真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo

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『マゴーソニック2013 〜オラ、フジでしびれてぇ!〜』

真心ブラザーズ・桜井秀俊曰く「ガチの対バン・ライヴ・イヴェント」である『マゴーソニック2013』は、9/20名古屋での『~オラ、レキシさ知りてぇ!~』(レキシ/ゲスト:いとうせいこう)、9/21大阪の『~オラ、モンパチが観てぇ!~』(MONGOL800)、9/23福岡では『~オラ、スカパラが好きだ!~』(東京スカパラダイスオーケストラ)と各地で対バンが行われ、迎えた千秋楽はフジファブリックと相見える東京公演。両バンドがクロスオーヴァーしながら胸熱の一期一会パフォーマンスを繰り広げ、それだけには飽き足らず、公式のツアー・ロゴや公演サブタイトルからも分かるとおり連続テレビ小説『あまちゃん』ネタをたっぷりと拝借した遊び心も盛り込まれるという一夜であった。なお、『あまちゃん』万感の最終回の翌日にツアー・ファイナルを迎えるという絶好のタイミングについては、特に「狙ってなかった」そうです。

■フジファブリック
真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
「今日は誰が出るんだろうね……弊社(SMA)、飛ぶ鳥を落とす勢いの3人組で……」「サンボマスター?」「ヴォーカルが可愛い感じの……」「少年ナイフ?」と真心の二人がひとしきりボケ倒しながら呼び込むのは、フジファブリックだ。“徒然モノクローム”を皮切りに、ユルい呼び込みの空気を瞬く間に払拭するような4ピース・サウンドを繰り広げてゆく。ドラマーを務めるトムくんこと玉田豊夢も、初めてのサポート出演とは思えないほどバンド感ばっちりの好相性。それにしても、ライヴ・バンドとして天井知らずに成長を遂げてゆくフジファブリックの音は本当にすごい。筋肉質にして煌びやかなアンサンブルを乗りこなし、手元で更にぐっと伸びるような秀逸な歌メロをがっちりと歌い込んでゆく山内総一郎(Vo./G.)である。

真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
「種市先輩ふうに言うと、ずぶん勝手エモーション」と『あまちゃん』ネタも引き受けながら“自分勝手エモーション”を届けると、山内によるロックなドライヴ感全開のギターが響き渡る“Splash!!”へ。先鋭的なトランス・グルーヴの同期とトムくんのビートが手を取り合う“Fire”の長尺プレイはオーディエンスを問答無用に呑み込んでゆく。「YO-KINGさんが、間違えろよーって言ってて。ダイちゃん、間違えたねえ。どう? みたいな顔してこっち見てるんだ(笑)」という山内の追求に、「これがマゴーソニックですよ!」と切り返す金澤ダイスケ(Key.)である。そしてその金澤作曲による新曲“フラッシュダンス”(10/2リリースの『FAB STEP -EP-』に収録)は、バンドとしてのフジファブリックの地肩の強さを証明するような、エモーショナルな歌メロをじっくりと転がすナンバーだ。

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“パレード”から続く新曲“バタアシParty Night”にかけては、真心のホーン・セクションであるMOUNTAIN HORNSを迎えた華やかなセッションに突入。後者については「初めてやるんだけど、スペシャル・バージョン。つまり、今日がピークかも知れない」と金澤が冗談めかしていたのだが、フジファブリック印の捻りが効いたメロディが映えるダンス・ロック最新型といった一曲で、MOUNTAIN HORNSはコーラスでも大活躍である。限られた持ち時間でありながら“Light Flight”で万感のクライマックスへとたどり着く、濃密極まりないステージであった。

■真心ブラザーズ
真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
さて、フジファブリックの大熱演を受けてと言うべきか、真心ブラザーズは10人編成MB'sで序盤からフルスロットルの悶絶級ファンク・ロック攻勢である。しかも、本来のキーボード奏者である小川文明は一身上の都合により欠席と言うことで、今回は彼の直弟子に当たるフジファブリック・金澤が特別に参加。つまり、今回のステージ上で最も数多くの楽曲をプレイしていたのは金澤ということになる。“BABY BABY BABY”から“All I want to say to you”とグイグイ上げまくり、ブルージーな溜めから一気に爆発する“愛”と楽曲を放ったところで、改めて声高に金澤を紹介するYO-KING。ところが振り返ってみると「あれ? いない!? ここはいないんだっけ!」とようやく気づくので場内爆笑だ。「ちょっと休ませてあげましょうよ」と助け舟を出す桜井秀俊であった。

真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
4ピースの“突風”でも緊迫感は止むことがないのだが、YO-KINGは歌詞を《寝っ転がって『あまちゃん』見ている》に差し替えて喝采を誘い、“マイリズム”ではけたたましいブルース・ハープを吹き鳴らす。そのハープで軽く『あまちゃん』テーマ曲の導入部〜“赤とんぼ”を奏でて“素晴らしきこの世界”に繋いでゆくという軽やかさだ。『あまちゃん』だけではない、ドラマ『SUMMER NUDE』の話題に触れては「プロデューサーと、うちの桜井は出ます(出演する)よって話してたら、なぜかその場にいたOKAMOTO’Sのショウ君が出た」といった小ネタを挟みつつ、本家“ENDLESS SUMMER NUDE”へと傾れ込んでゆく。2013年のエンタメ・シーンを、自由気ままに、それもやたらと力の入った形で遊びまくる真心ブラザーズである。YO-KINGの歌声はいつもながらにパワフルな大音量ヴォイスなのだが、ときにそれを追い越さんばかりのうつみようこによるコーラスも強烈だ。そして桜井のギターがここぞとばかりに火を噴く“拝啓、ジョン・レノン”から、“EVERYBODY SINGIN' LOVE SONG”での盛大なフィナーレへ。遊び心にまみれているのに、歌心が胸を抉る必殺曲の連打でしかないという、そんなパフォーマンスであった。

真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
「さあ、なにが始まるんですかこれから(YO-KING)」「『あまちゃん』を惜しむ会、です(桜井)」「まじで!? 号泣するよ俺! でもね、今日スタッフに言われたの。大丈夫ですか、あまロス症候群になってませんか、って。ふざけんなと。俺は、楽しいことがたくさんある中のひとつが『あまちゃん』だったんだ! みんなもあまロス症候群にならないように! でも『あまちゃん』大好きだーっ!!(YO-KING)」と倉持節を投げかけて準備に向かい、「たいへん長らくお待たせしました、北鉄のアイドル、潮騒のメモリーズです!」という呼び込みに応じてしっかりと海女さんに扮したYO-KINGとフジファブリック・山内が登場。天野アキ役=YO-KING/足立ユイ役=山内という設定で、混成バンド+振り付きの“潮騒のメモリーズ”をフルコーラス披露である。いよいよ、やりたい放題の様相を示してきた。畳み掛けるように、お好きな方にはたまらない、男・桜井による駅長・大吉っつぁんコスの“ゴーストバスターズ”(日本語詞を付けて熱唱)は、ゴージャスなバンド・サウンドがかっこ良くて笑える上にマシュマロマンの着ぐるみも乱入する。

真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
更にはアニメ『宇宙兄弟』のテーマ曲つながりということで、フジファブリック“Small World”と真心ブラザーズ“消えない絵”のセッションを連打だ。“消えない絵”ではフジファブリック・加藤慎一(Ba.)がパーカッションを担当し、リード・ヴォーカルを山内から真心の2人にリレーしてゆくという展開を見せる。「じゃあ、『あまちゃん』の最終回がそうであったように、この曲で締めますか!……お、あの2小節の、おいしいパーカッション・ブレイクをやるつもりですね」と桜井に突っ込まれていたように、YO-KINGは加藤と並んでパーカッションの位置に着く。そして響き渡るのは、MB's+フジファブリックの目一杯パワフルで迫力満点な“あまちゃん オープニングテーマ”をカヴァー。あのオープニング映像の、アキによるスローモーションのジャンプを、YO-KINGと加藤がトランポリンで再現していて芸が細かい。加藤もジャンプの姿勢にこだわりを見せているのが可笑しかった。

真心ブラザーズ×フジファブリック @ Zepp Tokyo
ただでさえ楽曲も演奏も充実している2バンドなのに、なぜここまでやらねばならないのか、という対バン。するとオーディエンスも自ずとハングリーになるらしく、終演の影アナが聞こえる中にも声を上げて真心の二人を引っ張り出してしまう。「じゃあ、盛り上がるやつやろっか!」と急遽、真心2人きりの“どか~ん”も詰め込まれ、真にお腹いっぱいの大団円を迎えたのだった。(小池宏和)

■フジファブリック
01 徒然モノクローム
02 自分勝手エモーション
03 Splash!
04 Fire
05 フラッシュダンス
06 パレード
07 バタアシParty Night
08 Light Flight

■真心ブラザーズ
01 BABY BABY BABY
02 All I want to say to you
03 愛
04 突風
05 マイリズム
06 素晴らしきこの世界
07 ENDLESS SUMMER NUDE
08 拝啓、ジョン・レノン
09 EVERYBODY SINGIN' LOVE SONG

encore
01 潮騒のメモリー
02 ゴーストバスターズ
03 Small World
04 消えない絵
05あまちゃん オープニングテーマ

encore-2
01 どか~ん
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