DEVO ゲスト:POLYSICS @ SHIBUYA-AX

昨日&一昨日のサマソニに続いて、今日はDEVOの東京単独公演。ゲストはPOLYSICS。ちなみに昨日のサマソニ幕張では、どっちもMOUNTAIN STAGE。つまり私、2日続けて観ているわけです。しかしPOLYSICS、昨日とは全然違うセットリストでやってくれた。ちなみに、10日前にROCK IN JAPAN FES.のLAKE STAGEのトリでも観たけど、その日のセットリストとも違った、昨日も今日も。ほとんどのバンドが、各地の夏フェスを一回のツアーと見なして、ずっと同じセットリストで回るというのが普通であって、こんなことやってるPOLYSICSはかなり少数派だと思う。偉い。あ、ただし、「DEVOはPOLYSICSにとってお父さんみたいなもの」「DEVOがいなかったらPOLYSICSはなかった」「初めてこの曲を聴いた時、バンド組んだら絶対これカバーする! と思って、実際初期のPOLYSICSではよくカバーしてた(という前置きで“SECRET AGENT MAN”を演奏)」といったハヤシくんのMCだけは、昨日と同じでした。いいじゃないか別に同じでも。

なお、全体に、ポリの中では「ぶっ倒れるまでやる」モードというよりも「ちゃんと、しっかりと、オープニング・ゲストの任務をまっとうする」みたいな、ていねいなステージだった気がする。あと、僕の席はAX2階の最後部だったんだけど、「うわ、ステージ近い。こんな近くでPOLYSICS観るの久しぶりだなあ」と思ってから「そうか、でかいとこで観るのが普通なバンドになったんだ。ワンマンも、最小でもスタジオコーストかZeppだし」と気づいた。サマソニでも、去年はISLAND STAGEだったけど、今年はMOUNTAIN STAGEに昇格したし。なかなか感慨深いものがありました。

で、DEVO。実は、ここでレポートするために昨日あんまり詳しく書かなかったとこもあるんだけど、いやあ、面白かった! って、実はこの、「面白かった」という言い方、ちょっと抵抗がある。今だと信じられないかもしれないけど、30年前、DEVOを初めて知った時は、あれは「面白い」って感じの受け取られ方ではなかったのだ。もっとこう「未来!」「最新型!」「ラジカル!」「新しい!」「かっこいい!」みたいなもんだったのだ、あの帽子もツナギもバイザー(サングラス)も……違う? そんなことない? 俺がまだ10歳だったからそう思っただけ? でも、あのパフォーマンスとかも「面白おかしい」というよりも「アート」とか「シュール」とか、そういう感じで受け取ってなかった? どう? ライター鈴木喜之あたりにきけば即座に否定されそうな気もするが、でも今日、演奏前と演奏後に流れた昔の映像を見て、改めて思った。かっこいいじゃんやっぱり! やってるパフォーマンスや映像の作り方もだけど、とにかく見た目がかっこいい、5人とも。

という過去はいいんだけど、そのパフォーマンスを、現在の、太って初老のおじさんになった5人がやると、どういうことになるのか。大笑いなのだ、やっぱり。でも「あーあ」って感じの大笑いじゃなくて、もっとこう、「ああ、やっぱり好きだなあこの人たち」みたいな、愛のある大笑いだった、フロアみんな。というか、そもそも笑うべきところを、昔の僕が勘違いしていた気がした。やっぱり俺だけだったのかも。

とにかく、代表曲連発で、もう盛り上がる盛り上がる。あと、年齢や体型のわりに、5人とも元気、息切れしたりヘタったりというそぶり、まるでなし(ライブの時間が1時間ちょっとだった、っていうのもあるだろうけど)。

さらに面白かったのが、POLYSICSと続けて観ることによって(昨日は間に何バンドかはさまっていたのです)、はからずも「ポリの元ネタ開陳」みたいな観方もできるライブになっていたのだ。

ツナギとバイザーがまんまDEVOなのは誰もが知るところだが、例えば、“PEACH PIE ON THE BEACH”でカヨちゃんが振るボンボン。あの、曲の決まったところで決まった形で腕を振るとかポーズを決めるとかわざと微動だにせずたたずむとかのパフォーマンス。そして、演奏中にツナギをだんだんひきちぎって、揃いの短パンTシャツになるやつ(は、ポリはやってないけど、以前に「突然全員ツナギの両腕をひきちぎってノースリーブもしくは半袖になる」という形にアレンジしてやっていた)。ポリ目当てで来た人もいただろうけど、みんな観ながら、「ああ、これが元かあ」「これをアレンジしたのかあ」って感じで、相当楽しかったのではないか。そんな楽しみ方をされても困るかもしれないが、もちろん、それをさっぴいて、演奏面だけとってもすばらしかった。はっきり言って懐メロバンドだが、ステージでやっていることと出している音のテンションは、まったくそういうたそがれたもんではない。とても強く、確かなものだったのだ。

なお、ハヤシくんのMCで、この日のためだけに作った、DEVOとポリのダブルネームTシャツを紹介していた。左胸に縦書きカタカナで「ディーヴォ」って書いてあるTシャツなんだけど、これは1979年の初来日・日本武道館の時に、ツナギの下に着ていたTシャツを模したものだそうです。「このあと、着てくれるかな……」とか言ってたけど、しっかり全員着てくれてました。さぞかしうれしかったことでしょう。

余談。ライブが終わり、満足しつつ2Fから階段を下りていたら、フミちゃんとすれ違った。「おつかれさまでした」と声をかけたら、「DEVO最高!」とだけ叫んで、そのまま駆け上がっていった。階段を下りたら、「兵庫さーん!」と呼ばれた。見たら、昔某レコード会社で働いていて「会社作る」ってやめた知人だった。数年ぶりに会ったので「うわ、今何やってんの?」って寄って行ったら、横に立っていた白人のおじいちゃんを紹介された。セックス・ピストルズのポール・クックだった。なんだか知らないけど知り合いらしい。「ほら、握手。ヒズ・ネーム・イズ・ヒョーゴ」って、握手してもらいました。何がなんだかわからない1日でした。(兵庫慎司)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする