神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo

神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃんとB.B.クィーンズのコラボ・ユニット=B.B.かまってちゃんのシングル『夢のENDはいつも目覚まし!』の、東名阪リリース・ツアー「夢のENDは鳴り止まないっツアー」のファイナル。最も子供に支持される歌を生んできたユニットと、最も子供に見せる・聴かせるのがはばかられるバンドによるこのツアー、単なる対バンではなく、来場者全員にプレゼントがあったり(手ぬぐい・ステッカー・ポストカードのセット)、CDを買ってツアーに来た人が参加できる抽選会があったり(なんとの子と近藤房之助のギターが当たる)、2F席では2人用・3人用の「ファミリーシート」が設けられたり、前説とアンコール前のつなぎに芸人さん(BB五郎。稲川淳二のモノマネを得意ネタとする方)が入ったり、終演後にはシングル購入者対象の握手会が行われたり、という、バラエティー感に満ち満ちた企画でした。

神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo
神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo
神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo
最初から2バンド分の機材がセッティングされたステージで、B.B.五郎が前説とネタをやったあと、B.B.クィーンズ登場。昨年、坪倉唯子(vo)、インチキおじさんこと近藤房之助(g&vo)、増崎孝司(g)、宇徳敬子(vo&cho。NHK-FM『MUSIC LINE』のDJをこの4月から担当しておられるあの宇徳さんです)、の4人で再始動したこの方々、リズム隊とキーボードが加わった7人編成のバンドでオンステージ。
「もう圧倒的に演奏と歌が優れている」「もう圧倒的にこっちが曲を知っている」「なので、もう圧倒的に楽しい」と、全面的に「もう圧倒的に」感だらけのステージでした。特に、元々凄腕プロフェッショナル・ミュージシャンの集まりだけあって、歌と演奏の安定感と攻撃性、ハンパない。2曲目に“ロックンロールは鳴り止まないっ”をやった時などは、「ああ、この曲、こんな曲だったのかあ」とすら思った、かまってちゃんのヴァージョンとはあまりにも違ってて。なんせすごいです、生で聴くと。
あと、個人的には、国内屈指のブルース・マン=近藤房之助を生で観れた、というのは、とてもうれしいものがありました。ご存知のように、時折「イェー!」とか「ウォー!」とか合いの手入れるのが主な仕事であって、自分がメインで歌うのはほんのわずかだし、ギターもがんがんソロ弾いたりすることはあんまりないんだけど、その、たまに自分が前に出る瞬間の「ものすごい才気」に、やられました。
近藤房之助さん、普段は「人生ずっともうツアー中」みたいな状態で、毎月毎週全国津々浦々でライヴ活動をくり広げておられます。公式サイトのスケジュールを見ると、セッションとかもあるけど、基本編成はパーカッション=宮川剛(B.B.クィーンズのドラマーでもあります)とキーボード=YANCY(前にCaravanとかやってた方ですね)とのトリオのようです。いいな。行こうかな。
セットリストは以下でした。

1.We Are B.B.クィーンズ
2.ロックンロールは鳴り止まないっ(B.B.かまってちゃんver.)
3.ゆめいっぱい
4.Good-bye morning
5.想い出の九十九里浜
6.僕らの七日間戦争
7.はじめてのおつかいメドレー(ドレミファだいじょーぶ~しょげないでよBaby~Loveテ…素敵な僕ら~ドレミファだいじょーぶ)
8.おどるポンポコリン

神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
続いて神聖かまってちゃん。かまってちゃんマネージャー劍くんによる注意事項(「アーティストがそちらに飛んでいっても決して押し寄せないでください」とかそういう話)をはさんで、4人、ステージに登場。の子、Zepp Tokyoでやるのは初めてであることや、ここには何十年も前に(って、そこまで昔ではないはずですが)ストロークスを観に来たことや、ひとりで後ろで体育座りで観ていてすっごいつまんなかったことや、「みんなひとりでライヴ行くとそうなるんだよ!」みたいなことや、「Zepp Tokyo、これからもやっていくぜ! や、これからはどうでもいいんでね、今楽しめ、おまえら!」ということなどを言いつつ、ライヴをスタート。
で、ライヴ、基本的には、神聖かまってちゃん「にしては」さくさく進みました。の子やmonoやみさこがいつまでもしゃべり続けないように、あと、の子が思いつきで勝手に次の曲を変えないように、「ライヴ進行管理人」ちばぎんが、キリのいいところで「はい、次の曲は××です!」と宣言して半ば無理矢理曲に突入、というスタイル、すっかり完成の域に達しています。その宣言をしたら、の子に「えー、ヤだ」と言われたりもしてたけど。6曲目、“天使じゃ地上じゃちっそく死”の時のことでした。でも、結局そのままその曲やってました。

で。のこ、とにかく、調子よさそう。ここ半年だか1年だかのかまってちゃんのライヴ、の子が好調な時は「めちゃくちゃ」「ハッピー」「せつない」ライヴになるし、の子が調子悪い時は「めちゃくちゃ」「破綻」「ケンカ」「暴力沙汰」「収拾つかず」なことになるが、この日は前者でした。しかもかなり高いレベルで。
いや、ステージから出てる音はいつもどおりぐっしゃーっとしてるし、の子はもちろんフロアに飛び込んだりMCが支離滅裂だったりするし、まだ2曲しか終わってないのに「の子の子言うけどなあ、疲れてんだよ! 疲れてる時はおでん食いてえ」などとわめくし、ギターやエレドラのパッド(monoが使うやつ)を放り投げたりキーボードによじのぼって転げ落ちたりしてるんだけど、そのさまがもう、いちいちうれしそうで楽しそう。フロアからの「の子ー!」という声に「の子の子言ってんじゃねえよ! むしろ自分の名前言え!」と返す。「Zepp Tokyoいいなあ、ワンマンやりたいなあ。いや! さいたまスーパーアリーナまで行くしかねえな!」と言う。しまいには、ひとしきりわめいたりさけんだりした末に「これがナチュラルハイというやつだ!」とまでおっしゃってました。ナチュラルハイではないと思います。「音楽ハイ」とか「ライヴハイ」とか、そういうものなのでは、と思いました。
セットリストは以下でした。

[セットリスト]
1. ベイビーレイニーデイリー
2. ねこラジ
3. ゆーれいみマン
4. あるてぃめっとレイザー!
5. 2年
6. 天使じゃ地上じゃちっそく死
7. 夜空の虫とどこまでも
8. 花ちゃんはリスかっ!
9. ロックンロールは鳴り止まないっ

B.B.かまってちゃん
10.夢のENDはいつも目覚まし!

アンコール
11. レッツゴー武道館っ!☆
12. いかれたNEET
13. ぺんてる
14. 26才の夏休み

神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
神聖かまってちゃん✕B.B.クィーンズ @ Zepp Tokyo - pic by RYOTA MORIpic by RYOTA MORI
本編終了後、BB五郎&劒くんのMCで、ギターが当たる抽選会が行われる。近藤房之助のギターが当たった人も、の子のギターが当たった人も、BB五郎に「バンドとかやってます?」ときかれて、「いいえ」と答えていたのが笑えました。さすがかまってちゃんファン。
で、10曲目は、アンコールの前にコラボを披露するという趣向、つまりB.B.かまってちゃんでプレイ。の子は終始、ギター置いてマイク持ってうろうろしながらわーとかギャーとか叫んでる状態。monoは一応キーボード・セットのところにいるんだけど演奏は放棄、坪倉さんと宇徳さんと同じ振り付けで踊ることに邁進しておられました。

その“夢のENDはいつも目覚まし!”が終わって、B.B.クィーンズのみなさんははけて、かまってちゃんのアンコールに突入。“レッツゴー武道館っ!☆”“いかれたNEET”“ぺんてる”とやって、ちばぎん「すみません、時間ないんで! 神聖かまってちゃんでした!」と告げ、3人がステージを去るが、の子、帰らず。明らかにまだ帰りたくない風情。で、ひとりで“26才の夏休み”を始め、ひとしきり歌ったあたりで、みさことちばぎんが出てきて演奏に加わる。monoも出てきて加わって全員揃う。みさこは「うれしそう」、ちばぎんとmonoは「やむを得ず」って感じ。
で、4人でもうひとしきりプレイして、本当に終了。の子、「とてもいいライヴができました。みなさん、またワンマンとかやるんで、また来てくださいね」と述べる。それでもまだ帰りたくないみたいで、しまいには、仰向けに倒れてスタッフに両腕をとられ、そのままの形でひきずられてステージを下りました。

とにかく、よかった。さっきも書いたけど、いい時のかまってちゃんのライヴって、楽しさやおもしろさやはちゃめちゃさの中に、何か、どうしようもなくせつないものを僕は感じるんだけど、それがステージから最大限に放たれていた気がする。いつもこうだといいんだけどなあ。とは思うが、そうはいかないから、いい時がこんなにいいんだろうなあ、という気もします。あと、単独で好き放題できる時と、今回みたいに対バンなどの制約がある時だと、後者の方がこんなふうにいいライヴをできる確率が高いのでは、とも思いました。(兵庫慎司)
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