Dragon Ash @ SHIBUYA-AX

Dragon Ash @ SHIBUYA-AX
Dragon Ash @ SHIBUYA-AX
Dragon Ash @ SHIBUYA-AX
Dragon Ash @ SHIBUYA-AX
ニュー・アルバム『MIXTURE』のリリース・ツアー『Dragon Ash Tour Rampage』の2本目=SHIBUYA-AX、2デイズの2日目。ツアー、始まったばかりでこのステージ? 嘘ぉ。ツアー・ファイナルじゃん、この完成度。と、観終わってまず思いましたが、考えたらここ数年、Dragon Ashはいつも必ずそうです。

今回のツアーは、オープニング・アクトを務めるバンドを公募、公式サイトで一般から投票を行って決定、東京・名古屋・大阪・仙台・福岡の公演に出演、という企画あり。で、今日ステージに立ったのは、東京を中心に活動している秘密ロッカーというバンド。アッコ(vo)・たも(g)・ミック(b)・アッキー(ds)の4ピース、ボーカルとドラムは女の子、ギターとベースが男。音はラウドでストレート、ボーカルは「歌とラップの中間、やや歌寄り」みたいに、メロの抑揚なしでいかにビット数の多い言葉を吐き出すかに賭けるスタイル。25分をまるで1曲のように全力疾走するステージでした。すごいテンションだった。特にドラム、棍棒みたいな太い音を前につんのめり気味で叩き出し続ける、洋楽でいうとザック・スターキーみたいなタイプで、アクションも含めてやたらかっこいい。僕は、東京インディ・シーンにおける女性ロック・ドラマーのトップは、元COLORS DEPARTMENT・現L.iのウツミエリだと思っているんだけど、この人もかなりいい線いっています。覚えとこう、このバンド。


続いてDAのステージ。アルバム『MIXTURE』の冒頭のオープニングSEが鳴り響き(“Intro”ってクレジットされてるあれです)、BOTSとATSUSHIとDRI-Vの3人がまず登場、BOTSはスクラッチ、ATSUSHIとDRI-Vが交互にダンス。続いて他のメンバーが出てきて、揃ったところで“RAMPAGE”“SOCIABLE DESTRUCTION”を連発、という、アルバム『MIXTURE』そのまんまのスタートでした。

それ以降も、『MIXTURE』の曲を中心に、過去の代表曲を織り交ぜていくセット。6曲目“ECNOMY CLASS”が終わったら、野太い声で関西弁のアジテートが響き、「お、これは!」と思ったら、やはりTAKUMA(10‐FEET)が現れ、“SKY IS THE LIMIT”に突入、というサプライズあり。後半にプレイされた “ROCK BAND”では、やはりというか、来てくれなきゃできないというか、SATOSHIとKO-JI ZERO THREEの2MCが登場しました。

で。さっき「過去の代表曲」って書いたけど、それが何だったかっていうと、たとえば“morrow”だったり“La bamba”だったり“百合の咲く場所で”だったり“Fantasista”だったりするわけで、つまり最高なんだけど、ただし、ライブ全体のトーンはそっちじゃない。完全に『MIXTURE』のモードだ。って、ステージの上がそうなのは当然だけど、フロアもなのだ。
Dragon Ashくらいキャリアが長く、ヒット曲や代表曲がいっぱいあると、最新アルバムの曲よりもそっちが期待されるし、そっちの方が盛り上がることになる。って、それは別に悪いことではない。というか、普通そうなる。最近初めて聴いた曲よりも、自分の人生のサウンドトラックとして長くなじんできた曲の方が思い入れが強い、というのは、誰だってあたりまえなので。ただ、今のDragon Ashの場合、もちろん昔の曲も死ぬほど盛り上がるしシンガロングも起きるけど、基本はみんな、ニュー・アルバムを何度も何度も聴いて、今の、一番新しいDragon Ashを知って、そしてそれを観たくてもうワクワクしながらここに集まっている。ということが、その場にいると、ほんと、身体でわかるのだ。
そうすると、どういうライブになるか。すんごいいい空気のライブになるのだ。もう、頭っから最後まで多幸感に満ちた時間。ただ、パーティーとかお祭りみたいな多幸感じゃなくて、なんというか、もっと地に足のついた、シリアスでストイックな多幸感だ。「シリアスでストイック」と「多幸感」ってなんか矛盾してるけど、でもほんと、そんな空気だった。
これ最高だなあ。で、バンド、うれしいだろうなあ。と、ほんとにいい笑顔でフロアにマイクを向けるKjを観ながら思った。ただ、そういうファンが集まっているのは、Dragon Ashが長い年月をかけて、偶然やなりゆきではなく自らの意志でもって、そういうバンドになっていったからなんだけど。

あと、「ロック・バンドによるダンス・ミュージック」として、今のDragon Ashは本当に優れている。と、観るたびに思うんだけど、今回もやはり、そして強く、そう思った。数年前は、もっとラウド・ミュージックやパンク方面に寄った音だったけど、ダイヴ・モッシュの問題が深刻化してきたので、じゃあ飛ばなくてもオーディエンスがアガれる音を作ろう、それは何だろう、と考えて、ラテンを取り入れたりして、今の音楽性になっていった。というようなことを、前にKjはインタビューで言っていたけど、そのDragon Ashのダンス・ミュージック、ほんとに進化が止まらない。観るたびに必ずどこか新しくなっている。で、それが、ライブだとよりいっそうはっきりとリアルにわかったりする。レーベルが2Fの関係者席を用意してくれて、でも最初はちょっと1F で観よう、と下りたんだけど、結局本編の最後までそのまま観ました。座って観るのがもったいなくて。(兵庫慎司)
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