フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム

フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム - all pics by 柴田恵理all pics by 柴田恵理
フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム
今回のフラワーカンパニーズのツアー『秋チェスト冬チェスト』はオール・リクエスト・ライブということで、オリジナル曲はもちろん「他アーティストのトリビュート盤での演奏曲」や「カバーしてほしい曲」まで含めてリクエストを募ってセットリストを決めるというファン全参加型企画ーーであるのに加え、今回のリキッドルームは今やフラカンお家芸となった「被り曲なしの2日間」の2日目。つまり、オール・リクエストのセットリストを2日分組むわけで、当然ファンは「盛り上がる曲」という尺度だけでなく「沁みる曲」「思い出の曲」といった基準でグッとくる曲まで含めてリクエストするわけで、こちらが思っている以上に至難の業だったはずだ。現に今回のリキッドルーム1日目も、リクエスト最多の“青い春”で「すごいリクエストしたわりには大して盛り上がらなかったな!」と圭介が言っていた、とJAPAN編集部のブログにもあったが、下駄をオーディエンス側に預けるというのはそういうことだ。それでも“恋をしましょう”あり“東京ワッショイ”あり“真冬の盆踊り”ありで思いっきりアゲ倒していたそうだが。で、この日はその「被り曲なしの2日間」の2日目。「恵比寿リキッドッルーム、2デイズ、2日目! いくぞーーー!」という圭介の号砲代わりの絶叫とともに、“俺たちハタチ族”の爆裂ハープ&うねりまくるロックンロールでいざキックオフ!

フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム
フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム
フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム
1曲目からクライマックス状態になったリキッドルームを、最新作『チェスト! チェスト! チェスト!』のミドル・ナンバー“M.R.I”のソリッド&タフなビートで高らかなクラップへと導いた……と思ったら、《ゆうべ突然懐かしい気持ちになって 小学校の校庭に忍び込んだ》と歌い始めた“この胸の中だけ”の途中の歌詞を圭介がごっそり飛ばしてしまったり、鼻風邪をひいたらしい圭介が時折ティッシュで鼻をかみながらの、どこか「決まりきらない感」の漂うステージではあった。が、鈴木圭介/グレートマエカワ/竹安堅一/ミスター小西の「日々これ徒手空拳ロックンロール」なやぶれかぶれ感&極限までソリッドに鍛え上がったバンド・アンサンブルは、そんな「決まりきらなさ」まで含めてギラギラと輝かせていくマジックそのものだ。満員のフロアは序盤にして、早くも汗が止まらないほどの熱気に満ちている。“ギャンブル天国”まで終わったところで「寒くなるのもどうかと思って、エアコンの位置をリハの時に変えたんだけど……暑かった……」と圭介。「まだ3曲しかやってません!」と“この胸の中だけ”で歌詞飛ばしたことをなかったことにしてみたり、“ギャンブル天国”の盛り上がりが思ったほどではなかったらしく「今の曲リクエストしたの誰だ! お前か! お前1人のために……」と観客に叫び散らしてみせるのも、すべてが熱狂と高揚につながっていく。

“脳内百景”、そして“It's Only Roc'kyun' Roll”に続いては、そのものずばりの新曲“ロックンロール”。ロックンロールを凝縮させたというよりは、「ロックンロールとともに生きてきて、これからも一緒に生きていく」という想いを赤裸々に綴ったような、しみじみといい曲。そして“BELLEBOTTOM JACK”の鋭利な竹安のコードストローク。“恍惚のブギー”で赤黒くうねるサウンド。「今の曲、21世紀に入ってからまだ2回ぐらいしかやってないよな?」と、“恍惚のブギー”後のMCで話すグレートマエカワ。「だいたい疲れる曲ばっかりリクエストしてくんだよなあ(笑)」と圭介。そして、「今やった“恍惚のブギー”とその前の“BELLEBOTTOM JACK”は、どっちも『怒りのBONGO』(00年)ってアルバムに入ってんだけど。このアルバムを出した頃はお客さんが100人200人と減っていって……(笑)」と語り始める。「90年代から『轟音ブーム』っていうのがあって、『お客さんはそういうものを求めてるのかなあ』って。カッコつけたアルバムを作りたかったんだよね。男のお客さんがほしかったの。昔は9:1くらいで女のお客さんばっかりで、なんでかなあって思ったら……『モテすぎるからじゃねえか?』って(笑)。キャラがチャラいんじゃねえかなと思って、しゃべんなくして、革パンはいて。『メンズノンノ』とか載っちゃって。俺たちモデル出身だから! リーダーもだよ! 俺、あの撮影の時はじめて革パンはいたのに(笑)」。「俺も革のオーバーオール作ってもらったのに」と応じるマエカワ。「男のお客さんが来てるとね、探すもんね、20年ぐらい前の、冴えなかったけど目だけはキラキラしてる、昔の鈴木圭介を……そういう人のために、今日も歌います!」といい話っぽくまとめたところで本編後半へ!

フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム
「“初恋”“はじまりのシーン”と並んで、フラカンの曲で結婚式で歌える曲の1つ(笑)」とアコギを抱えた圭介が“落ち葉”を熱く歌い上げたり、「『モテキ』のCD(『モテキ的音楽のススメ Covers for MTK Lovers盤』)で『この曲どうですか?』って言われてカバーしたんだけど、最初は華原朋美ちゃんの“I'm Proud”って言われてて。40代の男たちが一生懸命練習したもんな?」(圭介)と言って本当に“I'm Proud”を(一瞬だけだが)歌ってみせた後に、橘いずみの“失格”をひりひりしたドライブ感とともにカバーしてみせたりーーと、MCというより曲の前説というかネタのような語りは後半に入っても絶好調。そんな中で飛び出した、日本ロック史に欠かせない名曲バラード“深夜高速”。そして、4人で奏でるアウトロでじわじわと、そして確実に、真っ白なロックの極点へと昇り詰めた“夜明け”……熱気まみれのリキッドルームを、ほんのひととき、ひときわ凛とした空気で塗り替えてみせた瞬間だった。

そこからは一転、“白眼充血絶叫集団”で血管ぶち切れロックンロールを叩きつけたかと思えば、そのまま息つく間もなく“NUDE CORE ROCK'N'ROLL”の小西の鋭利なビートがリキッドルームを激烈お祭り空間に変え、『チェスト! チェスト! チェスト!』から“終わらないツアー”へ……と、鳴った瞬間に空気をロックンロール一色に染め上げる竹安のギター・リフをきっかけに次々と曲を畳み掛けていく4人のロックンロール火の玉ぶりは圧巻! 最後は“YES, FUTURE”でリキッドルーム激震の熱狂空間を描き出して本編フィニッシュ!

フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム
東京ではこれが今年最後となったこの日のライブ。「オール・リクエスト」だけに、当然オール・キャリア縦断型の選曲だったのだが、新曲“ロックンロール”といい、アンコールで演奏していた“日々のあぶく”(『チェスト! チェスト! チェスト!』収録)といい、結成20年を経た今、そのサウンドも楽曲もより武装解除されて、それでいて躍動感も打撃力もとんでもなくて、というロックンロールの理想型に果てしなく手を伸ばしてぐんぐん迫りつつある、ということがリアルに窺えた。1stアルバム『フラカンのフェイクでいこう』から“フェイクでいこう”、そして名盤『世田谷夜明け前』のラスト・ナンバー“アイム・オールライト”で「アー・ユー・オールライト、東京! アー・ユー・オールライト、日本! ありがとう! よいお年を!」と一足早い暮れの挨拶でアンコールを締め括る。鳴り止まないアンコールの声!ーーに応えて再び登場した4人、最後は“馬鹿の最高”で力いっぱいのクラップの嵐を巻き起こし、“ホップステップヤング”ではリキッドルームをシンガロングと一面のピースサインで埋め尽くして終了! 「よいお年を! メリー・クリスマス! 風邪引くなよ! 死ぬなよ! 歯磨けよ!」という圭介のコールが、最高に熱い一夜の余韻を胸に残して……終了。『秋チェスト冬チェスト』は、12月17日・名古屋CLUB DIAMOND HALLでの『“真冬の大爆発2011”~歳末大感謝祭! 怒涛の2部構成!!~』を挟んで2月5日・水戸LIGHT HOUSE公演までまだまだ続く!(高橋智樹)
フラワーカンパニーズ @ 恵比寿リキッドルーム

セットリスト
01.俺たちハタチ族
02.M.R.I
03.この胸の中だけ
04.ギャンブル天国
05.脳内百景
06.It's Only Roc'kyun' Roll     
07.ロックンロール(新曲)
08.BELLEBOTTOM JACK
09.恍惚のブギー
10.寄鷺橋サンセット
11.落ち葉
12.失格(橘いずみカバー)
13.真赤な海
14.深夜高速
15.夜明け
16.白眼充血絶叫楽団
17.NUDE CORE ROCK'N'ROLL
18.終わらないツアー
19.YES, FUTURE

En1.日々のあぶく
En2.フェイクで行こう
En3.アイム・オールライト

En4.馬鹿の最高
En5.ホップステップヤング
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