ジンジャー・ワイルドハート @ 渋谷duo music exchange

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ジンジャー・ワイルドハート @ 渋谷duo music exchange
2011年にもチャリティ・ライヴを含め2度来日していた親日家ジンジャー。今回は、久々にフル・バンド編成となるジンジャー・ワイルドハート名義のツアーである。6/17の大阪公演を経て、翌18日の東京・渋谷duo music exchangeの模様をレポートしたい。ほっこりしたムードでカヴァー曲も連発する弾き語りショウは楽しいけれど、やはりダイナミックなヘヴィ・ロックンロールでジンジャーのソング・ライティングのセンスを、そしてワイルドハーツ・ナンバーの数々を楽しむことが出来る機会には、格別の期待を寄せてしまう。

さて開演時間を迎え、まずステージに立つのは今回のツアーに帯同しているUK2バンドのうちの一組、EXIT_INTERNATIONAL。マイクを通さずに雄々しいコーラスを放ちながら爆裂ロックンロールを転がしてゆく、ベース×2+ドラムスというユニークな編成の3ピース・バンドだ。テクニック云々という部分はさておき、ワイルドな風貌で前のめりな、そして3ピースならではの身軽さでスリリングなコンビネーションを交えてゆくパフォーマンスが実に痛快であった。ジンジャーへのリスペクトとツアーの喜びを溢れ出させながら会場を熱くする、最高のトップ・バッターだ。眼鏡ドラマーのアダムは、フォールズのシャツを着ていたりもする。意外と好きなのかな。

ゲスト・アクトの2組目は、こちらもUK出身となる4ピース、ホーク・アイズ(Hawk Eyes)。グランジ/エモ通過後のUKヘヴィネス、或いは文科系ノリのフー・ファイターズといった印象のバンドで、迫力の爆音の中に巧みなソング・ライティングを忍ばせている。個人的には今年リリースされたアルバム『アイデアズ』をロッキング・オン誌上でレヴューさせて貰ったのだが、その中では偶然にも、以前にライヴで共演も果たしていたというジンジャーとのポップ・センスの共通項を挙げたりもしていたので、今回の来日公演における共演は余計に嬉しいものとなった。

というところで、いよいよジンジャー・ワイルドハート。登場直前のステージ袖からは、メンバーの熱い掛け声が聴こえてきたりもする。姿を見せたジンジャー、今回は髪をビシッと撫で付けたスタイルで、もともと男前なのは変わらないけれどずいぶん精悍な印象を与えてくれる。往年のマリリン・モンロー(狙ってやっているな)みたいなゴージャスな風貌の女性コーラスを含め、6人編成のバンドである。

今春、ジンジャー・ワイルドハート名義のアルバムとして『100%』がリリースされたが、これはそもそもインターネット上の企画として順次3枚/計30曲もの新作『555%』を発表し、その中からファン投票によって収録曲を決定したもの。音楽人・ジンジャーの留まることのない創作意欲が爆発し、それを支持する熱心なファンたちのサポートも反映されたエピソードだ。ライヴはその収録曲"Another Spinning Fucking Rainbow"でスタート。ドラマー以外のメンバーが横一線に並び、一斉ジャンプを見せながら賑々しくプレイしてゆく。ジンジャーは拡声器を用いてのパフォーマンスだ。

「ハイドーモ、俺たち、日本人バンドだよ」と余裕の親日家ぶりで軽口を叩き、続いては陽気なブギー・ロックンロールのジンジャー名義曲"Girls Are Better Than Boys"へ。正直に言えばバンドはちょっとリハーサル不足なのかなというところもあるが、キャッチーなメロディの力だけで持って行ってしまうところは凄い。「今夜、この会場は世界で一番ステキな場所だろ?」とオーディエンスのコーラスを誘い、"Anyway But Maybe"や"Sonic Shake"辺りでは、あたかもオーディエンスのコーラスまで含めてバンドのパフォーマンスであるかのようだ。

新作を紹介しながら、俺にもちゃんと金が入るようにしてくれよ、と笑いを誘うジンジャー。でも、太っ腹なフリー・ダウンロードなども実施してきたからこそ、彼のこんな発言には大きな説得力が宿る。"Taste Aversion"の、弾き語りからスタートして豪快なグルーヴを経由し、スウィング感も交えながらサイケデリックなフィニッシュへと持ち込むといった膨大な情報量のゴッタ煮的アイデアは、彼の才能の爆発を垣間みるようだった。

ジンジャー・ワイルドハート @ 渋谷duo music exchange
ファスト&ラウドな爆走に雄々しいコーラスが繰り返される"S.I.N (In Sin)"以降は、ファン驚喜のワイハ曲乱舞である。バンド・メンバーも大きなアクションを見せながら興奮の時間帯を形成していった。入り組んだ展開にチャーミングなメロディが弾け、この独特の手応えにフロアの熱気もどんどん高まる。楽曲の底力。ただただそれに尽きる。気がつけば、あっという間にステージ本編は幕となってしまった。

そしてジンジャーひとりで再登場し、切々としたメロディの弾き語りで奏でられるアンコールの"Just Another Song About Someone"。「ごめん、みんなの手拍子が速すぎるんだ。この曲は手拍子なしでいいや。シーッ」と仕切り直されたのはご愛嬌だが、これまた美しいナンバーである。楽曲の途中でバンド・メンバーも加わり、ドラマティックに展開してゆく。直後には「イチ、ニ、サン、シ!」とカウントを取ってまたもやワイハ曲"Do The Channel Bop"へ。コーラスに合わせてフロア一面にオーディエンスの腕が揺れ、ワルツのリズムに踊る。アンコールの最後には"Inglorious"も豪快に披露し「ジャーネー! マタネー!」と前線のオーディエンスとタッチを交わすジンジャーだったが、せっかくキメた彼のヘア・スタイルは、とっくにグシャグシャになってしまっていた。

なお、ジンジャーは翌19日に渋谷O-nestで行われるイヴェント『COLUR SCENE』(EXIT_INTERNATIONALやホーク・アイズらも出演)に参加することも急遽決定しているので、可能な方はぜひ。(小池宏和)

GINGER WILDHEART SET LIST
01: Spinning Fucking Rainbow
02: Girls Are Better Than Boys
03: Mazel Tov Cocktail
04: Anyway But Maybe
05: Sonic Shake
06: Taste Aversion
07: Confusion
08: S.I.N.
09: Very,Very Slow
10: Suckerpunch
11: Sunshine From New York
12: The Hard Way
encore
01: Just Another Song About Someone
02: Do The Channel Bop
03: Can't Do Right For Doing Wrong
04: Inglorious
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