氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)

『氣志團万博2012』、昨日の小池宏和による1日目のレポートの続きです。2日目は、DJ OZMA(オープニング・パフォーマンス)、ゴールデンボンバー、ユニコーン、the GazettE、氣志團、T.M.Revolution、VAMPS、浜崎あゆみ、そしてクロージング・パフォーマンスで再度氣志團の、延べ9組が出演しました。以下、それぞれレヴューです。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
まず開演に先駆けること40分、10:50にDJ OZMA登場。OZMAとKING(夜王純一)とパンチョ、そしてダンサーズの変わらぬハイテンションっぷり。“HAPPY SONG”“超!”“キモちE”などなど、アンセム連打の選曲。そして、「下品」「くだらない」「しょうもない」「だから死ぬほど楽しい」ダンスや衣裳などの演出の数々。昨日小池宏和も書いていたとおり、まさに「30分で全部見せます」みたいな超濃厚なステージに、かつてマメにライヴに通っていた身としては「ああっ、そうだそうだ、これだこれだ」と、思わずアツくなりました。小池宏和が書いていたことをちょっと補足すると、「余裕で放送禁止レヴェルの“Spiderman”ダンス」というのは、たぶん、半裸というかほぼ全裸のダンサーたち(男)が、複雑に両腕を駆使して、手に持ったお皿状のもので互いの股間を隠し合いながらダンスしていたあれのことだと思います。あと、男子十二学帽だったと思うが、「半裸で全員で大縄跳び」というのもありました。シメは“アゲ♂アゲ♂EVERY騎士”、もちろんダンサーみんな裸スーツ。偉い。すばらしい。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
と、喝采していると、異様に短い転換時間で(うなずけますが)ゴールデンボンバー登場。前アオリVで團長、「人がやらないこと、やりたがらないこと、やらなくていいことをやるところに自分たちと同じものを感じる」「かわいい後輩」「でもねたましい」「だからLOVE&HATEな存在である」と紹介。すみません、私、「エアバンド」「V系」「すごい人気」ってことそしか知らなかったんですが、ライヴを観て、その團長のコメントに、非常に納得しました。ヴォーカルの鬼龍院翔、いきなり、身につけているものは靴と股間に装着した黒い前張りのみ、という登場のしかただったし。
で、歌とパフォーマンスを観て、「ああ、存在そのものが批評として成立していて、それでウケてるんだ」ってことがよくわかった。特に、MCで振っておいてその次の曲中でオチをつけるという(ギター喜矢武豊とドラム樽美酒研二がやった)、低うい目線の笑いをほしがるパフォーマンス、特に氣志團と通じるものがあって、愛おしく思いました。
あとでウィキを見たら、鬼龍院翔は東京NSCの出身で、在校中は現しずるの池田とコンビを組んでいた、と書いてあって、何か、さらに納得しました。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
続いてはユニコーン、この夏唯一のフェス・イベント出演。と思ったら、ついこの間、10月・11月にも、名古屋と横浜でイベントに出ることが発表され、團長、それを前アオリVでネタにする。OT曰く「今年は活動する予定なかったんだけど、メンバー全員で阿部くんに直訴されて、『それじゃあ、出ようか』ってなって、『じゃあほかのも出ようか」ってなった』そうです。SEの “老人と子供のポルカ”(by左卜全)に乗って、メンバー全員赤白のツナギで登場(OT曰く、今年結成25周年だからそうです。氣志團より全然長いけど、でもそのうち16年は活動してないから、正味10年に満たない、だからあんまり偉そうに言えないそうです。確かに)。SEが終わり、曲をやる前からぐだぐだとメンバー同士でしゃべったあと、1曲目は、えっ? いきなりこれ? という曲でスタート。 2曲目は、「えっもうこれ?」っていう曲で……別に書くなとか言われていませんが、これ、前述の10月の横浜と11月の名古屋も、まったく同じセットリストでやる可能性が高い気がするので、曲名を書くのは自粛しときます。が、まあ、復活後の曲です、どちらも。それ以降も、復活後のアンセムたちを連発。復活1発目のシングルの、曲中1回しか出てこないサビで、阿部B、思いっきり歌詞を忘れて「♪ラーラーラーラー」でごまかしたりしながらも、堂々と楽しげにプレイ。解散前の曲は1曲のみ。テッシーが書いて、アルバムではOTが歌ってたけど、近年惜しくも亡くなった名コメディアンが歌うバージョンでシングルカットされた、あの曲をやりました。続く、阿部Bが歌う、サビでみんなで旗を振り回すあれでは、中盤の語りの部分で「俺が海岸線を走っていた時」を「俺が交差点を走っていた時」と間違え、OTに「海岸線でしょ、海岸線」と正されるも無視して「♪100円拾った~」と続けて無理矢理「ちびまる子ちゃん」方向に持って行き、そして「『ピリオドの向こうへ』は氣志團じゃなくて俺たちのほうだ! 1回解散してるんだから!」と因縁をつけ、「だから『冥土の向こうへ』だ」と、ここから「メイドの向こうへ」→「秋葉原の向こうへ」→「秋葉原の向こうってどこだっけ?」→「上野だよ」と話が転がり、「よし、俺達の新しいキャッチフレーズは『上野へ行こうぜ!』だ!」という結論に辿り着く、こうして思い出して書いている時間を返してほしくなるような掛け合いの末に、オーディエンスの「上野へ行こうぜ!」コールで曲が再開しました。で、次でOTが「今日はありがとうございました、このあとも楽しんでいってくださいね。また呼んでね」とあいさつし、最新シングルでシメ、でした。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
次はthe GazettE。初めてライヴ観ました。噂にはきいていたが、客席、もおおお、すうううごいヘドバンの嵐。ただ、「そういうルールだから」とか「そういうキャラクターだから」みたいな空気ではなく、音そのもの、歌そのもの、もっというと各楽器の鳴りや絡みやグルーヴそのもので、その状況を巻き起こしている感じ。ステージ両脇のスピーカーから放たれ続ける音、とにかくごっつくてシャープ。ビリビリくる。「マネージャーから『出てみない?』と言われて、出るのはいいけど、なんでうちらなんだ? と。氣志團の團長さんには1度だけお会いしたことがあって。でもその時も1分ぐらいだったんだけど、そのことを覚えていてオファーしてくださったみたいです」と、ヴォーカルのRUKI。あと、後半のMCで、「こんな海のそばの場所で、こんな真っ黒な(衣裳のことね)、自分たちみたいなヴィジュアル系のバンドは不似合いだと思いますが」みたいなことを言っていて、ちょっとびっくりした。で、いいなあと思った。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
そして氣志團、昨日はトリだけど今日はこの位置。「地元に錦を飾るんだ」的な、「氣志團、やれんのか!」みたいな前アオリVのあと、光のトランペットでスタート、すると続く“One Night Carnival”では……って、これも昨日の小池宏和のレポートとかぶるが、補足すると、長ラン&身長が伸びまくって「ビッグになって帰ってきたぜ!」っていうこのネタ、前にもやってたような気がします。が、その時は「人間2人分」くらいの伸びっぷりだったのに対し、今回は4人分か5人分くらいあったので、ビッグになりかたのレベルがその頃とは違う、ということだと解釈します。
“日本人”“スタンディング・ニッポン”とたたみかけたあと、地元にこんなたくさんの友達(お客さん)が集まってくれたこと、こんなすごいアーティストたちが集まってくれたことに感謝を述べたあと、「ついてきてくれるかい! 振り落とされんなよ!」とあおり、「でも、不安そうな奴もいる。この人たち、1曲目に“One Night Carnival”やっちゃって、このあとどうするんだろう、って」と言う團長。で、「俺も、同じ不安を感じてる」。みんな大笑い。で、「でもこの曲だったら、ひょっとしたら知っててくれるかも」と、“結婚行進曲-マブダチ-”に突入。ダンサー大挙登場。「ハイハイハイハイ、ハイハイハイハイ、さあとばしてまいりますよ。大丈夫かな。彼女はちょっと、the GazettEで首がおかしくなっちゃってるかな」「(別のお客に)樽美酒のメイク、直したほうがいいぜ」「さあ行こうぜ! どこへ行く? 上野へ行こうぜ!」と、團長、ここまで出た3アクトをいちいちMCネタにしつつ、 “鉄のハート”へ。この曲では、腕の故障で療養中の白鳥雪之丞も登場。そして“愛羅武勇”“俺達には土曜日しかない”“落陽”と続き、“MY WAY”でシメる、つまり前日と同じセットリスト。が、今日は「全体のシメ」ではなく次にバトンを渡す役割であることを心得た、がんがんやるけどやりすぎない、次にいい感じで余韻を残すパフォーマンスだったように思う。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
次は一昨日・昨日と、今年で4回目となる地元・滋賀での自身のフェス「イナズマロックフェス2012」を開催したばかりのT.M.Revolution。(氣志團も1日目に出場)。前アオリV、團長と西川貴教、ふたりがかりで身を切るにもほどがあると言いたくなる爆笑もんの仕上がりだったので(この2人のある共通項をネタにしたものでした)、はたしてライヴをどういう気持ちで観ればいいんだかちょっと迷ったが、ヒット曲連発でもう持っていく持っていく。 “HIGH PRESSURE”、“HOT LIMIT”“LEVEL 4”“蒼い霹靂”というザッツ・アンティノスな選曲、しかもものすごいテンション。前の方で踊り狂う人や、歌いまくる人が続出、というのはまあうなずけるが、後ろの方でフードの行列に並んでいる人までみんな口ずさんでいるさまに、このアーティストの底力を見た。しかし、2日間主催フェスを仕切った翌日にこのパワーって、どういう人なんだ一体。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
「アクアラインをかっとばしてきたら、覆面にじゃまされて、悪いことするもんじゃねえなって思った。でも、ここでは自由にやっていいんでしょ?」「ええとこやな、ここ。楽屋から釣りができるんですよ」「なんで出たんかというと、翔くんとは何度か飲んだことはあって……VAMPS、これに出ると、今日で5日連続ライヴになってしまうんです。そうまでして出たいんかというと、出たかったんです」。と、あのもんのすごい音で、だけではなく、MCのたびに場をぐっとつかんでいたVAMPS。ご存じない方のために5日連続の件を補足すると、VAMPSって、自分たち的にはライヴハウスクラスのハコでやりたい、でもそれだとチケットの需要に見合わない、という理由でそうしてるんだろうなと思うが、ツアーになると1ヵ所で5デイズとか6デイズとかやるのが普通になっているおそろしい人たちで、今もツアー中で、この日はZepp Tokyo6デイズの間に設けられた空き日であって、本来ならノドを休めるための休息日だったのだと思います。ちなみにこのツアーで7月にはZepp Tokyo、13デイズやってます。さすがにぶっ通しではないにしろ、正気の沙汰とは思えない。
にしても、そのハードワークのせいか、音楽性のせいか、たぶん両方だと思うが、ごっついダミ声と美しいハイトーンのコントラストがとにかくすごい、HYDEの歌。いや、コントラストだけじゃなく、爆発力といい迫力といい攻撃力といい、とにかくもう「力」の字が付く方面において圧倒的。ちっちゃい飛行機だったら声で落とせそう、とすら思った、海辺の会場だったので。シャンプー“TROUBLE”のカヴァーから“GLAMOURUS SKY”、“DEVIL SIDE”“SEX BLOOD ROCKN’ROLL”とたたみかけた後半が、特にキました。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
そして、開催直前に、電撃的に出演がアナウンスされた浜崎あゆみ。まずマントを羽織ったダンサーたちがステージの中央でポージング、その前にでっかいサングラスをかけた浜崎あゆみがせり上がってきたと思ったらダンサーたちが彼女を囲み、ああ、ここで衣裳替えしてばーんと始まるのね、と思ったら、あゆ、團長バージョン(赤線入り)の学ラン! ダンサーも全員学ラン! そして曲はいきなり“evolution”! というこのオープニングで、もう、がつーんとつかまれました、私(元々大好きなんです、この曲)。氣志團のフェスに来てる人たちは、何をどうすればいちばんうれしいか、いちばんびっくりして喜んでくれるか、と、おそらく考えてのこの演出。“SURREAL”、“HANABI”、“Sunrise”、という出し惜しみなしのセットリスト。この人のライヴは、昔、「a-nation」や代々木第一体育館などで観たことあるんだけど、その時は悲壮なまでに使命感に満ちたストイックなステージで、とてもすばらしかったんだけど、本人は楽しそうではなかった。というか、そもそもライヴ自体、自分が楽しいとか楽しくないとかいうためにやるものではありません、ファンのためにやるもんです、という感じだった。が、数年ぶりに観たこの日のあゆは、明らかにお客さんのため(しかも自分のというよりも氣志團の)にやっていながら、自分自身もとても楽しそうで、溌剌としていて、そこもなんだかすごくよかった。かなり感動してしまい、その感動のあまり、“July 1st”でライヴが終わったところで、思わず帰りそうになりました、私。

氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
氣志團万博2012 @ 千葉県・袖ヶ浦海浜公園(2日目)
「あ、クロージング・アクト、氣志團だった」と思い出して戻ったら、すぐに始まった。メンバー全員(ユッキ含む)あの『サージェント・ペパーズ』風の衣裳、楽器なし。で、何をやるのかと思ったら、EXILEの“RISING SUN”を、鼻メガネを装着して「♪外人さん」と歌いながら踊るという、2日間のエンディングとしてはちょっとどうかと思うパフォーマンス。と、團長、「このあり得ないスターが集まったフェスのシメがこれでいいのか!」とセルフツッコミ、本当のラスト・チューンとして、ゴールデンボンバーを招いて、ダンサーたちと共に、出たばかりの氣志團のニューシングル“SUPER BOY FRIEND”で、本当のシメでした。

ここまで来てこんなこと書くのもなんだが、氣志團は本来は、フェスには向いていない人たちだと思う。よそのフェスに出て40分とか50分で場をガサーッと持って行くのは大得意だけど、自分たちで、バンドを集めてフェスをやるのは向いていない、ということです。どうせでっかい場所でやるなら、そこで自分たちだけで3時間でも4時間でも5時間でもやるんだ、それだけのネタもアイディアもあるんだ、というバンドなので、元々。で、実際、過去はそうやってきたし。でも、あえて今年はこれをやった。それはなぜか。ということが、その場にいるだけで、最初から最後まで、伝わってくるフェスだった。何度も「そうかあ」とか「なるほどお」と思ったし、考えさせられました。確かにこんなこと、氣志團じゃなきゃやらないし、できないと思う。堪能しました。

蛇足。開演前と転換中のBGMについて。レッド・ウォーリアーズ“ルシアン・ヒルの上で”、爆風スランプ“リゾラバ”、UP-BEAT“KISS いきなり天国”、C-C-B“原色したいね”、などなど、おそらく團長の選曲による、いつもながらセンスとこだわりに貫かれたものでしたが、COWCOWがかかった時は、思わずひっくり返りました。あの広い会場で、「COWCOWじゃん!」って拾えた人、俺以外にいただろうか。いたら友達になれそうだ、その人とは。
あ、「あたりまえ体操」のCOWCOWではありません。そのCOWCOWの名前の元ネタになっている(とウィキに書いてあった)、PONとヨースコーのユニットです。(兵庫慎司)

※追記:と、ここまで書いてアップしたものの、その約2時間後、「……待てよ。あの曲、COWCOWじゃなかったかも。その後に出たヨースコーのソロの曲だったかも……」と、不安になり、うろおぼえの歌詞を頼りに検索をかけまくるも何もひっかからず、家に帰ってCD棚を探すがCOWCOWもヨースコーも行方不明、という状態で、私、現在、途方に暮れております。どなたかご存知の方いらしたら、どうぞご指摘ください。喜んでお詫びと訂正をさせていただきます。
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