Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - SlipknotSlipknot
雨がそぼ降る中、海浜幕張駅は文字通り黒山の人だかり。そう、今日は、遂にオズフェスが日本に上陸する記念すべき日! 幕張メッセに入ると、オープニングアクトのKNOCK OUT MONKYがフロア後方までジャンプを巻き起こし、ARTEMAが果敢に踊らせる。なかなか、いい調子だ。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - Crossfaith pic by(c)Ozzfest JapanCrossfaith pic by(c)Ozzfest Japan
そして、いよいよ本編の幕を切って落とすのは、日本が誇るメタルコア急先鋒、Crossfaith。5人全員が、オーディエンスに挑むような視線を送り“Monolith”から、激しいパフォーマンスを展開していく。Koieが壮絶なシャウトを轟かせるだけではなく、隙あらば全員が弾け飛ぶようにアプローチ。流石は、海外でも頻繁にライヴし、揉まれているバンドだ。どんどんオーディエンスの心身を掴んでいき、仕舞いには全員を座らせてジャンプさせる…今日それをやられると、ついSlipknotを思い出してしまう。ウォール・オブ・デスにハンドクラップまで盛り込んでいき、“Leviathan”でライヴを締め括るまで、オーディエンスを巻き込み続けた。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - THE TREATMENT pic by(c)Ozzfest Japan THE TREATMENT pic by(c)Ozzfest Japan
次は、UK発の若きハードロックバンド、THE TREATMENT。“威風堂々”にのって勇ましく現れると、いきなりフルスロットルでパフォーマンス。UKのバンドながら、アメリカンなゴキゲンな匂いと、若さ故のイキの良さが面白い。「ゲンキデスカー!?」とヴォーカルのマットが呼び掛けると、フロントのメンバーが総出でハンドクラップを煽る。フロアも、どんどんパーティ・ムードへ。“The Doctor”、“Shake the mountain”など、高らかに鳴らし、歌い上げ、王道を貫き通した。この日のラインナップの中では異色だったかもしれないけれど、海外の若い世代からこういったバンドが登場した事実は、オーディエンスに鮮烈な印象を与えただろう。

そして、Fear, and Loathing in Las Vegasへ。ライブで進化を遂げてきた彼らの真価が、オズフェスで発揮されるのが本当に楽しみ! 激しいダンスビートに、SoとMinamiのスクリームが交差し、フロアは狂騒へ雪崩れ込んでいく。音楽性でもパフォーマンスでも固定概念をぶっ壊していくようなライヴと、sxunが「初めて見る人もおるかもしれないけど、一緒にこのイベントを盛り上げていきましょう!」などといった真摯な姿勢が入り混じった彼ららしさを、思いきり発揮。中盤の“Stray in Chaos”からは、名は体を表すとばかりにさらなるカオスへ向かい、“Twilight”でキラッキラにブチ切れて、日本勢としても新世代のパワーを刻み付けた。

続いては、難波章浩率いるNAMBA69。やはりジャンルを越えた存在感で、初っ端からフロアにたくさんのオーディエンスを集めていく。その様子に「オズフェスに出れて、マジ嬉しいです!」と笑顔を見せる難波。ダフトパンクの“One More Time”のパンキッシュなカバーでは、「でっかいサークル見せてよ!」と呼び掛け、極め付けは「メタルの人もアイドルファンも……“Stay Gold”!」と、Hi-STANDARD名曲という伝家の宝刀まで引き抜いてしまう。もちろん、フロントエリアに向かって起きていく急流。DEFTONESとの共演が、Hi-STANDARDの時にWARPED TOURで渡米して以来と言っていたけれど、そういった歴史を刻んできた人間としての思いもあったのかもしれない。そこからは“未来へ~It’s your future〜”まで突っ走り、完全燃焼のステージとなった。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - GALNERYUS pic by(c)Ozzfest JapanGALNERYUS pic by(c)Ozzfest Japan
続々と日本勢が気を吐く中、次はジャパメタの正しき継承者、GALNERYUS。熱いハンドクラップに迎えられ登場すると、Syuのギターの筆頭に披露される超絶テク、さら小野正利の超絶ハイトーンボイス(20年前に大ヒットした“You’re the only…”の時のまま!)が炸裂。さらに小野は、コール&レスポンスから「よろしくお願いします!」までハイトーンという出し惜しみの無さ。これは、初見の人でも見惚れるし聴き惚れるレベルじゃないだろうか。披露した楽曲はたったの3曲。なのに、徹底的に濃さと長さを誇り、ドラマティックな時間を届けてくれた。特にラストの“ANGEL OF SALVATION”の組曲の如き鮮やかさといったら。(実は)決してメタル・フェスではないオズフェスだけに、茫然としていた人も見受けられたけれど、堂々と自分たちの世界観を見せ付けていたと思う。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - MAN WITH A MISSION pic by(c)Ozzfest JapanMAN WITH A MISSION pic by(c)Ozzfest Japan
フロアがギッシリと埋め尽くされていき、登場したのは先日武道館公演を大成功に収めたばかりのMAN WITH A MISSION。流石は飛ぶ鳥を落とす勢いのオオカミたち、オズフェスという大舞台もなんのそのとばかりに狂騒を生み出していく。さらにジャンケン・ジョニーは「コノアト観客ニ混ジッテ、死ヌホド大暴レシテヤリマスノデ!」なんてキッズらしい宣言も! 巻き起こるオイ・コールは、完全にアリーナ・クラスのハコを制覇したバンドならではのものだったし、こういう場所でニルヴァーナの“Smells Like A Teen Spirit”をカヴァーしてしまう大胆さも、勝者の成せる技としか言いようがない。“FLY AGAIN”で手を右に左に挙げさせて、モノノフをも巻き込んだかと思えば、“distance”にはSlipknotのシドがゲスト参加して、洋楽ファンのハートも鷲掴み。数々のフェスを行脚し、あらゆる人を楽しませてきた彼らが本領を発揮したライヴだったと言えるだろう。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - DEFTONESDEFTONES
ライヴ前から「DEFTONES!」コールが巻き起こる中、登場したDEFTONES。今年4月にオリジナル・メンバーのチ・チェンが他界したという、大きな悲しみを経た直後のステージとなったが、その唯一無二のパワフルなパフォーマンスに、少しも綻びはなかった。ジョイ・ディヴィジョンのTシャツを着ていたチノも、終始ニコニコと手招きをしたりハンドクラップをしながら、オーディエンスを巻き込んでいく。胸を撃つようなチノの歌声と、圧倒的にヘヴィな演奏は、歴史を重ねて増幅していく業を感じさせてくれた。

そして、出演が発表された時に議論が巻き起こったももいろクローバーZが登場。いざ現場にいると、ライヴがはじまる前から歓迎ムードしか感じられない。そして百田夏菜子が放った言葉は「今、目の前にいるのは、アイドル!」――この、アイドルということに誇りを持って異種格闘技戦にやってきた彼女たちに、もう何を物申すことができようか? 完璧なダンスを披露し、「この会場に一番似合わない自己紹介」まで行い、プロフェッショナルにアイドルしていく。モノノフたちも、サイリウムもオタ芸も禁止という状況ながら、思いっきり5人を援護射撃。COALTAR OF THE DEEPERSのNARASAKIと人間椅子の和嶋慎治という、二人の錚々たるギタリストを従えていたため、ややオズフェスに寄り添っているように見えたかもしれないけれど、結果的には彼女たちの全てを巻き込めるキャパシティを再確認させられたような気がしてならない。もちろん、妖精が現れたかのような違和感はあったけれど、それも含めて彼女たちの思うツボかもしれないな。

ここで、日本勢のラストアクト、かなりTシャツ着用率が高かったマキシマム ザ ホルモン。 こういった場所で見ると、あらゆる意味で彼らが突き抜けていることを再確認できる。強靭な演奏に、エンタテインメント精神溢れるMCやパフォーマンスの数々……。さらに、マキシマムザ亮君を筆頭に進化していくヴィジュアルや、圧巻なヘッドバンキングも、他のどんなフェスで見るよりも異端に映らない場所がオズフェスかもしれない、と思った。それでいてナヲが、「オズフェスが、日本にやってきたぞー!」なんて喜びを炸裂させていたけれど、ロックに対する無邪気さを忘れていないところも嬉しい。 ギューっと詰まったオーディエンスも、思いっきりダイレクトなリアクションを見せ、最後はきっちり(袖から巻きのサインが出ているにも関わらず!)「恋のおまじない」を ブチかまし、“恋のメガラバ”で汗臭過ぎるダンスフロアを生み出してステージを降りた。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール - SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORSSLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS
いよいよフィナーレに近付いてきたところで登場するのは、SLASH FEATURING MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS。熱心なファンのみならず、あのスラッシュが目の前に!というだけでテンションが上がる世代は、フロアにもたくさんいた模様。脳裏に刻まれているままのヴィジュアルで、まるでギターが手と一体化しているようなプレイを繰り出していく。ヴォーカリストのマイルス・ケネディだけではなく、ベースのトッド・カーンズもリードヴォーカルをとり、華やかに盛り上げながらも、基本的にはやはりスラッシュの弾きまくりショー。いや、それが見たかったんだけど、アドリブでいつまでもギターソロが続いた時には、圧倒されずにはいられなかった。もちろんガンズの楽曲も飛び出し、ラストは“Paradise City”でハンドクラップを起こし大満足のフィニッシュ。聴けて嬉しい、見れて嬉しい、そんな存在だったと思う。

Ozzfest Japan 2013 1日目@ 幕張メッセ 9〜11ホール
そして初日のヘッドライナー、Slipknot! スラッシュの時から白い幕が掲げられていたので、何が行われているのだろう!?と思っていたのだが、そのまま演奏がはじまり、現れたのは真っ白な衣装に身を纏ったメンバーの姿!  コリィは「トベトベー!」と煽りまくり、フロアの後方までビッシリと埋め尽くしたオーディエンスは熱狂の嵐。ヘッドバンキングにシンガロング、そして激しいモッシュで応えていく。いや、正直、こんなに多彩なアクトが出演するフェスだけに、ヘッドライナーまでこんなにたくさんのオーディエンスが残っていたのは嬉しい驚きだった。Slipknotは、楽曲や物語も含めて愛されるバンドなのだと改めて思う。炎があがり、花火が飛び、紙吹雪まで舞うといった演出も含めて、無敵感たっぷり。ここに来て、ああ、これはフェスなんだって噛み締められたというか、彼らのライヴで起承転結の転だらけだった一日が急速に結に向かった感じがした。“The Heretic Anthem”のコール&レスポンスの一体感や、コリィがポール・グレイへの追悼の意を語ってからはじまった”Duality“、そしてお馴染みの全員を座らせてジャンプさせた”Spit it Out“と、興奮も感動もお腹いっぱいに入り混じって本編は終了。すぐに沸き起こったアンコールに応えてはじまったのは、怒涛の”(sic)“と、待ってましたの”People=Shit“というトドメ刺しまくりの流れ! 「ナカユビタテロ~!」も飛び出し、最後は”Surfacing“で締め括られた。

途中でも書いたが、オズフェスは決してメタル・フェスと謳ってはいない。オジー(とシャロン)のフェスなのだ。国内外のいかした(イカレタ)奴らが集まった、という意味では、今日は素晴らしくオズフェスしていたのではないだろうか。いよいよ、二日目はブラック・サバスが降臨。全ての疑問に対する、オズフェスからの回答と言えるようなライヴが見られるはずだ。震えて待て!(高橋美穂)
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