HUSKING BEE @ 新代田FEVER

まさに待望の再始動!である。Hi-STANDARDらと共に90年代パンク・シーンの黄金期を築き上げ、2005年3月、絶頂のうちに解散してしまったHUSKING BEEが、今年2月の『DEVILOCK NIGHT THE FINAL』、そして9月の『AIR JAM 2012』出演を経て、往年のメンバーである磯部“イッソン”正文、平林“どんどん”一哉に加え、ベースに岸野一(malegoat)、ドラムに山崎聖之(fam、HARDCORE FANCLUB、The Yasuno N°5 Group)を迎え、新たなフォーマットで本格的なリスタートを果たしたのだ。この夜のライブは、新体制のお披露目的ツアー『Brand-New Life 2012 TOUR』、その2度目の東京公演。躍進半端ないTHE BAWDIESとのツーマンとあって、チケットは見事完売。先手を担ったTHE BAWDIESから、FEVERは沸き立つような熱狂に包まれた。何しろ4人は初っ端から火の玉のごときロックンロールで猛スパート。来年1月ドロップの待望の新作『1-2-3』から“SING YOUR SONG”も披露し、漲るバンドの“今”を高らかに響かせる。「僕たちの大好きなHUSKING BEEが誘ってくれました!」(JIM)、「初めてHUSKING BEEを見たのは中2の時で。僕ら『AIR JAM 98』に行ってまして。“WALK”の時、地面が揺れたんですよ。本気で鳴らすとこんなことができるんだ!って音楽の素晴らしさを感じました。本当にリスペクトしてます!」(ROY)とMCでも敬意と熱意を届けて、十分すぎるほどフロアを加熱したTHE BAWDIESだった。

その後、遂に新生HUSKING BEEが登場。沸き上がるオーディエンスとは対照的に、メンバーはちょっと照れも含んだマイペースな所作でセッティング。そして、「HUSKING BEE、始めますよ…。HUSKING BEE、始めますよ。HUSKING BEE、始めます!」となぜか3回告げて(笑)、「♪Music begin!」とイッソン。そう、いきなり“#4”投下で急加速! 当然フロアは同時多発的なモッシュ&ダイヴに沸き、さらにバンドは“LIFE”→“ANCHOR”と矢継ぎ早に攻め立てる。時おりアイコンタクトを交わし合うメンバーには、ツアー7本目にして既に確かな結束と信頼が感じられて、何より本人たちがえらく楽しそうに演奏するもんだから、こちらも自ずと好相を崩して身体を揺らさずにはいられない(「熱く演奏しちゃったね。熱くなりますよね、そりゃあ」と、イッソンも高ぶる気持ちを抑え切れないご様子)。正直なところ、ステージ上にテッキン、レオナの姿がないことに一抹の寂しさも覚えるのだが、新たなフォーメーションに違和感は微塵も感じられない……どころか、腕の立つ若手リズム隊を迎えたことで早くもそのサウンドは鮮やかな切れとエッジを獲得。バックドロップに刻まれた「HUSKING BEE」のバンド名も威風堂々と映る。

口を開けば、「3曲、口パクで聴いてもらいましたけど(笑)」、「聞くところによると、今日はプロのダイバーが集まってるそうで…」、「(どんどんに向かって)しかし、本当にロバみたいな顔してるね」とボケにボケ倒すイッソン(さらに「♪(長身ベーシストの)岸野が横に立ったとき、自分の小ささを知りました~」と、モンパチの名曲を即興アレンジ!笑)。そんなところからもバンドの充実がひしひしと伝わってくるではないか。加えて「新曲、聴いてください」と“Sun Piller”なるアッパーなニューソングを披露! 後半にも「新曲2曲、温かい耳で(笑)聴いてください」(イッソン)と、“星降る昏い”“Feedback Loop”を二連投し(前者はイッソンの詩情あふれるフォーキーな佳曲で、後者は勇ましいビートと雄弁なるボーカルが印象的なアグレッシヴ・ナンバー)、それを受けて「ひとつ報告があります」と、来年2月20日に実に9年ぶり(!)となるニュー・アルバム『SOMA』のリリースを公表! そう、集まることが目的化した一時の再結成ではなく、時代と響き合う現在進行形のバンドとしてHUSKING BEEは再び歩みはじめたのだ。当初こそ外部から焚きつけられる形ではあったけれど、イッソンにはハスキンをもっと前に押し進めることができるはずだという手応えがあったのだろう。あるいは、以前にハスキンとして果たせなかった想いというものもあったかもしれない(使命感を得て再び『AIR JAM』というドデカい花火を打ち上げてみせたハイスタ、そしてずっと最前線で闘い続けてきたBRAHMAN、LOW IQ 01など、盟友たちの奮闘も大きな刺激となったはず)。いずれにせよ、再び俺らはこれで勝負するんだという、腹の決まった覚悟のようなものが、サウンドから、表情から、もう全身から溢れ出していて、そのことが確認できただけでも、この夜は個人的に大きな収穫だった。

もちろん、“New Horizon”“the steady-state theory”“新利の風”など、往年のキラー・チューンでは笑っちゃうくらいに大合唱&大フィーバー。アンコールでは名曲“WALK”をTHE BAWDIESに捧げ、幾度も最高潮を刻んでみせた新生HUSKING BEEだった。それにしても、ハスキンにBRAHMANにBACK DROP BOMBにと、来年2月は我が青春の面々による新譜が連発。今から楽しみだー!!(奥村明裕)
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