平井堅 @ さいたまスーパーアリーナ

平井堅 @ さいたまスーパーアリーナ
平井堅 @ さいたまスーパーアリーナ
ニュー・アルバム『JAPANESE SINGER』のリリース・ツアーの追加公演、さいたまスーパーアリーナ2デイズの2日目。まだ来週の大阪城ホールが残っているので、セットリスト等は伏せますが、レーベルの「ここまではOKです」というガイド内で、若干ネタバレあります。それも知りたくない! という方は、ここで読むのをストップしてください。

まず。リリース・ツアーなんだから当然、“お願いジュリー☆”“Girls Girls Girls”“Missサマータイム”などなど、ニュー・アルバムの曲たち、多数あり。“Missin’you~It will break my heart~”“瞳をとじて”“KISS OF LIFE”“POPSTAR”などなど、過去の代表曲もいろいろあり、で2時間ちょっとのショー。そう、今「ショー」と書いたが、まさにそうだった。ここ10年くらいの彼のツアーの中で、最もバラエティに富んでいて、最もいろいろな演出があって、緩急とか抑揚とか押し引きとかによるダイナミズムが最もでっかくて、総じて、最も華やかなライヴになっていたのです、今回は。
特に、演出の面と構成の面。途中に、(本人曰く)『ミニ・Ken’s Bar』のコーナーをはさんでみたり。アッパーな曲が続くコーナーでは、客席にいくつもの巨大風船が投げ込まれて、それが宙を転げ回ったり、炎や銀テープなんかの特効が、超満員2万人のファンを驚かせたりもしました。いや、「驚かせたりもしました」って、自分が驚いたんですが。で、驚いたあと、そうか、自分が驚いているってことは、平井堅って、アリーナ・サイズの大会場でも、ここまでいろいろ演出のあるライヴはやっていなかったってことか、と、そこで改めて気づいたのでした。

で。なんで2011年の平井堅が、そういうツアーをやることにしたのか、というのが、とても伝わってくるライヴだった。「なんで」って、当然、『JAPANESE SINGER』というアルバムを作ったからなんだけど、つまり『JAPANESE SINGER』というタイトルのアルバムだから、そういうテーマの作品だから、そういうライヴにした、ということだと思う。そのテーマをライヴでどう表現するかを考えた結果、こういうことになったのだと思う。
『JAPANESE SINGER』は、久々に、それこそ10年以上ぶりに、プロデューサー松尾KC潔とのタッグ体制で作られた作品だ。なので、かつてのようなR&B色の強い、クラブ寄りな音になるのかな、と聴く前は思ったが、そんなことはなかった。むしろ、ドメスティックな、ジャパニーズ・ポップス色の強い曲が並んだアルバムだった。なんで、今このタイミングで平井堅がそういう作品を作ったのか。そういうものが必要だと感じたからだと思う。自分にとっても、自分のファンにとって、音楽シーンにとっても、世の中全体にとっても。「震災以降」とかそういう話ではない。このアルバムのほとんどの局は震災前にでき上がっていたらしいし、きっと『JAPANESE SINGER』というコンセプトも決まっていたと思う。ただ、にもかかわらず、「以降」に聴いても存在の価値が揺るがない作品にもなっていた、あのアルバムは。
とにかく、「責任」とか、「使命」とか、「気迫」とか、「背負う」とか、「命を賭して」とか、そういうものをひしひしと感じるライヴでした。全体として、とても楽しいにもかかわらず。

あと、とても楽しいライヴでもあったんだけど、ただし、楽しくなればなるほど、それに比例して「せつなさ」もどんどんアップしていく、そういうライヴでもあった。基本、ご存知のように、バラードが多いシンガーなので、必然的にせつなくなる場面が多くなる、というのはもちろんあるが、それだけではなく、全曲アッパーな曲だけでやっても、きっとそうなると思う。平井堅という人は、元々そういうアーティストなので。

なお、MCでネタにしてましたが、このツアー、デビュー・ツアーの途中でギックリ腰になって以来16年ぶりに、腰にコルセットを巻いてステージに上がっているそうです。腰、やっちゃったそうです。くれぐれもお大事に。あと1本、無事に終わることを祈っております。(兵庫慎司)
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