マキシマム ザ ホルモン&SEKAI NO OWARI @ 新木場STUDIO COAST

マキシマム ザ ホルモン&SEKAI NO OWARI @ 新木場STUDIO COAST - all pics by 浜野カズシall pics by 浜野カズシ
快作であり怪作『予襲復讐』を引っ提げて久々の全国津々浦々を廻るツアー、というだけではなく、昔からの仲間に加えて「そ、そのバンドにどんな洗礼を浴びせる気だ!?」と思わせるような対バンも目立つツアーとなっている、『マキシマム ザ ホルモン“予襲復讐”ツアー』。いよいよ22本目となった東京凱旋公演、その対バンは、ホルモン史上最高に異色な相手であろうSEKAI NO OWARI! 前日のクラブチッタ川崎に続き、二日目となる対バン。今や日本を代表するバンドへと駆け上がったセカオワとは言え、大丈夫なのだろうか……物販に尋常じゃない勢いで列をなす腹ペコたちの血気盛んなテンションを見て、緊張感増し増しの状態で会場の新木場コーストへと足を踏み入れたのだった。

先攻はセカオワ。グランドピアノに電飾きらめくDJ卓、そして4人揃った鮮やかな衣装。決して短くない歴史を持つホルモンだが、今までのライヴでは見たことがなかった要素が堂々と持ち込まれている! そうやってバンドが自らを貫き、キッズも自らを貫くライヴの雰囲気そのものがコラヴォレーションのようで、“虹色の戦争”では続々とクラウドサーフィンが! これは完全に、今、この瞬間でしか見られない光景であり、感じられない空気だと、早々に思う。

NakajinのMCの第一声は「光栄です。昔から大好きです!」。何でも、彼らが作ったライヴハウスclub EARTHに、ダイスケはんが来てくれたこともあるという。さらにSaoriが「対バン(スタイルのライヴも)初めてです!」と、今日が自分たちにとって如何に革新的かを明かし、DJ LOVEは「青春時代はエピタフに捧げていたからね」と、おおお~と唸ってしまうようなルーツを披露。どんどん、ステージとフロアの距離が近くなっていく。とは言え、セカオワの本領が容赦なく発揮されていくのは、これからだった。シャボン玉が吹き出てきたかと思えば、火柱が立ち上り、レーザー光線が飛び交い……次々とゴージャスな演出が畳み掛けられたのだ。こんなワンマンみたいな演出を対バンスタイルで持ち込むバンド、他にいるだろうか!? いくら昔から大好きなロックシーンの大先輩のホルモンとの初めての対バンとはいえ、寄り添うことなく、寧ろ真正面からぶつかっていくような姿に、もしかして彼らはどんなバンドよりも体育会系なのかもしれない、と思わされた。Fukaseは「今日は打ち上げがあるらしくて。DVDで見たんですよ、マッキンソープランド」と怯えていたけれど、意外と彼なら大丈夫かも(!?)。さらにSaoriが「昨日(のMCで)ナヲさんが、打ち上げで私と乳首相撲するって言ってたけど、嘘です!」と毅然と否定すれば、男性陣から一斉に「わかんないじゃん!」と突っ込み。こんなワードを口にするセカオワ、これまでもこれからもないはず(笑)。その心意気や名曲の数々に惹き込まれて腹ペコたちも、“RPG”でビシッとハンドクラップし、“インスタントラジオ”でクラウドサーフィン。最初の緊張が嘘のようにハッピーなムードとなってライヴを締め括った。

マキシマム ザ ホルモン&SEKAI NO OWARI @ 新木場STUDIO COAST
そしてホルモン。ドロップ幕がせり上がるだけで歓声が起こり、お馴染みのSPACE COMBINEの“marchin’ mint flavors”が流れるだけで波打つフロア。これは……ただならぬ予感! 4人も初っ端からテンションが高く、マキシマムザ亮君が哀愁のフレーズを奏で、ナヲがしっとりと歌い上げて1曲目“予襲復讐”が始まると、ラウドになったところで一気に中二パワーが炸裂していく。続く“ビューティー殺シアム”では、勃発しまくるモッシュ。それを誘発する演奏も、まだツアーは折り返してもいないのに、恐ろしくタイトだ。ますます壮絶なパフォーマンスを見せるようになっているのは、それぞれが人生を賭けているからなんだろう。完全に、大きな大きな渇望感に応えている。

狂騒のフロアを見てナヲも「いきなりサイコーじゃない?」と笑顔。さらに「セカオワからのホルモン、超ファンタジーから実話ナックルズみたいな」、「うちら炎もレーザーもシャボン玉もない、丸腰で、マルゴシアスバンプで、汗とか唾しか出ませんけど!」と、絶妙なトークを披露していく。さらに火が点いた腹ペコたちは、“maximum the hormone”で踊りまくり、“シミ”でビッチリ揃ったヘッドバンギングを見せ、上ちゃんのファンキーなイントロからはじまる“便所サンダルダンス”で手を突き上げる。『予襲復讐』の曲を初めてライヴで聴く人も多かったと思うけれど、そんなの関係ない。ホルモンがパワーアップすれば、腹ペコたちもパワーアップしているのだ。そんな様子にナヲは「最初からステージのエアコン切ってるから!」とストイック過ぎる姿勢を突き付ける。

その後、圧巻だったのは“え・い・り・あ・ん”。ダイスケはんが政治に対する直球の怒りをぶつけ、「俺たちの世代、先の世代のために、叫ぶ時が来るんですよ!」という言葉から、超速の演奏に突入。しかし、ナヲのパートになるとパッと手の波が揺れ、最後はシンガロング的な大団円に。ライヴになると、さらに真価を発揮する展開の曲だと思った。聴き惚れていると、“ビキニ・スポーツ・ポンチン”を終えたところで、何やらバンドとスタッフが円陣を組んで密談。発表されたのは……「亮君が一口ウ●コ漏らしました」って、ズコー! この緩急がまた、ホルモンから目が離せない理由である。さらに“メス豚のケツにビンタ(キックも)”では、画期的な女の子だけのサークルモッシュも! そして、誰もが体力も感情も全てを出し尽くす勢いで暴発していた“ぶっ生き返す!!”へと続いた。

いよいよ終盤。ダイスケはんが「セカオワのライヴは行ける限り行っといて。常日頃対バンのライヴはやらないのに、挑戦状を受けてくれてありがとう!」と感謝を述べる。何とその時、DJ LOVEは世をしのぶ仮の姿(!!)で、フロアでビッチャビチャに暴れていたらしい(笑)。そして、恋のおまじないも2013ヴァージョンでさらに壮絶な光景を見せ、“恋のスペルマ”をやり切りステージを降りた。

マキシマム ザ ホルモン&SEKAI NO OWARI @ 新木場STUDIO COAST
それでもすぐにアンコールに応えて出てくる、このスタミナ! それも、ダイスケはん曰く「このツアーは、今までと違って差し入れがハンパない」からなのか!? とは言え、メンバーの半分は痛風という現実も明かされると、彼らの「気持ち」が前に前に出ているからだとしか思えない。さらに、またここでドラマが。“中2 ザ ビーム”を叩きつける。さらに“握れっっ!!”へなだれ込もうとしたものの……ストップし、「威勢のいい男子、ここに上がるか? 条件がある。包茎男子のみ?」というダイスケはんの呼び掛けで、続々と男子がステージに上がり(男メンバーのチェックあり)、包茎ボーイズが結成されたのだ! そして、“握れっっ!!”へ。こんなに包茎パワーを感じたのは初めて(笑)。というか、真面目に書くと、悩みとか闇とか何かを抱えている奴らのパワーっていうのは、やはりとんでもないのだ。それを、開放的に発揮できるホルモンのライヴが、多くの人の居場所になるのは、やはり必然なのだと思う。この日の腹ペコの最高年齢をライヴ中に調査したところ、50歳だった。幾つになっても中2で止まっている心を抑えて日々を生きる現実。しかしホルモンのライヴでは、誰もが真の心を曝け出せるのだ。

マキシマム ザ ホルモン&SEKAI NO OWARI @ 新木場STUDIO COAST
“握れっっ!!”で見事なエンディングを迎えたこの日。ツアーは来年の春まで続く。これからどうなるのか、恐ろしいほどに楽しみだ。(高橋美穂)

セットリスト
1. 予襲復讐
2. ビューティー殺シアム
3. maximum the hormone
4. シミ
5. 便所サンダルダンス
6. え・い・り・あ・ん
7. ビキニ・スポーツ・ポンチン
8. アンビリーバボー!~スヲミンツ ホケレイロ ミフエホ~
9. ロックンロール・チェーンソー
10. ロックお礼参り~3 コードでおまえフルボッコ~
11. メス豚のケツにビンタ(キックも)
12. チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ
13. ぶっ生き返す!!
14.恋のスペルマ
ENCORE
15. 中2 ザ ビーム
16. 握れっっ!!
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする