ゆず@横浜アリーナ

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ゆず@横浜アリーナ
今年2月にニュー・アルバム『2-NI-』をリリースし、3月26日よりアリーナ・ツアー『YUZU ARENA TOUR 2011 2-NI-』を開催する予定だったゆず。3月11日の震災の影響で、初日の福井公演は延期、そして仙台公演は中止となってしまったが、4月2日の福岡公演からツアータイトルを『YUZU ARENA TOUR 2011 2-NI- × FUTARI』と改め、二人だけで表現できるパフォーマンスを重点においた内容に変更し、照明や映像など電力消費を必要最低限に抑えたツアーを行ってきた。そして、6月26日の鹿児島公演からの追加8公演と延期された福井公演は、本来準備してきた『2-NI-』の世界を十分に堪能できるステージセットで行うことを決め、『YUZU ARENA TOUR 2011
2-NI-』として現在ツアーは続行中だ。本日は横浜アリーナ3Days公演の最終日。鮮やかで美しいライティングや映像による演出で、本来二人が『2-NI-』で実現させたかったパフォーマンスを最大限に繰り広げた想いの伝わる一夜だった。

本日の来場者数は1万3305人。ステージのバック一面に広がる大型LED画面いっぱいに映し出された二人の歌う姿に、手拍子で一体化していくアリーナ1万3305人の熱気はものすごい勢いで上昇気流に乗っていく。「僕たちがもともとやろうとしていた『2-NI-』というツアーを、あの日止まってしまった時計をもう一度動かして、夢を描きたいと思います」と北川が挨拶すると、惜しみなく『2-NI-』からの楽曲をプレイしていった。今回のツアーを観て感じることは二つ。一つは、二人のハーモニーのこの上ない美しさだったり、とにかくファンへ届けたいという強い想いだったり、改めて思い知らされる二人の変わらない部分。そして、もう一つはこれまでのゆずにはなかったような実験的なサウンドの中でこの二人でしかできないことを自由自在に実現し、進化していくことを恐れないチャレンジ精神。その二つが絶妙なバランスで組み合わさった『2-NI-』の世界は、新たな要素の中でもゆずがゆずである所以を教えてくれるものだった。

ライブの前半で北川が会場にどんな人たちがきているかアンケートをとっていた。家族、恋人・夫婦同士、一人で来た人など様々な人たちがいる中、やはり一番多かったのは友達同士。その友達にかけて“友達の唄”を歌う。客席の様子がLEDヴィジョンに映し出され、女子も男子も、お母さんもお父さんも、子どもたちも全員が笑顔で楽しそうに大合唱していて微笑ましい。そして、続けて披露された『2-NI-』に収録されている楽曲群が本当に素晴らしかった。《君》や《あなた》で表現される《僕》との関係は、親だったり、恋人だったり、ファンとの関係だったり、北川と岩沢の関係だったり。様々な『2-NI-』の関係が構築されていて、楽曲を通してそれぞれの関係に向き合える。それこそが老若男女に愛されるゆずの魅力でもあるんだろうなと改めて思い知らされた。

そして、アルバムの中でも一際異彩を放つ“第九のベンさん”の流れでは、某テレビ番組を捩ったパロディ映像を導入部分として使用し、大いに客席を沸かせた。衣装からプレイスタイルから何から何までThe Feversという新人バンドになりきって、本気の遊びを力の限りにやり切る二人。後半で披露された、関ジャニ∞へ楽曲提供した“T.W.L”のセルフカバーにしてもそうだが、「ゆずとしてありかなしか」という概念をぶち壊して、本気でやろうと思ったことを二人のフィルターを通して具現化しながら、最終的に「らしい」ものを作り上げているのが今のゆずだ。デビューから14年経った今でも変わらず演奏される夏の定番曲“夏色”を聴きながら、その進化の振り幅を感じずにはいられない。アーティストとして本当に逞しくなったなと思う。

アンコールの最後に北川は「今回のツアーを回りながら改めて決意を固めたことがあります。これからも僕たちは喜びも、悲しみも、涙も、笑顔も、怒りも、楽しいことも、全部音楽に代えて、歌に代えて、みんなに届け続けようと決意して誓いました」と声を大にして宣言した。どんなに変化しようが、進化しようが、ゆずにとって変わらないことはそういうことなのだ。全身全霊をこめて、ありとあらゆる感情を乗せて歌うこと、これだけは本当に変わらない。“HAMO”で《1+1=2じゃなくて ∞(むげん)に広がり宇宙(そら)へ放つ》と歌ったように、変数を加えて化学反応を起こしていき、可能性を無限大に広げることの喜びを『2-NI-』で表現したゆずは、本当にすごいと思う。図らずも『2-NI-×FUTARI』と『2-NI-』という内容の異なるツアーをこの数ヶ月に亘って行えたことは、今後の二人にとってプラスの要素として働くだろう。北川、岩沢の二人でできること、そこから生まれる可能性は本当に無限だなと感じさせてくれる、懸命さが伝わる熱いステージだった。(阿部英理子)
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