avengers in sci-fi@新木場STUDIO COAST

avengers in sci-fi@新木場STUDIO COAST - pic by Ryo Nakajima (SyncThings)pic by Ryo Nakajima (SyncThings)
3rdアルバム『dynamo』のリリース・ツアーとして、昨年11月13日からスタートし、年を跨いでの大航海史を刻んできた“アヴェンズ”ことavengers in sci-fiの全国ツアー「Delight Slight Flight Tour」。新年早々、熊本公演でボーカル・木幡が頭部を裂傷、4針縫合というアクシデントにも見舞われたが、幸い大事には至らず、遂にファイナル・ディスティネーションとなる新木場STUDIO COASTに到達! キャリア最大規模となるワンマン公演を見届けるべく――加えて、このファイナル限定の音源が販売されるとあって――COASTには早くから熱心なオーディエンスが駆けつけた。

定刻の18時を10分ほど過ぎた頃、開演を告げるブザーと共にオープニング・ムービーが投影され、大歓声のなか3人がオンステージ。観衆の期待感がマックスに持ち上がったところで、“Wonderpower”で一気呵成にテイク・オフ! 明滅するライトとあいまってCOASTはいきなりバーストするような熱狂に包まれ、間奏では「GO! GO!!
GO!!!」と熱烈なハンズ・アップが! フロントの木幡&稲見は時にステージから身を乗り出すようにしてパフォームし、「アー・ユー・レディ? 新木場ー!!」(稲見)とアジテートしてアルバム同様“Cydonia Twin”へ。ドラムス・長谷川の強力なキックと呼応するようにフロアが波打ち、さらに“Universe Universe”のシンフォニックな波動で一気に成層圏突破! その一挙手一投足から、メンバーの並々ならぬ気合いが手に取るように伝わってくる。正直なところ、序盤は少し力み過ぎていたように感じるところもあったけれど(それは終演後、本人たちも口にしていたところだった)、曲を追うごとに飛行態勢は安定性を獲得しつつ加速度を高め、オーディエンスを高揚感の果てへと誘っていくのだった。
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「ファイナルです。ありがとう! 人が多いのはよろしいことです。みんな長谷川先生の親族だって話しもあるけど(笑)」と、最初のブロックを終えて木幡。「まだ元気あるでしょ? 長いけど、ヨロシク!!」、そして「飛ぶぞ、新木場! カモン!!」と稲見がシャウトして、再び“Delight Slight Lightspeed”、“Hyper Space
Music”と畳み掛ける。ギター/ベースを掻き鳴らして歌い踊り、無数のエフェクターを巧みにスイッチングし(木幡の足もとには25個ほどもセットされているそう)、傍らのシンセサイザーも操ってと、通常のバンドマンの何倍もの作業量を余裕でやってのけつつ、積極果敢にオーディエンスとも立ち向かってアヴェンズ・ワールドへと牽引していく3人は、間違いなく過去最高レベルの引力を放っていたと思う。「あの、ここは夜になると“ageHa”って名前に変わるんだよね? 夜になると本性を表すっていうネーミング・センスがいいなって思ってて。みんな、ひと足先にageHaになっちゃいますか!? ……今のはツイートとかしないように(笑)。じゃあ、ageHaになっちゃおうか!!」と木幡が呼びかけ、“There He Goes”、“Caravan”、“Future Never Knows”、“Intergalactic Love Song”といったBPM値を抑えた中盤のドラマチックな楽曲群では、その卓越した表現性を存分に見せつけた。

終盤には、ドラムス・長谷川もMC――「SHINKIBA! お前ら待ってたゼ! 長い長いツアーだったけどな、それも全部この日のためだ!!
お前ら全員踊り狂わせてやるからヨロシク!!」と、往年のハードロッカーを彷彿とさせる熱血MCで場内は大笑い……もとい、大盛り上がり。それを受けて木幡、「じゃあ、狂っちゃおうか?(笑)
一緒に狂ってくれるゲストを呼んでます――」と、盟友・the chef cooks meを呼び込んで“Before The Stardust Fades”へ。chefの3人がトライバルにパーカッションを叩き鳴らして狂騒の度合いを高め、さらに「踊ろうぜ! 新木場、踊ろうぜっ!!」(木幡)と執拗に焚きつけて“Beats For Jealous Pluto”→“Homosapiens
Experience(Save Our Rock Episode.1)”とバンド屈指のアッパー・チューンで畳み掛け、目も眩むような熱狂が現出!
その勢いのまま本編を駆け抜けるのかと思いきや、最後は8分越えの大曲“Space Station Styx”で壮大なドラマを描き出し、オーディエンスを残らず魅了したアヴェンズだった。

アンコールでは“Starmine Sister”、“NAYUTANIZED”と代表曲を繰り出して、ハッセ(長谷川)の親族もろともテッペンへ!
「最高でした! またライブで会いましょう!!」(木幡)と喝采を浴びてメンバーが去ると、ステージには再び映像が投影される。この日限定発売された「El Planeta / Death」をBGMに、ツアーの全行程やスタッフ・クレジットの記されたエンドロールを見ていると、安堵や名残惜しさの入り交じった感慨が沸き上がってきて、妙にセンチメンタルな心持ちになってしまった。しかし、“輪廻転生”という思想性を根底に持つ彼らにとっては、終わりは新たな物語の幕開けに他ならない。そう、アヴェンズの“ネクスト”は既に始まっているのだ。(奥村明裕)
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