OK! C'MON CHABO!!! @ ZEPP TOKYO

OK! C'MON CHABO!!! @ ZEPP TOKYO
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仲井戸“CHABO”麗市が、2010年で60歳を迎えたのを祝って、寺岡呼人がプロデューサーとなり、後輩ミュージシャンたちを集めて作ったリスペクト・アルバム(中身はいわゆるトリビュートですが、こういう名称になっています。いいセンスだと思います)『OK!!! C’MON CHABO!!!』。が、2月23日にリリースされた。どんなアルバムかは、私、自分のブログで全曲解説したので、まだの方、ぜひご覧ください。こちらから。http://ro69.jp/blog/hyogo/48316

で、そのライブ版がこの夜行われたわけです。横浜アリーナのミスチルのライブとかち合ってしまった桜井和寿を除く、アルバム参加ミュージシャン全員が出演。なお、チャボさん自身としては、60歳を迎える2010年に60本のライブをやる、その60本目は60歳の誕生日である10月9日にSHIBUYA-AXで行う、という『GO! 60』というツアーを、昨年行っています(その60本目のライブレポはこちら http://ro69.jp/live/detail/41423 )。つまり、それが、自らが行った「還暦記念行事」であり、今回のこのアルバムとライブは、人がやってくれた「還暦記念行事」である、ということです。

ではそのライブの模様。まず、セットリストと出演者、書きます。

1.GIBSON/ザ・クロマニヨンズ
2.さなえちゃん/曽我部恵一
3.うぐいす/斉藤和義
4.ティーンエイジャー/寺岡呼人
5.魔法を信じるかい? -Do You Believe In Magic?-/Leyona
6.ホームタウン/さだまさよし(岡本定義〔COIL〕+山崎まさよし)
7.ポスターカラー/TRICERATOPS
8.別人/吉井和哉
9.ガルシアの風/浜崎貴司
10.唄/宮沢和史
11.慕情/YO-KING
12.チャンスは今夜/奥田民生

ここまでが前半、ゲスト・パート。最初に幹事(と自分で言っていた)の寺岡呼人がひとりで出てきてあいさつし、客席に「OK! C’MON CHABO!!!」とコールさせてライブがスタート。で……箇条書きにした方が書きやすいな。そうします。

・1アクト1曲ずつ、つまりそのたびに転換があるので、弾き語りが続くところはいいけど、弾き語りの次がバンドだったりすると間が空いてしまう。その間を埋めるMCとして、そのたびに竹中直人が登場。「あがってまーす」と言いながら、キャラに入った状態(甲高い声で、時々渋い低音になる、あのキャラです)で、ボケたり、しゃべったり、歩き回ったり、困ったり、踊ったりしながら、必死に間をつなぐ。そのさまを観ていて、そもそも最初はこの方、俳優ではなく、「観たこともない芸をやる珍しいコメディアン」みたいな感じで、テレビに登場したのを思い出しました。ネタ番組に出て、「笑いながら怒る人」とかやってた頃ね。
ただ、それだけでは最後までもたないと自覚していたようで、後半は、いろいろネタを仕込んでおられました。「チャボさんに捧げます」と、ビートルズの“アクロス・ザ・ユニバース”を、口笛で吹いたり。それを吹く前に、しっかりリップクリームを塗って、笑いをとったり。「楽屋がチャボさんと一緒で、『竹中も1曲歌えよ』って言われたから」と、古井戸の“Love Song”を、アカペラで歌ってみせたり。特にすごかったのが、TRICERATOPSの前の転換中、古井戸を観にライブに通っていた頃の思い出話をしたあとに、その頃チャボさんがやっていたポエトリー・リーディング(“ポスターカラー”の元になったと思われる作品でした)を、自分でも吟じてみせた一幕。ポエトリー・リーディングなんだから、当時ご本人も、ノートに書かれたそれを読んだと思うんだけど、竹中直人、何にも見ずにやったのです。つまり、完璧に暗記していたのだ。終わって「いぇーい、憶えてたぜー!」って言ってたけど、あの瞬間、超満員のZEPPが、「ああ、この人、チャボさん好きなのは知ってたけど、もうほんっとに好きなんだ……」「負けたかも、俺」みたいな空気になりました。すばらしい。

・上記の出演者のうち、ザ・クロマニヨンズとTRICRETOPSはバンドで出演。曽我部と浜崎貴司はひとりで弾き語り。さだまさよしは2人でプレイ。それ以外の、斉藤和義・寺岡呼人・Leyona・奥田民生は、このライブのためのハウス・バンドと一緒にプレイ。ドラム:河村カースケ智康、ベース:林由恭、キーボード:伊東ミキオ、コーラス:Leyona、そしてギターはシアターブルック佐藤タイジと土屋公平(あと、曲によって呼人がギターで入ったり入らなかったり)。という、ちょっと怖いくらいの豪華メンツでした。斉藤和義やOTのバックで、タイジと蘭丸が弾いている画、想像してみてください。すごいでしょ。すごかったです。

・そして、YO-KINGは伊東ミキオミッキーと2人でのステージ。宮沢和史は浴衣姿で、アコギ:石垣隆太、三線:金嶺圭太郎、琉球太鼓:河村カースケ智康と共に、(自分の前の出番だった)「浜ちゃん、すごかったねえ」と賛美してから、“唄”を歌いました。そして。吉井和哉、その前のTRICERATOPS“ポスターカラー”が終わったところにそのまま参加して、3人をバックに“別人”をやったのです! このセッション、ここが初めてではないが、でも、大変にレアです。いいもん観た。なお、間奏でステージ中央に出てソロをキメた和田唱、スーツ姿で赤いセミアコだったので、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の1のダンスパーティーのシーンで、ギターを弾きまくるマイケル・J・フォックスを思い出しました、私。

・セットリストのとおり、ゲスト・タイムのトリは奥田民生。「さっきから楽屋に戻ってくる人がみんな『緊張した緊張した』って言うから、俺、全然緊張してなかったのに……緊張したんすよ」とコメント。客席、大笑い。「なんで俺がトリなんだ」と、呼人に文句も言っておられました。

という時点で、もう、ちょっと、豪華すぎてどうしましょう、みたいなことになっており、最近はどこに行ってもベテラン扱いの曽我部恵一さんも、この場にあっては「小僧の部類」に入ってしまうような空気だったし、実際、もうどのアクトもすばらしかったんですが。それ以降が、さらによかった。というか、すごかった。そう、チャボ・パートです。セットリストは以下。13曲目だけひとりで弾き語り、あとはハウス・バンドと共にプレイ。

13.いいぜBaby
14.HUSTLE
15.ハイウェイのお月様
16.遠い叫び
17.早く帰りたいPARTⅡ

アンコール
18.打破

どうでしょう。びびるでしょうこれは。つまり、見れば明らかなとおり、『OK!!! C’MON CHABO!!!』には入りきらなかった、でもできるもんなら誰かカヴァーして入れてほしかった代表曲たちを、チャボさんが自らやった、そういう選曲だったわけです。ちょっともう、どうしようかと思った。“HUSTLE”とかは、普段のライブでもやってるけど、まさか“ハイウェイのお月様”やるなんて! という話です。なお、この曲は、呼人がリクエストしたそうです。偉い呼人。RCサクセションの『BEAT POPS』のB面ラストに収録の曲です。当時、あのアルバムの作業がほぼ終わってから、清志郎に「チャボも1曲歌いなよ」と言われて、部屋でふたりで徹夜して一晩で作った、というMCのあと、歌ってくれました。レコードで清志郎が歌っていた、後半の「♪こ~ん~やああ~」というコーラスは、Leyonaがつけてました。ああ。泣きそう。

ということを書くために、“打破”で区切ったけど、アンコール、それで終わりではなかったのだった。“打破”まではチャボ&ハウス・バンドでやって、あと2曲は出演者ほぼ全員登場。あ、“打破”からは、バンドに、THEイナズマ戦隊のギター山田武郎も加わりました。
で、アンコールの2曲目でやったのは、

19.雨あがりの夜空に

でした。
私の認識ですが、こんなふうに、いっぱいバンドが出たイベントのアンコールで、みんな出てきて最後に1曲、という時に、洋楽を除くと、最も演奏されることが多い曲です。つまり、日本のロックのスタンダードです。もう何度観たかわからない、こういう場でこういうふうに大勢でこの曲がプレイされている光景。だから、今日のこれも、珍しくないんだけど、ただし、そのセッションのまんなかで、あのギター・リフを作った張本人が、ギターを弾いて歌っている。というのが、大きく、そして圧倒的に、違うところでした。なんか不思議な体験だった。

で、アンコールの最後に、麗蘭の

20.GET BACK

をやり、ステージ上の全員で、肩を組んで一列に並んで一礼。ゲストたちが帰っていったあと、バンドメンバーをもう一回紹介。最後にチャボさんと呼人のふたりがステージに残ったんだけど、照れくさかったのか、チャボさん、「先に帰る」と呼人に耳打ちしてステージを去る。最後に呼人が、シメで、客席にもう一度「OK! C'MON CHABO!!!」とコールさせて、3時間10分にわたるイベントは、幕を閉じた。

もうあらゆる意味で、仲井戸麗市でないと成立しない、ちょっと現実のものとは思えないくらいのイベントだった。素直に、幹事に感謝したいと思います。ありがとうございました。

あと、本編の最後に“早く帰りたい PARTⅡ”をやったのが、チャボさんらしいなあ、と思って笑えたんだけど(本来こういう自分が神輿の上にいるような晴れがましいイベント、苦手なはずなので)、でも曲の後半で「でも今日は、もうちょっとここにいたいぜ!」って叫んでいたのが、なんかとてもよかった。それから、「これで明日からもやっていけるぜ」みたいなニュアンスのことも、言っていた。2010年、めちゃめちゃ過酷に働いていたけど、だからといって2011年は休むわけではないようです。楽しみです。(兵庫慎司)
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