モテキナイトFINAL!! @LIQUIDROOM ebisu

モテキナイトFINAL!! @LIQUIDROOM ebisu - all pics by 五十嵐絢也all pics by 五十嵐絢也
映画版『モテキ』のDVD&Blu-rayのリリースのタイミングで行われる、『モテキ』ライヴイベントの最終回。あ、リリースのタイミング、と言っても、出るの、ちょっと先です。3月23日。ちなみにレンタルはもう始まっていますが、買わないと観れない特典がいろいろあるそうなので、買った方がよいと思います。なお、予約して買わないと観れない特典映像もあるそうです。私も予約しました。
話を戻します。これまで、代官山UNIT、ここリキッドルーム恵比寿、もう1回リキッド、続いて渋谷O-EAST、で行われてきたこのイベント、今回は最後だけあって出演者を一切発表せぬままソールドアウト。最後だからもっとでかいとこでやればいいのに、と一瞬思ったが、映画の中で、リキッドでのイベントに幸世と墨さんが行ってそこでみゆき&るみ子と出くわす、ステージでは女王蜂がライヴをやっている、というシーンがあったから、あれを実際にやる、という趣旨なのかな、と納得しました。で、出演者が発表されたのは、イベントの2日前でした。
では、順番にレビュー。ライヴはステージで、DJやネタ関係はステージ向かって左の通路みたいなちょっと高くなっているあそこで行われたので、実質、転換時間なしで、サクサク進みました。

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1 DJやついいちろう
いきなりごめんなさい、最後の2曲しか聴けませんでした。今回はちゃんと頭からやついくんのDJを聴こう、とオープンの17時に行ったんだけど、人が溢れかえっていて入場が全然終わっておらず(あたりまえだけど)、みなさん自分の番号が呼ばれるのを辛抱強く待っており、私、招待者パスもらったので、その人波をかき分けて先に入っちゃうこともできたんだろうけど、スタッフならともかく観に来ただけの奴がそれをやるのがなんかはばかられて、2Fのカフェで時間をつぶして、お客さんが入りきってから入場したら、あと2曲になっていたのでした。湘南の風→自分の曲(きみはキョンシー)でアゲまくってました、やついくん。

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2 あらかじめ決められた恋人たちへ
激しい曲でも、踊れそうなBPMの曲でも、超満員のお客さん、みんなじいーっと固まったまんま。ウケてないのかな、と心配になるが、曲が終わるとドーッ!とものすごい拍手。
というライヴでした。人の想像力や妄想力をめったやたらと増殖させまくる、サイケデリック・ダブの最新型。って別に誰もそんなふうに呼んでませんが、私がそう思っているだけですが、「なんだサイケデリック・ダブって」と言いたくなりますが、でもほんと、そういう感じでした。すんごい刺激的。私、観たの、昨年のフジ・ロック以来だったんだけど、さらにすごいことになっていた。大根監督も、「うまくなってた!」と驚いておられました。

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3 マキタスポーツ
「“崖の上のポニョ”ブルース・バージョン」や、「尾崎豊“十五の夜”音頭バージョン」などでさんざんウケたあと、「“十五の夜”の被害者」の立場で歌うオリジナル曲を披露。もう、必殺の一撃でした、これ。おもしろすぎ。さらにラストに得意中の得意ネタ「“いとしのエリー”の詞を長渕剛“乾杯”のメロディで歌う」を投下。フロア、さらに激爆笑。これも何度観てもすばらしい。あと、さりげに歌もギターもとてもしっかりしているなあ、基礎がちゃんとしてるなあ、とも、いつも思います。

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4 女王蜂
何度観ても、つくづく、すげえ。ロックじゃない。というのは、普通、批判する時に使う言い方だけど、このバンドの場合、その正反対の意味で、ロックじゃない。自分のそばにあって一番てっとり早かったから、音楽という表現方法を選んだだけ、そんな感じ。昔、立川談志はビートたけしのことを「内容が形式を超えている」と評した。漫才という形式で出てきたけど、その枠で収まるキャパの表現者ではない、ということです。その言葉どおり、ビートたけしはより広い活動へどんどん踏み出していったわけですが、なんで女王蜂のことを書くのにたけしと談志を引き合いに出しているのか自分でもわかりませんが、観ていてそれを思い出したんだからしかたない。何か、末恐ろしいものすら感じた。
ただ、私としては、音楽の域に、踏みとどまってほしいと思います。音楽、好きなので。あと、「音楽じゃなくても別にかまわない」くせに、「音楽じゃなきゃできない」ことを明らかにやっているので、このバンド。
それから、リキッドで女王蜂を観る、というまさに映画『モテキ』そのままの状況だったもんで、思わず隣のみゆきに「俺、るみ子とやったよ」と言いそうになりました。やってませんが。みゆきもいませんが。隣にいたの、電気グルーヴマネージャーの道下さんでしたが。

5 DJ大根仁
大根監督のDJとおしゃべりのコーナー。途中、「飛び入りゲストです!」と呼び込むが、誰も出て来ず、ソデでなんか人がわたわた走り回ったりしている気配が伝わってくるのみ。で、あら恋のベーシスト、劒くんが出てきました。神聖かまってちゃんのマネージャーでもある彼が出るというので、の子が遊びに来ていたらしく、「せっかく来てるんなら」と監督がいきなりむちゃぶりしたけど、いやがって出てこず、そのままどっか行っちゃった、ってことだったようです。劒くん、「僕のせいですかね……僕のせいですね。すみません」と謝っていて、若干、気の毒なものがありました。
というふうに、ちょっとグダッとなった空気を見事に元に戻したのが、続いて「呼んでないのに来た」(by大根監督)飛び入りゲストにして映画『モテキ』出演者(2秒だけど)、ジョニー大蔵大臣(水中、それは苦しい)。あとでイベント全体の進行表をもらったんだけど、彼の名前、どこにも入っていなかったので、ほんとに予定外だったんだと思います。
映画では2秒だったけどDVDの特典映像にはフルコーラスで入っている、という“安めぐみのテーマ”をやってくれました。途中、「東MAXめー!」という雄叫び入り。フロア、大喝采。偉い。あなたが来てくれてよかった。
あと、監督、『モテキ』のDVD特典映像を、見せてくれました。

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6 フジファブリック
もうすっかりなじんだ、新体制になってからのステージの並び。ドラムはBoBo。旧曲も新体制になってからの曲(つまり『STAR』の曲)も織り交ぜながらライヴが進んでいく、今のフジファブリック王道の、正攻法な、まっとうにいいライヴ。『モテキ』コンピに提供した小沢健二“僕らが旅に出る理由”のカヴァーをやりましたが、こういう趣旨のイベントなんだから想定内。テレビ版・映画版共通のオープニングテーマ“夜明けのBEAT”をやったのも想定内、なんだけど、ただし、ここですごいサプライズがありました。
山内総一郎、歌いませんでした。志村のヴォーカル・トラックを使って、バンドは生でプレイして、“夜明けのBEAT”をやったのです。しかも途中から、パーカーのフードを被った森山未來が乱入、ものすごい身体能力によるあのダンスを踊りまくる。つまり、大根監督が撮った“夜明けのBEAT”のPVの再現をやったわけです。すごかった。鳥肌立ちました。誰が言い出したのか知らないが、メンバーじゃなくてイベント側かもしれないが、これ、ワンマンでも、他のイベントでもやりたくないだろうし、やらない方がいいと僕も思う。今日、ここでだけできたことだと思う。とにかく、集まった人たちのためにこれをやったフジファブリック&森山未來、偉いと思う。
あと、この曲をやる前に、山内総一郎、志村くんが亡くなったことや、この曲(とアルバム『MUSIC』)を作った経緯などをていねいに説明し、これから志村ヴォーカルでやることも伝えた上で、演奏しました。そんなにちゃんと言わなくても、みんな知ってるよ。黙ってこの曲やって、いきなり志村くんの歌が流れ出した方が、みんなびっくりしておもしろかったのに。とか最初は思ったけど、その説明をきいているうちに「そうか、これワンマンじゃないから、フジのことよく知らない人もいるかもしれないし、事情がわからない人が観たらなんだかわからないからか」と、気づきました。というのも、偉いと思う。

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7 DJやけのはら ドリアン 七尾旅人
やけのはらのDJタイムのラストに、ドリアンと七尾旅人が登場、曲はもちろん“Rollin’ Rollin”。言うまでもありませんが、極上。曲が後半にさしかかるにつれ、「ああっ、もうすぐ終わっちゃう」とものすごくせつなくなりました、私。「うっとり」と「覚醒」が入り混じったような不思議な表情でDJブースを凝視していたフロアのみなさんも、そうだったのではないかと思います。

8 大根仁 長澤まさみ 川村元気
ここでまた大根監督、登場。東宝の川村プロデューサーも登場。「幸世が出たということは……」と、また飛び入りゲストを呼び込む。松尾みゆきでした。長澤まさみです。森山未來が出た時点でうっすら予想はしていたみなさんも多かったでしょうが、「予想通り」とはとても思えないほど沸き立つフロア。で、大根監督、ここでもむちゃぶり。映画の中で、最初に幸世と会った時のセリフ「なんだ、かっこいいじゃん」と、下北の飲み会でるみ子を置いて先に帰るシーンのセリフ「私、ここでドロンします! シュシュシュシュ(手裏剣を投げるゼスチャー)」を言わされ、フロアの野郎ども、萌え死に。なお、最初、「ドロンします」を「失礼します」と言ってしまい、「あ、間違えちゃった」とひとこと。ここでも一同萌え死にでした。私の隣の道下さん、「(柱がじゃまで)まさみちゃんが見えないよー!」とキレておられました。
で、彼女が去ったあと、また、DVDの特典映像をいろいろ見せてくれました。

9 岡村靖幸
唯一、登場が明かされていなかった……いや、幸世やみゆきやジョニー大蔵大臣も明かされていなかったけど、それとは違う意味で明かされていなかったアーティストが、トリでした。岡村靖幸。リキッドルームのキャパで岡村ちゃん。ありえない。というか、それ以前に、あのバンド全員ステージに乗せられるの? という問題があると、ファンなら思うところですが、ちゃんと乗ってました。すごく狭そうだったし、ダンサーはなしでしたが(物理的に入れようがなかったんだと思う)。とにかく、このキャパで東京で岡村ちゃんを観れるというのは、まあ、あり得えません。イントロが響き、「えっ、これもしかして……」と期待が高まり、幕が開いてそこに岡村ちゃんがいた時の、フロアのみなさんの歓喜っぷり、ちょっとすごいもんでした。興奮のあまり、そのまま泡吹いて倒れそうな人もいっぱいた。倒れてなかったけど。
選曲自体は、最近おなじみの「ワンマンの時のセットをギュッと圧縮した感じ」のあれです。なので、“ロングシュート”とか“だいすき”とか、“どぉなっちゃってんだよ”とか、メドレーとか、名曲のオンパレード。合間合間に「モテキベイベー!」などと、今日この場所ならではのシャウトが入るのもうれしい。ノドや身体のキレを見るに、コンディションも上々。曲は、演奏は、よくないわけがない。「近くてよく見える」とこで岡村ちゃんを観るってこんなにうれしいもんなんだなあ、これで俺、当分いいことないだろうな、まあいいやあ、と、思うほどでした。
アンコールもしっかりやってくれました。そのあと、『モテキ』音楽担当の岩崎太整によるクロージングDJで、ほぼ5時間半にわたったイベント、終了。あ、それから、VJで入っていたのは、『モテキ』の編集を手がけた石田雄介でした。


というわけで、今回も、いや今回特に、もう大満足のイベントだったんだけど、ひとつだけ気になったこと。2回目のトークコーナー、川村プロデューサーが登場した時の、大根監督の話。プロデューサーからは「ぜひ『モテキ2』を」と言われている、自分は全然そんな気なかったんだけど、ちょっと今、「ありかな」みたいなことも思い始めている、と。ただ、これ、自分と原作の久保ミツロウと森山未來の3人がやる気にならないとできないことなので、みんな、『モテキ2』が観たかったらふたりにそう言ってください、という話でした。
で、みんな、「お願いー!」とかって叫んでましたが、私、正直、ちょっと微妙です。
うーん、観たい2割、観たくない8割くらいかなあ、今んとこ。そのへんについて書き出すと長くなるのでやめときます。DVDが届いたら、それを観ながらもういっぺん考えることにします。(兵庫慎司)
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