Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館

Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館
寺岡呼人がオーガナイズし(この日の前説での本人曰く「司会と幹事」だそうです)、11年続いているライヴ・イベント『Golden Circle』の16回目、日本武道館2デイズ、JUN SKY WALKER(S)とユニコーンとの対バン企画。オープニング・アクトとして、1日目にOver The Dogsが、2日目にOKAMOTO’Sが出演。さらに、ゲストとして、ジュンスカとユニコーンがリスペクトする大先輩であり、その後押しもあって(特にユニコーン。というかOT。DVDシングルと配信でリリースされた復活作“マンモスの唄”をプロデュースした)、今年23年ぶりに活動を再開した子供ばんどが両日に登場。
その2日目に行ってきました。なんですが、イベントのスタッフからお借りしたこの写真たち、OKAMOTO’S以外はすべて1日目のものです。すみません、ご了承いただければ幸いです。
では、出演順にひとことレヴュー。


Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - OKAMOTO'SOKAMOTO'S
1 OKAMOTO'S

01.笑って笑って
02.恋をしようよ
03.欲望を叫べ!!!!

この日の武道館を超満員に埋めたファン、当然、ジュンスカかユニコーンどっちかが目当てであって、OKAMOTO’S観たさに足を運んだ人は限りなくゼロに近かったと思う。が、矢のような速さで3曲を終え、4人がステージを下りた時、武道館全体が一瞬「ポカーン」みたいな空気に包まれたのがおもしろかった。で、その「ポカーン」の次にきたのが「がっかり」だった。「えっもう終わりなの? もっと観たかったのに! すごくてあっけにとられてる間に帰ってっちゃった!」という、そういう雰囲気になりました、武道館全体が。
いや、マジに最高でした。まさに炎のようなロックンロール。特に最近、ヴォーカル・オカモトショウの伸びがすさまじい。前はもっとかわいくて無邪気な感じだったけど、最近、観るたびに、ワルそうに、スケベそうに、ほんと女5、6人いそうな感じに、どんどんなっている。いや、実生活は知りませんが。というか、そんなことないと思いますが。今の若い子ってマジメだし。
で、それに比例して、歌もどんどんよくなっている。ヴォーカリストって、歌がうまくない方が却ってかっこいい場合もある。というこのケース、とても少ないんだけど、洋楽ではミック・ジャガーという、その道の超大物がいます。日本でいうと、柴山俊之と大江慎也がそうだと僕は思っているんだけど、オカモトショウ、僕の中では、そのラインに、完全に入りました。
ただ、ショウだけのせいではないが、2曲目にやったおなじみのルースターズのカヴァー“恋をしようよ”、最近、いくらなんでも速くしすぎだと思います。


Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - JUN SKY WALKER(S)JUN SKY WALKER(S)
Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - JUN SKY WALKER(S)JUN SKY WALKER(S)
2 JUN SKY WALKER(S)

01.歩いていこう
02.START
03.休みの日
04.すてきな夜空(with 阿部/民生)
05.シンフォニー(新曲)
06.全部このままで
07.MY GENERATION

2007年~2008年に再結成した時、2008年10月26日(おお、この武道館2日目と同じ日だ)の日比谷野音のライヴで、宮田和弥は、今年いっぱいでジュンスカは止まってそれぞれの活動に戻るけど、もう解散はない、ということを話していた(ライヴレポはこちら。http://ro69.jp/live/detail/8079 )。ただそれ、解散はしないけど、恒常的にずっと活動することもない、という表明でもあったわけで、現にそれ以降、今年、東日本大震災を受けてチャリティ・ライヴを行うため再始動するまでは、動いていなかった。
で、昨日=1日目の武道館のステージで、来年から完全復活してパーマネントに活動することを発表したわけです。この日も5曲目にやった(途中、和弥の「なんか光るもんあったら出して」という呼びかけで、客席のあちこちで灯った携帯が振られました。とてもきれいでした)新曲“シンフォニー”の配信がすでにスタートしており、1月に新録ベスト盤、2月にZEPPツアー、そして3月にはつま恋でイベント「ジュンスカサミット」をやる、という。あと、ちゃんと全曲新曲のニュー・アルバムも出すそうです(これだけ公式サイトにはまだ情報が上がっていないけど、和弥、そう言いました)。
ということもあってか、このキラ星のような、ベスト・オブ・ジュンスカなセットリストも、3年前の野音の時とは違った感じで、とても新鮮に響いていたように感じた。「懐かしー」とか「やっぱいい曲ねー」とかだけではないような。3曲目、5曲目、6曲目に、曲によってキーボード・曲によってアコギで、サポート・メンバー=磯貝サイモンが加わったことにより、アレンジが変わっていたのも理由かもしれないが、それだけではないとも思う。
特に圧巻だったのは、デビュー曲である6曲目。この曲、当時、原宿ホコ天でのライヴ映像を使ったPVだったんだけど、その映像やいろんな場所やいろんな時代のライヴ映像と、今ここでプレイしている映像がザッピング的にミックスされて、ビジョンに映し出される(しかも曲にちゃんと合わせて)、という演出だった。懐かしくてウッときた、というのは想定範囲内だったけど、それだけじゃなくて、そこに入り混じる現在の映像が「で、今はこんなんなっちゃった」ではなく「そして今、こうして堂々と輝いている」「そういう今になってよかった」というメッセージとして成立していたのが、なんだかとてもよかった。
Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - JUN SKY WALKER(S)JUN SKY WALKER(S)
4曲目には、阿部とOTも参加。あと、和弥、昨日はMCが長すぎて40分も押したそうで、それを気にして「今日はさっさとやります。もう40越えたから、みんなに迷惑をかけないようにします」とか言って、スピーディーにMCを終えることを心がけておられました。それでも15分押したそうですが。


Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - UNICORNUNICORN
Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - UNICORNUNICORN
UNICORN

01.頼みたいぜ
02.WAO!
03.さらばビッチ
04.HELLO
05.SAMURAI 5 (with ジュンスカ)
06.大迷惑

という、この夏のフェス出演時と同じ、昔の曲は“大迷惑“だけ、あとは全部復活以降の曲、というセットリスト。5月くらいに最初に観た時は、「え、これ、ありなの? もうちょっと昔の曲もやった方が……」と思いましたが、それ以降、夏の間、何度か観たところ、どこでも「大あり」なことになっていた。どれももう鉄板曲扱い、、オーディエンス的に。
特におもしろかったのは、ジュンスカが乱入した“SAMURAI 5”。こないだまでのツアーでもフェスでも、客席もステージもスタッフも例の小旗を振り回して盛り上がる、阿部義晴ヴォーカルのこの曲、そもそも阿部Bがわざと「バンド・ブームっぽい曲」「ビート・パンクっぽい曲」「ってことはジュンスカっぽい曲」を狙って書いたフシがあるが、それを和弥が歌うとどういうことになるか。ずっぱまりになるのです。もう声、伸びる伸びる。最高でした。
なおこの日、OTはジュンスカのことを「スカイ」、阿部Bは「ジュンスカイ」と、なぜか呼び続けていたのですが、“SAMURAI 5”の途中で曲がブレイクしたあと、阿部Bがメンバーみんなにアドリブでお題を振って(だいたい、この曲の決め台詞「あなたのスピード、ヤバくない?」の代わりに何を言うか、というネタ)、それぞれに答えさせてから曲が再開、と恒例のやつ、この日は阿部B、ジュンスカに順番に振りました。で、最後の和弥のひとことが、大ウケ。
「スカイのMC、長くない?」
この雄たけびで曲が再開、最後までやったあとのOTのMC。
「おもしろかったねえ! すげえおもしろかったよ! ツアーで、こんなんずっとやってたんだけど、今のが一番おもしろかったわ」


Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - 子供ばんど子供ばんど
Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館 - 子供ばんど子供ばんど
子供ばんど

01.I'M SO HAPPY
02.頑張れ子供ばんど
03.マンモスの唄
04.ロックンロール・トゥナイト (with 純太/民生)
05.踊ろじゃないか (withジュンスカ/民生/阿部/オカモトショウ)

というわけで、ジュンスカとユニコーン、特に森純太と奥田民生に多大な影響を与えた80年代ニッポンロックのレジェンド……って、いや、冷静に当時を思い出すと、そのように一部の人にはすっごい影響を与えてるんだけど、シーン全体で見るとそこまででっかい存在では決してなかったんですが、とにかく純太やOTにとってはレジェンド=ゲストの子供ばんど、トリでした。あと、私にとっても、かなり、そうです。
うじきつよし(そう、バンド休止後、90年代に『カルトQ』の司会を機にタレント・俳優としてブレイクしたあの人です)ことJICKのMCによると、今年23年ぶりに復活してから、今日が7回目のステージ。このバンド、メンバーチェンジ激しかったんだけど、うじきつよし(vo&g)、谷平こういち(g)、湯川トーベン(b)、山戸ゆう(ds)、という、デビューから数年間の黄金ラインナップでの再始動です。って時点で、当時を知る者としては、もう、アガります。
1曲目でJICK、バンド・フラッグをマントのように背後に掲げ、アリーナ後方から客席のどまんなかをつっきって登場。頭にはヘルメット、そのてっぺんにはちっちゃいギター・アンプ。そう、これをマイクの前にくっつけてソロを弾くのが、当時からのこの方の定番パフォーマンスなのでした。
セットリストは、前述した復活後の新曲=3曲目以外は、すべて往年の代表曲たち。4曲目では純太とOTが参加、ラスト、5曲目ではJICKに呼び込まれてジュンスカみんなと阿部Bとオカモトショウがさらに加わる。昔もいつもライヴのラストにやっていたこの曲、途中でギターと歌だけになるんだけど、JICK、そこでジュンスカとユニコーンへの感謝の意を述べる。「俺たちを観ていた奴らが、すっげえバンドになって、そして今、俺たちの重いケツを叩いて動かしてくれた」というような内容でした。ぐっときました。
あと、ブログにも書いたけど、私、子供ばんどのライヴを観たの、数えたら29年ぶりでした。それから、子供ばんどの歌をライヴで歌うOTを観たのは、26年ぶりとかそれくらいでした。OT、広島でのアマチュア時代、ユニコーンの前にREADYというハードロック・バンドのヴォーカル&ギターをやっていて、そのバンド、子供ばんどとアースシェイカーのコピーから始めて、だんだんオリジナルを増やしていく、というライヴをやっていたのです。全曲オリジナルになってまもなく解散したんですが。


Golden Circle Vol.16 ジュンスカ×ユニコーン @ 日本武道館
アンコール・セッション

01. ROCK'N ROLL TRAIN
02.サマータイムブルース

1曲目は、この2日間のために呼人が書き下ろしたという曲。出演者ほぼ全員でセッション。2曲目は、「ほぼ」ではなく本当に全員が登場、曲の後半では、1枚目の写真のように、レイジ・大和ゆう・小林雅之以外全員がギターもしくはベースを抱えてステージのフロントに横一列に並び、ネックを上げ下げする定番のアクションで大いに盛り上がりました。って、貼ってるの1日目の写真なんですが、その写真では1日目がどうだったかわからないけど、2日目は川西さんもフロントに出てきて、阿部BのフライングVを持って上げ下げしてました。どう見ても、弾いてはいなかったですが。
なお、この曲、子供ばんどの十八番。言わずと知れたロックンロールのスタンダードで、オリジナルのエディ・コクラン以降、The Whoをはじめいろんな人がカヴァーしていますが、私が最初に知ったのは、この子供ばんどバージョンでした。OTもたぶんそうだと思います。川西さんは、The Whoのバージョンだろうな、キース・ムーン好きだし。あ、RCサクセションがカヴァーしたのは、その数年後です。ウルフルズがカヴァーしたのは、さらにもっとあとです。

子供ばんどは、当時さしてブレイクしていたわけでもないのに、なんでそんなにも後続のバンドたちに影響を与えた存在だったのか。とか、「山戸ゆう、こんな固い音のタイトなドラマーだったのか」ってびっくりした。とか、ベースの湯川トーベンは子供ばんど以降セッション・ベーシスト/プロデューサーとして活躍してきた方で、SPIRAL LIFEでもベース弾いてたし、フラカンのプロデュースもしていてグレートマエカワの師匠的な存在だし、湯川潮音のお父さんですよ。とか、アマチュア時代のOTは星条旗をマントみたいに羽織ってライヴやってたけど、あれ絶対JICKの影響だと思う。とか、まだいろいろ書きたいことはありますが、もういいかげん長いのでやめときます。
とにかく、堪能させていただきました。大満足でした。「いやあ、懐かしかったあ」っていう以上のものが、確かに、ステージの上にあって。(兵庫慎司)

※なお、このライヴの模様は、スカパー! にて放送されます。12月25日(日)20:30~の予定、再放送あり。詳しくはスカパー! のサイトをご覧ください。http://www.skyperfectv.co.jp/
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする