LUNA SEA @ 日本武道館

LIVE TOUR 2012-2013 The End of the Dream

LUNA SEA @ 日本武道館
LUNA SEA @ 日本武道館
LUNA SEAが昨年から行ってきた『LIVE TOUR 2012-2013 The End of the Dream』を締め括る日本武道館6days(!!)、その最終日。会場に入ると、まずはステージを360°囲む客席が目に飛び込んでくる。もちろん、来たい人がたくさんいたというところが一番の理由だろうけれど、オーディエンスと共にライヴを作り上げてきた彼らに似合うスタイルだ。剥き出されたようなステージが、とても新鮮である。なお、このツアーは、終幕直前から復活後の楽曲を中心とした「FUTURE ERA」、初期曲をふんだんに取り入れた「BEGINNING ERA」、モンスターバンドと化した頃の王道チューンが並ぶ「RISING ERA」というタイトルによって、大まかに言うと三パターンのメニューが展開されてきたが、この日は「RISING ERA」。武道館とのマッチングも絶妙に違いない。

LUNA SEA @ 日本武道館
LUNA SEA @ 日本武道館
SEの“月光”と、蒼い光に包まれる中、空気を切り裂くような歓声が響き渡る。そして聴こえてきたのは、“LOVELESS”。初めての東京ドーム『LUNATIC TOKYO』を初めとして、数々の重要なライヴのオープニングを飾ってきた名曲である。サビでブワーっと明るくなる演出も不動。そこで照らされたステージと客席を見て、ああ、このくらいのキャパが最もしっくりくるなあと思う。東京ドームという巨大な規模で、どんな背景の人も飲み込んでいた光景も、ZEPPという密接した規模で、今のライヴハウスと直結した盛り上がりを見せた光景も、彼らならではだったけれど、メンバーの動きも、オーディエンス一人一人の様子も肉眼で確認できて、且つその甚大なエネルギーを収められるキャパシティというところで言うと、武道館は最も適していると思う。音響も含めて、90年代中盤から後半にかけて、全国各地のホールを廻っていた頃の彼らを、復活以降では最も思い出せるキャパシティでもある。ただ、あの頃と圧倒的に違うのは、メンバー同士がヒリヒリした関係性ではないところ。いや、全員がフロントマンと言えるような存在感は、もちろん今の方が強いのだけれど、そんなお互いを認め合って、1+1+1+1+1=∞な、ロックバンドならではのパワーを生み出しているように映るのだ。2曲目の“Dejavu”では、SUGIZO(G)、INORAN(G)、J(B)が、彼ら名物と言える前へ後ろへ弾けるような動きを見せながら、さっそく、各々が向き合う場面もあった。怪我をしていたSUGIZOも走っている。

LUNA SEA @ 日本武道館
LUNA SEA @ 日本武道館
RYUICHI(Vo)は最終日らしく「たくさんの思いをみんなからもらって、バンドの魂を膨れ上がらせることができた」と、オーディエンスもメンバーであるというLUNA SEAのスタンスと通じるようなMC。さらに、彼がLUNA SEAのフロントマンとして帰還した自覚を最も感じたのは、「綺麗にまとめようとか、完成させようと思っていない」という言葉だった。この、いい意味での危うさを孕んでこそLUNA SEAである。

LUNA SEA @ 日本武道館
最終日ということもあってか、序盤からフルスロットル。ライヴにおけるキラーチューン“G.”、オーディエンスに託すように歌わせた“END OF SORROW”、一階席をぐるりと囲むLEDが青く光り、深海にいるような錯覚に陥った“TRUE BLUE”と畳み掛けていく。「これが終わったら、アジアに旅立ちます(台北、香港、バンコク、シンガポールへのツアー)。音楽だけやってきたから、政治のこととかわからないけれど、アジアにはいっぱい、俺らを待っているファンがいるから」――こういったことも、RYUICHIは言わずにはいられなかったんだろう。それくらい、彼らは今、LUNA SEAという存在を信じ、そのファンを信じている。新曲である“Rouge”では新鮮なオイ・コールも炸裂し、“gravity”では幻想的な空気で染めていく。さらに、“Providence”で、5人それぞれを違う色のライトが照らしていて、改めてこの5人が同じステージに立つ奇跡を噛み締めた。そして、コアな心を忘れない彼らの真骨頂が発揮されたのが、“Ray”。“IN SILENCE”のカップリングだったこの曲を、王道のセットリストにも組み込んでしまう、この姿勢こそLUNA SEAである。

LUNA SEA @ 日本武道館
「その日、その時、燃え尽きるように生きる」というRYUICHIの言葉から“The End of the Dream”。さらに、いつしか彼らのライヴに欠かせぬものとなったJのベースソロは言わずもがな、その後の楽器陣だけで行われたセッションがめちゃめちゃカッコよかった。“BLUE TRANSPARENCY”では、曲中に真矢(Dr)のドラムソロを挟むという新機軸があり、“TIME IS DEAD”では、センターでのけぞってソロを弾くSUGIZOらしさに沸き上がったり。なお、この2曲、インディー時代、つまり20年以上前の楽曲である。それが、いまも鮮やかな熱狂を生むなんて……本当に感慨深い。且つ、昔のようなジャキジャキ感が抑えられた、普遍的な音色になっているようにも聴こえてきた。最後は、Jのマイク投げも炸裂した“ROSIER”、そして“TONIGHT”という、これ以上ない締め括りの2曲が続く。INORANは何度も後方の客席に回り、Jもオーディエンスとハイタッチ。そんな彼らの様子からは、今が一番、ステージと客席の距離が近いような気さえした。

LUNA SEA @ 日本武道館
アンコールを求める時にも、めいいっぱいの愛を表明するのがスレイヴ(=LUNA SEAのファン)たち。この日は、“LOVE SONG”を歌いながら待つ。メンバーが出てきても歌い続ける様子に、Jは大きなタオルを広げて感激を表していた。アンコールの一曲目は、RYUICHIが白いコートを纏って歌った“I for You”。そして「インディーズ時代から導いてくれた社長が誕生日で。最近やっていなかったけど」と披露したのは“IN SILENCE”。さらに、昔から起爆剤のように聴いていたけれど、《あの時には帰れない/誤ちさえ帰せない/あの言葉を伝えたい》という歌詞は、彼らの根底にある思いだなと、改めて感じた“PRECIOUS”を経て、RYUICHIの決め台詞「かかってこい!」が飛び出し、ラストはもちろん“WISH”! 銀テープが飛び、SUGIZOとJはアイコンタクトを交わし、INORANはRYUICHIに抱き付いて……何ともピースフルだ。ここでRYUICHIが「俺たち5人から伝えなきゃいけないお知らせがあります」と口を開く。「いよいよ俺たちの心が一つに固まりました。これからLUNA SEAはアルバムレコーディングに入ります」――その宣言に、RYUICHIが「まだできてねえから!」と慌てるくらいの拍手が。「でも、めちゃめちゃ音楽が好きで真面目なバンドなんで、楽しみに待っていてくれ」って、そんなことを言われたらドキドキしちゃって終われないじゃないか……と思いきや「いつもはここで幕を閉じるんだけど、武道館は閉じる幕がついていないようで」と粋な理由をつけつつ「10年間殆ど動いていなかったバンドを支えてくれて、ありがとう」という感謝の後に“MOTHER”が始まったのである! 年月を経れば経るほど染み渡る愛の歌に、客席は感涙の嵐。そして客電が点き、いよいよ本当の大団円か……しかし、メンバーがまだステージにいるのに、アンコールが巻き起こる。その様子を見て、センターに集まってごにょごにょ会話をする5人。そしてRYUICHIが「まだやるか!?」と言い、予定外の“BELIEVE”へ!! その時の感情をライヴに反映させるやり方は、まさにライヴ感たっぷり。こんなエンディングを見せられたものだから、トドメを刺されたはずなのに、何だか始まりのような気がしてしまった。復活そのものが夢だったし、復活後も数々の夢を叶えてきた彼らだけれど、スリリングなまま熟された、稀有なロックバンド=LUNA SEAに、もっともっと多くの夢を重ねていきたい。(高橋美穂)
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