ユニコーン @ 日本武道館

ユニコーン @ 日本武道館
ユニコーン @ 日本武道館
5月26日(木)埼玉・三郷市文化会館からスタートし、7月いっぱいで前半=ホール編が(振替で8月末になった仙台を除き)いったん終了。各地の夏フェスやイベントに出演したあと、東名阪と広島を9月と10月で回る後半=アリーナ編を行う。というスケジュールになっている、ユニコーン、ニュー・アルバム『Z』のリリース・ツアー。あ、8月30日に新しいミニ・アルバム『Z II』が出たので、アリーナ編は、『Z』と『Z II』のリリース・ツアーということになりますね。
で、その後半=アリーナ編のスタートは日本武道館2デイズで、これは、その2日目のレポートです。ちなみに、前半=ホール編は、初日の三郷市文化会館と、7月20日の千葉森のホール21(松戸市)の2本を、RO69ではレポートしております。
三郷はこちら。http://ro69.jp/live/detail/51822  
で、松戸はこちら。http://ro69.jp/live/detail/54806

そして。ここからのレポートですが、一部、ネタバレあります。スポーツ新聞など、報道とかライヴ取材とかが入っていたようで(これもそのひとつだけど)、その関係で、レーベル側から「『シャンブル』以降の曲は書いてOKです」とか「この演出に関しては書いても大丈夫です」みたいなお達しが、いくつかありました。当然、ほかのメディアはそこまで書くわけで、うちだけ書かないのもなんだなあ、ということで、ある部分は、書くことにします。
なので、これから観るから何にも知りたくないという方は、ここで読むのをやめてくださいね。


では、以下、箇条書き。

・まず、セットリストは、前半のホール編と比べると、全体の3分の2くらいが同じで、3分の1くらいが変更になっていました。ホール時にはリリースされていなかった『Z II』の曲、当然、入ってるし。たとえば……って、今、見直したら、“ぶたぶた”以外全部やってた、『Z II』の曲。って、じゃあ“手島いさむ大百科”もやったの? そして“メダカの格好”も? どうやって? と、思われるでしょうが(ご存じない方へ:どっちも、とてもライヴが想定できない曲なのです)、やりました。それぞれ、どうやったのかに関しては、NG指定ないので書くメディアもいるだろうけど、知らずに観たほうが楽しいと思うので、私は書かないでおきます。これから観る方、思う存分失笑していただければと思います。なお、“ぶたぶた”も、演奏してはいないけど、ライヴには出てきました。

・で、『Z』からは、“デジタルスープ”や“ライジングボール”や“Z LIFE”や、“SAMURAI 5”や“オレンジジュース”などをプレイ。『シャンブル』からは“WAO!”や“HELLO”や“水の戯れ~ランチャのテーマ~”などを披露。あと、解散以前の名曲たち、何曲か。というセットリストでした。

・ステージセットも、全体の世界観も、前半のホール編のままなんだけど、ただ、規模が違っていた。そのまんまの世界観ででっかくなったというか、ホールの時のステージ・セットが、実はアリーナ・バージョンの一部だったことがわかる、みたいな作りになっていました。あと、プラスアルファで、前半=ホール・ツアー編にはなかったセットや演出も、いろいろあり。いずれも、大笑いでした。

・その、前半にはなかった演出の最たるものが、上の写真です。今回の『Z』『Z II』、メンバーの写真もしくはイラストでテッシーがまんなかになっていたり、それぞれのアルバムに“手島いさむ物語”と“手島いさむ大百科”という曲が入っていたりして、なんかやたら「テッシー押し」なことになっていますが、ホール・ツアーでは、「テッシーが飛ぶ」というのが、最大の目玉になっていたのでした。
……って書いて即座に疑問に思いました。目玉か、あれ? 飛んでるっていうよりも、「吊られてる」感じだし。しかも、何度も。しかも、意味なく。しかも、時には所在なく。まあ、というような、いわば「ライヴのおもしろポイント」がその「テッシー飛ぶ」だったわけですが。
この、ツアー後半のアリーナ編では、EBIも飛ぶのです。というか、吊られるのです。しかも、テッシーと同じく、何度も、意味なく、そして時には所在なく。テッシーとダブルで飛ぶ瞬間もあって、それが上の写真なのでした。
中盤で、“いちじく”“水の戯れ”と、EBIが弾き語りをやるシーンがあったのですが、その時口にした、その己の「飛び」についてのひとこと。
「みなさんが、喜んでくれるんなら、ね? じゃないと、『なんで飛んでなきゃいけないの? これで反応なかったら、飛び損じゃん!』って」

・あと、衣装も前半とは変わってました。あの、暑そうで重そうで装飾物多くて大変そうな海賊(もしくは探検家)衣装じゃなくて、半袖の、よく見ると凝ったデザインのツナギでした。
(小声で)「リップスライムす」
「えー、昨日から、『水の110番』的な衣装に変わり」
以上、この日のOTの、新衣装に関するコメント。

・前述のEBIの弾き語りコーナーと、某タイミングでプレイされるテッシー主役の“手島いさむ大百科”のコーナーでは、「EBIの、もしくはテッシーのパフォーマンスを、他の4人が全力で邪魔する」みたいな演出が施されていました。武道館、爆笑と失笑のブレンド状態に陥りました。これも詳しくは書かないでおきます。これから観る方、お楽しみに。

・MC甲殻類のコーナー=EBIと川西さんがラップをやるコーナー、前半にも、フェス出演時にもありましたが、この後半にもあります。

・夏フェスでご覧になった方も多いと思いますが、解散前のユニコーンのライヴにおける「阿部義晴ショー」の時、曲はたいてい“人生は上々だ”でしたが、今年においてはそれ、『Z』収録の“SAMURAI 5”になっています。ステージの上も下もソデのスタッフも、サビであの海賊マークの小旗を振り回して大変に盛り上がる、という時間です。で、途中で曲がブレイクして、阿部がアドリブでお題を出して、それにメンバーが順番に答えていく、というのが終わったら、阿部、あの曲のキメ台詞「あなたのスピード!」「ヤバくなーい?」をコール&レスポンスしてから、ドーンと曲が再開。というのが、お約束なのですが。
この日、阿部さん、ここで、衝撃的な告白をしました。
ツアーが始まってちょっとしたあたりで、この「あなたのスピード、ヤバくない?」を、交通標語として掲げてる小学校があるよ、というので、その写真がネットで出回って、ファンの間で話題になっていました。「阿部さん、かぶったねえ」とか、「もしかしてユニコーンファンの小学生のしわざ? それとも、お母さんがファン?」みたいな。私も、ブログでネタにした覚えがあります。
ところが。あの小学校、阿部Bの家の近所で、そこからこの歌詞をいただいた、というのです。メンバーも、客席も、一同唖然。OT「おまえ、それ、パクリじゃないか!」。阿部、口笛を吹いてしらばっくれる。で、「俺は、どうすればいいんだ?」と開き直る。
もう、大笑いでした。しかしなあ。

・というような、ツアー前半からやっていた演出も、ツアー後半から新しく加わった演出もテンコ盛り、やることありすぎ、段取りありすぎの、超慌ただしいライヴ。しかもそうなってからまだ2本目、という状態であったにもかかわらず、「テンパリ」とか「もう大変」みたいな感じ、全然なかった。前半の1本目=三郷の時は「テンパリしかなかった」みたいなライヴだったのに、今回は、そんなことありませんでした。ちゃんとゆるく、ちゃんとグダグダしていて、そのくだらなさやしょうもなさを、超満員ソールドアウトの客席が「わははは」と共有できる、そんなライヴだった。
なので、何曲かにいっぺんの割合で、国内最高峰のグルーヴを持つロック・バンド=ユニコーンになる瞬間と、ものすごいギャップがあって、その両方ともすっごい楽しめる。という構成のライヴとして、仕上がっていました。
しかも、そんなにゆるゆるグダグダしてる時間も多いのに、トータルとしては、タイトで引き締まったショーだった。全体の尺、2時間40分だったし(短いです、復活後のユニコーンのワンマンにしては)。前半・ホール編の1本目を観た時は、「大丈夫かなあ、このツアー」というのが、私の感想でしたが、この後半・アリーナ編の2本目を観た感想は、「ああ、大丈夫だ、このツアー」でした。

なお、「国内最高峰のグルーヴを持つロック・バンド=ユニコーンになる瞬間」というのは、要は「全員が本来のパートに戻る瞬間」ということです。つまり、OTがギターを弾いて歌い、テッシーがギターを弾き、EBIがベースを弾き、川西さんがドラムを叩き、阿部がキーボードを弾く曲、ということです。それさえやっときゃ無敵なのに、「無敵だとおもしろくない」「レベル高いとか、クオリティ高いとか、別にそんなん目標じゃない」という動機で、CDにおいてもライヴにおいても、それを自ら壊しにかからないと気がすまない、そんな難儀な人たちが、ユニコーンである。ということは、ファンならご存知のとおりです。
これから観るというみなさん、ほんとに、お楽しみに。(兵庫慎司)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする