

BIGMAMA @ 渋谷クラブクアトロ
サンタの衣装に身を包んだメンバーが登場しての第二部は、恒例となったプレゼント抽選会からスタート。これは入場時に集められたチケットの半券を使って抽選を行い、当選者には各メンバーからのプレゼントが直接手渡しされるというもので、各メンバーからのプレゼントは以下の通り。

リアド:楽屋で撮影した画像データ入りの一眼レフ
安井:『ホームアローン 2』のブルーレイ・ディスク
柿沼:“alongside”のMVで着用したジャケットと色違いの「JULIUS」の黒のジャケット
東出:ハート形のペアマグカップ
金井:この日のライヴでも使用した、緑色のエレキギター

そこに彼らと親交の深いthe telephonesからのプレゼント詰め合わせ(涼平の使いかけのヘアワックス/ノブのイヤホン/石毛のピック)も加わって、当選者をステージに招いてのプレゼント贈呈式を実施。さらに「Ustreamを観ている方にもプレゼントを用意しています」と、この日生配信されているUstream視聴者へ向けた応募プレゼントとして金井のアコギを用意していることを発表したところで「やっぱり僕たちミュージシャンなので、一番のプレゼントは自分たちの曲にしたいです」と、オーディエンスからリクエストを募って“#DIV/0!”“Paper-craft”をサンタの衣装のまま即興で披露。サプライズ満載の豪華すぎるクリスマス・プレゼントの数々に、アガりにアガりまくる渋谷クラブクアトロなのであった。

BIGMAMA @ 渋谷クラブクアトロ
そのままライヴはアコースティック・ゾーンへ。金井と東出以外のメンバーが退場して“きよしこの夜”のカヴァーをピアノとアコギの演奏で届けると、今度は柿沼が一人でオン・ステージして宇多田ヒカルの“Can't Wait 'Til Christmas”のカヴァーを弾き語りで披露。その後はサンタの衣装を脱いだメンバー全員が登場し、金井と柿沼はアコギを手に椅子に腰かけ、リアドはカホンにまたがって“Mr. & Mrs. Balloon”“I'm Standing on the Scaffold”“秘密”をプレイ。BIGMAMAの大きな武器のひとつといえる、精緻なタペストリーのように編み上げられたアンサンブルの繊細な美しさが、アコースティック・セットで奏でられることで如実に浮かび上がった名演だった。

バンド・セットに戻った後は、「次はBIGMAMAが誇るバースデー・ソングです!」と金井。これまた彼らのライヴでは恒例、この日バースデーのお客さんをステージに招いて“Jeffrey Campbellのスケートシューズで”をプレイするという演出で盛大に誕生日を祝うと、そのままクライマックスへ向けて猛ダッシュ。“My Greatest Treasure”では「メリー・クリスマス!」のシンガロングをブチ上げて、「みんなのおかげでどんどんクリスマスが好きになってきました!」という金井のMCから、本編ラストの“until the blouse is buttoned up”へ。黄金の光に包まれたフロアに無数のマフラータオルが掲げられ、「ウォーオーオオオー」のシンガロングが木霊する中、メンバーは感極まった表情を浮かべながら、最後まで笑顔を振りまいて祝祭感溢れるステージを去っていった。

BIGMAMA @ 渋谷クラブクアトロ
アンコールでは、2月26日にシングル『Sweet Dreams』をリリースすることを発表。さらに5月11日の母の日から「“Roclassick” Tour 2014」をスタートさせることと、それに伴って『Roclassick 2』を目下制作中であることも発表! 歓喜を爆発させるフロアに“alongside”“the cookie crumbles”を叩きつけ、「次が本当のラストです」と届けられたのは、先ほどの告知で「バンドを代表するような曲にしようと思って作りました」と紹介された新曲“Sweet Dreams”。BIGMAMA史上かつてないほどシリアスな響きとスケールの大きさを持ったサウンドに、フロアから力強い拳が突き上げられるという情景を描いて、2時間半に及んだ宴はドラマチックな幕切れとなった。

――と、ここまでもサプライズな仕掛けがてんこ盛りだったわけだけれど、Ustream生配信を終えた後にも、PV撮影用に“Sweet Dreams”をもう一度プレイ! さらに退場時には、メンバーがオーディエンス一人一人にクリスマス・カードを直接手渡ししてくれるという嬉しすぎるサプライズも! このサプライズ自体は以前のクリスマス・ライヴでも実施されていたものの、全4公演のツアー形式に規模が拡大した今回でも行われるとは。この日だけでも両手で抱えきれないほどのクリスマス・プレゼントを用意してくれたBIGMAMAのサービス精神には本当に頭が下がるし、だからこそ、彼らはファンに愛されてやまないバンドであり続けるのだろう。今後もさまざまな趣向で我々を楽しませていってほしい。そう心から期待せずにはいられない、至福の一夜だった。(齋藤美穂)

セットリスト
1. Last Christmas
2. 春は風のように
3. ファンデーション
4. 走れエロス
5. 荒狂曲“シンセカイ”
6. Lovescape
7. やさしさで溢れるように
8. Christmas Eve
9. 計算高いシンデレラ
10. #DIV/0!
11. Paper-craft
12. きよしこの夜
13. Can’t Wait ‘Til Christmas
14. Mr. & Mrs. Balloon
15. I’m Standing on the Scaffold
16. 秘密
17. Jeffrey Campbellのスケートシューズで
18. My Greatest Treasure
19. Until the blouse is buttoned up
アンコール
20. alongside
21. the cookie crumbles
22. Sweet Dreams
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