LUNA SEA @さいたまスーパーアリーナ

LUNA SEA  @さいたまスーパーアリーナ
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東日本大震災の復興支援として、バンドの収益をすべて日本赤十字社に寄付するチャリティー・ライヴ『LUNA SEA For JAPAN A Promise to The Brave』。ソールド・アウトとなったさいたまスーパーアリーナは、階上のスタンド席までみっちりとオーディエンスで埋め尽くされている。1度限りの公演ではあるものの、今回のステージの模様はWOWOWでの生中継という形で、チャリティー・ライヴとしてより広く開かれたパフォーマンスにもなっていた。お馴染みベートーヴェン“月光”をアレンジしたオープニングSEが響き渡り、アリーナ内を満たす大歓声と共にいよいよ開演である。

華やかな衣装を纏ったメンバーがプレイし始めたオープニング・ナンバーは、このスケールの会場、いや日本そのものと大きな愛情をもって向き合うような“WITH LOVE”であった。現在もそれぞれに精力的な活動を継続している5人が、LUNA SEAという現象そのものとしてフレーズを重ね合わせ、紡ぎ出してゆくということ。今回のプロジェクトの趣旨にも見合ったドラマティックなオープニングである。続いては、実際に何かが眼前で弾けるかのごとくバンド一体型炸裂リフとともに繰り出される“Déjàvu”。ロック・バンドとしてのLUNA SEAが一息にヴェールを脱ぎ捨てる。かつてのバンドの躍進を象徴するライヴ定番曲だ。Jはステージ上を練り歩きながら太いベース・ラインを奏で、INORANは笑みを浮かべながらザクザクとソリッドなギター・リフを加えていった。コーラス部分でオーディエンス達を指差しながら歌詞を預けるRYUICHIは、この曲を披露し終えると「会いたかったぜー! 俺たちの想いと、みんなの想いをぶつけようぜ!」と告げるのであった。

ガッ、ガッ、というINORANの強烈なギター・リフから、ここで早くも“TRUE BLUE”投下だ。個人的には昨年のREBOOTツアー、12/24の東京ドーム公演を観たときには披露されなかったナンバーなので、感慨もひとしおである。ステージの背景にはLEDスクリーンが壁のように立ち並び、演奏とシンクロしたCGイメージ映像を映し出している。その背景が朱に染まり、続いては“SLAVE”。ここに来てSUGIZOによる悲鳴のようなギター・フレーズが轟くのであった。更には不穏なフレーズが折り重なって走る“G.”へ。或いは、チャリティー・ライヴという趣旨に沿って優しい楽曲群が多く披露されるかとも思っていたが、LUNA SEAは今回もLUNA SEAだった。痛みをすべて抱え込んで走る、そうすることで数えきれないほどの人々と繋がることの出来る、LUNA SEAである。

「本当に今日は集まってくれてありがとう。80年代から支えてくれていたみんなが、震災で傷ついて。今まで俺たちが貰った夢を、今日はちょっとでも返したいと思います」。そう語ったRYUICHIは、満場のオーディエンスと共に1分間の黙祷を行うことを願い出た。狂騒のロック・ナンバーと大歓声がせめぎあっていたアリーナ内に、しばしの沈黙が訪れる。そして4/9に配信シングルという形で発表されたチャリティー・シングル“PROMISE”へ。REBOOTプロジェクトで披露されていた新曲群のうちのひとつで、ライヴで披露されるのは12/30の神戸以来。今回の公演タイトルにも組み込まれている象徴的なナンバーだ。災害前に生み出されたにも関わらず、美しく扇動的で、生命力に満ち溢れた、今回のようなライヴの趣旨にもふさわしい名曲である。

この後には“gravity”、“RA-SE-N”、“Providence”といった、LUNA SEAのディープで巨大なスケール感を描き出すアンサンブルが並べ立てられる。それぞれが昨年のツアーでも披露されていた楽曲だが、この並びは凄い。穴空きシンバルや銅鑼を絡めた、硬質だが味わい深いグルーヴを担う真矢のドラム。“Providence”で高く弓を掲げ、印象的なワルツのメロディを奏でるSUGIZOのヴァイオリン。そのときオーディエンスは、全員が3拍子の指揮をとるように頭上で三角形を描くお馴染みのアクションを見せる。“MOON”ではRYUICHIが月に見立てた丸い手鏡を掲げ、照明を反射させて月光の降り注ぐような光景を生み出しながら、彼の雄弁な表現力を見事に発揮した歌を届けてくるのだった。REBOOT時、彼の歌声が高音へとシフトしてゆくさまは、以前とは異なる滑らかさがソロ・キャリアで培われた経験値を伺わせていたが、今回の高音は力強いエモーションの発露を受け止めさせる、LUNA SEA活動休止前の若い頃のRYUICHIを彷彿とさせるものに戻っていた。どちらにせよ楽曲本来のメロディを乗りこなしていることには違いないのだが、爆発力についてはこちらのスタイルの方が上だろう。

10曲を披露したところで真矢以外の4人がステージから立ち去り、天球儀というか地球ゴマというか、そんな球状の造形物の中のドラム・セットの中で繰り広げられるドラム・ソロである。始めは美しいシークェンスとともに語るようなプレイを、そして両耳に掌をあててオーディエンスに囃子声を要求し、彼のルーツにある祭太鼓のような熱いプレイを繰り出してゆく。「俺たちの情熱で、日本中をあたためようぜ!」と真矢は叫ぶのだった。続いてJが登場し、リズム隊による強烈なセッションへと傾れ込む(後に記載するセット・リストでは、会場で貰ったリストどおりに「Bass Solo」と表記)。OIコールを煽りつつ、「こっからまだまだ盛り上がってくぞー!」と唸りを上げるようなリード・ベースを轟かせるJだが、そもそも彼自身が1人の、日本を代表するロック・アイコンなわけで、そう考えるとやはりとんでもないバンドである。LUNA SEAは。

終盤戦は、“MOON”と対を成すかのようにインディー時代の作品から配置された“BLUE TRANSPARENCY 〜限りなく透明に近いブルー〜”によって再び5人が走り出す。そしてRYUICHIは「音楽を愛して、一直線にここまで走ってきました。この5人でやって来れたことを誇りに思います。この場所はある時期まで、被災された方の避難場所でもあったことですし、そういう意味では特別な場所で、多くの仲間と向き合えているんだと思います。すべての仲間に、この歌を捧げます」と語り、メロディが目一杯眩くエネルギーを放つような“I for YOU”を導くのであった。“DESIRE”からは怒濤のシングル曲乱舞である。ソロを弾き倒すSUGIZOを、RYUICHIが後ろから抱きかかえて歌うこの光景はどうだ。まさに嵐をかいくぐってゆく強靭な旋律“STORM”。シングル曲に匹敵する鉄板ナンバー“TIME IS DEAD”では、勢いに満ちたオーディエンスの歌がサラウンドに響く。この流れの中で反則ものの配置“ROSIER”。Jによる雄々しいスポークンワードが、オーディエンスの火に油を注いでいた。ラストは「この場所から! この夜のために! お前たちの想いで!」とRYUICHIの掛け声ともつかないメッセージから、“TONIGHT”によって一気に本編を駆け抜けてしまうのであった。

アンコールの催促とばかりにスタンド席ではウェーヴが巻き起こり、メンバーの再登場にはこの日何度目かの大歓声が。ここでRYUICHIが語る。「俺たちは、今ここから、新しい時代を作っていきたいと思います。今日ライヴが出来ることも、残された魂の使命だと思って。皆さんも、悲しみを乗り越えて、魂の炎を燃やし続けて欲しいと思います」。そして情熱のエネルギーをラヴ・ソングという形で放つような“Crazy About You”が披露されるのだった。

この後は、「今日、世界で一番のグルーヴを叩いているドラマーは誰だ!?」というRYUICHIの問いかけに、オーディエンスが一斉に答える形でメンバー紹介へ。「こう見えてもヴォーカルのRYUICHIです」と笑いを誘う真矢は、自分で手を叩いて喜んでいる。いきなりハードルが上がった挨拶に「なんか面白いこと言わなきゃいけないの?」と珍しく戸惑うJ。「最高にクールなギタリストは誰だ?」というRYUICHIの言葉に、INORANとSUGIZOが「あっちだよ、あっち」という感じで指をさしあっていたのだが、「こう見えてもSUGIZOです」と真矢のネタに乗っかってきたのはINORANだった。一方、本物のSUGIZOは「ここに集まったパワーは、きっと被災地に届くと思います。ずっと寄り添って、歩いていきますので」と語り、そして「今夜も宇宙一、ナルなヴォーカリストは誰だ?」とオーディエンスに問いかける。スケールがでかい。そんな風に振られたのはもちろんRYUICHI。「これからも長い支援が必要になってくると思いますので、LUNA SEAとしても、いろんなことをやっていきたいと思います。そのときはまた、力を貸してください」と締めくくってみせた。アンコールは更にクリスピーなヴォーカルが小爆発を起こしながら転がる“PRECIOUS...”が、そして最後の最後にはやはりこの曲、銀色のリボン・キャノンが放たれて華々しくプレイされる“WISH”だ。全20曲、堂々の約2時間半というステージであった。

復活劇そのものが物語であったで昨年のREBOOTとは異なり、今回のライヴには「日本のために力を合わせる」という理由があった。LUNA SEAという現象がチャリティーに大きく寄与したのは間違いのないところだが、『LUNA SEA For JAPAN A Promise to The Brave』というタイトルどおりに、ファン=SLAVEのためだけではない、RYUICHIの言葉を借りるならば、すべての「残された魂」=The Braveためのステージであった。深い傷を抱え、それでも次に進まなければならない、勇敢なる者たちのためのステージ。それはLUNA SEA自身にとっても、新たな一歩を意味するステージだったのではないだろうか。(小池宏和)


セット・リスト

1:WITH LOVE
2:Déjàvu
3:TRUE BLUE
4:SLAVE
5:G.
6:PROMISE
7:gravity
8:RA-SE-N
9:Providence
10:MOON
〜Dr.Solo
〜Bass Solo
11:BLUE TRANSPARENCY 〜限りなく透明に近いブルー〜
12:I for YOU
13:DESIRE
14:STORM
15:TIME IS DEAD
16:ROSIER
17:TONIGHT
EN-1:Crazy About You
EN-2:PRECIOUS...
EN-3:WISH
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