MONGOL800 @ 日本武道館

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1月23日に、ファン投票の上位15曲を収めた初めてのベストアルバム『800BEST -simple is the BEST!!-』を、そして立て続けに2月20日にはオリジナルアルバム『GOOD MORNING OKINAWA』をリリース、その後は全国のライヴハウスとホールを廻る「MONGOL800 GOOD MORNING OKINAWA TOUR 2013」を行うという、実に漲った結成15周年を掛け抜けてきたMONGOL800。そのハイライトとなるライヴ「MONGOL800 ga LIVE "800BEST" at 日本武道館」が、7月5日に行われた。

MONGOL800 @ 日本武道館
流石のソールドアウトを果たし、アリーナはスタンディングでギッシリ、1階も2階もギッシリ。15周年を祝う手作りの垂れ幕も点在するくらい、開演前から愛でいっぱいだ。客電が落ちると、彼らのTISSUE FREAK RECORDSのロゴが映画のようなオープニング映像で流れてくる。そして、いつものSE、スペシャルズの“Enjoy Yourself”のオキナワン・カヴァーで3人が登場! そして、これまたいつものような上江洌清作(Vo&B)の「あーそびーましょ!」という一声で、ベストアルバムの1曲目であり、ファン投票第一位だった“Don't Worry be Happy”でライヴはスタート。ここでまずびっくりしたのが、演奏がはじまるなりキャノン砲から紅白のキラキラの箔が噴き出てきたこと(ライヴの終盤ならよくあるけれど、1曲目ってあまりないと思う)。さらに、その後、“愛する花”、“PARTY”と3曲に亙って、客席が明るいままだったこと。今日は本当に、みんなのためのハレの日にしたいんだなあって彼らの意図が伝わってきて、ほっこりしてしまった。もちろんオーディエンスも熱狂。最初のMCからキヨサクに「沖縄より暑いんじゃないか!?」と言わしめるくらい温度を高めていった(実際、私がいた2階席でも汗ジワジワかくくらい暑かった!)。
 
ベストアルバムに収録されていない楽曲も、続々と披露。特に、最新アルバムの“GOOD MORNING OKINAWA”の次に、1stアルバムの『GO ON AS YOU ARE』から“ホルモン”を演奏した流れは、彼らの核と進化を感じることが出来た。そんな新旧の楽曲関係なく、ずーっと歌い続けるオーディエンスを見ながら、ふと、モンパチってインディーズのバンドなんだよな?と改めて思う。何にも揺るがされないシンプルな活動、そして結成当初から貫いているシンプルな楽曲で、15年間も多くの人を魅了し続けているモンパチは、本当に日本の音楽シーンの奇跡だ。そんなバンドなのに、「すげー! じっくり(客席を)見る時間にしてもいい?」なんてキヨサクが言って、3人でニコニコとたくさんのオーディエンスを見詰めるピュアな心を持ち続けているところも、また奇跡だと思う。

MONGOL800 @ 日本武道館
キヨサクの「(自分たち)らしいな~っていう楽曲」という紹介ではじまった“あるがまま”、「ハーイサーイ!」などなどコール&レスポンスをスタッフまで巻き込んで演奏に突入した“ターコイズ”と、名場面を刻みながら、いよいよ中盤へ。メンバー紹介では髙里悟(Vo&Dr)が「AKB800のセンターを務めています、さっしーです」と名乗りつつ(笑)、「1回目の武道館(2009年)は緊張して覚えていないので、またやりたかった」と心境を吐露。確かに、今日はリラックスして見える。オーディエンスもリラックスしているのか、「サトシ!」コールで無茶ぶりを迫る(笑)。すると飛び出したのは、セシールのCMの真似(笑)。すると儀間崇(Vo&G)も「ほんと、ありがとうございます」という言葉だけでは引っ込みがつかなくなり(笑)、♪リーブ23~とこれまたCMの真似……しかし、これが微妙だった!(笑)。すかさずキヨサクが、アンパンマンのかまめしどんの真似で窮地を救うチームワークを発揮!(笑)。めちゃレアキャラなのに笑いをかっさらったキヨサク、手ごたえを感じたのか「次の武道館はアンパンマンシリーズで行くから、お楽しみに!」って、本当に楽しみにしていますからね! その和やかな空気は、次の“小さな恋の歌”の大大大歓声、大大大合唱へと繋がっていった。

MONGOL800 @ 日本武道館
その後は、“スコール”、“I’ll be”、“神様”と、じっくりと聴かせる楽曲が続く。そして“矛盾の上に咲く花”が始まる。日の丸の下で彼らは、何を思い、この歌を歌うんだろうか。歌い終えたキヨサクは「右も左もわからない18歳の沖縄の人間が、思ったように歌った。音楽で何かが変わればいいと思って書いたから、言葉が無欲なんですよ」と言っていた。この楽曲が収録された『MESSAGE』から12年、この歌の説得力は、どんどん増してきているように思える。

終盤には、さらなるドラマが。三線と笛を奏でるよなは徹をステージに迎え、GO!GO!7188の“こいのうた”のカヴァーを披露。バンドが解散しても、名曲が歌い継がれていくことって素敵だな……と思いながら聴いていると、終盤で昇龍祭太鼓が登場! 最高の愛の歌から、ひしひしと生命力が溢れてくる。そのまま、モンパチの最強の愛の歌“琉球愛歌”へ。エレキに負けない三線の音色、そして太鼓の躍動……沖縄のぬちぐすい(命の薬)という言葉を思い出した。体中から、力が沸き上がってくるような気分になった、本当に。最後は3人に戻って“face to face”、そしてド頭からオーディエンスに歌わせた、紛れもなくみんなの歌“あなたに”で本編は幕を閉じた。

MONGOL800 @ 日本武道館
アンコールでは、サトシとタカシが、東北ライヴハウス大作戦の前掛けをして登場。キヨサクもモニターに東北ライヴハウス大作戦のタオルを掛けていたけれど、こういった晴れ舞台での意志表明は素晴らしいことだと思う。そんなアンコール一曲目は、なんとサトシがベース、タカシがドラム、キヨサクがギターを抱えての、“ヨロコビノウタ”! この楽曲をライヴで聴けることもレアだけれど、パートチェンジってレア中のレアである。そして、さらにレアは続く。SOFFetとコラボした“ひとりじゃない”を、SOFFetが登場して披露! そのまま、Q;indivi +とキヨサクがコラボした“hanabi”を、SOFFetと共にライヴ初披露! 様々な人たちと混じり合ってきたことも、モンパチの大事な歴史。それを生で体験できる貴重な機会に、会場からは喝采が止まない。ラストは、タカシがステージを見づらそうな席にも向き合ってコブシを振っていた“What a Wonderful World”のカヴァー、キヨサクがステージの真ん中で思いを受け止めるように手を広げた“夢叶う”、そして“true hearts”でライヴを締め括った。3時間を越える大熱演。何度も何度も3人はお辞儀をし、手を振って、ステージを降りていった。

この日、来年2月の大阪城ホール公演も発表された。キヨサクはMCで「20年、30年とモンパチのペースで」と言っていたけれど、モンパチの楽曲に人生に寄り添っている人たちは、本当に本当にたくさんいるし、モンパチの楽曲には日本に響き続けるべきものがたくさんある。爆発的なヒットを記録した『MESSAGE』の狂騒を抜け、今も、これからも、みんなの素直な歌を紡ぎ続けてくれているモンパチの存在感を、改めて噛み締めた夜だった。(高橋美穂)
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