OKAMOTO'S@恵比寿リキッドルーム

OKAMOTO'S@恵比寿リキッドルーム
OKAMOTO'S@恵比寿リキッドルーム
「今年最後のワンマン・ライブ! イエーイ! 大阪で昨日やって、ずーっと走って帰ってきた。全っ然疲れてない!」とオカモトショウ(Vo)がいかにもロック・バンド然としたMCをビシッとキメて、満場のフロアから熱い拍手喝采を集めたーーと思ったら「乗ってただけなんですけどね」「ずーっとゲームしてたじゃん」「『モンハン』やってたじゃん」とハマ・オカモト(B)ら他のメンバーから矢のようなツッコミが入る。そんなグダグダ具合も、ひとたび演奏に入ればエネルギッシュなロックンロールの洪水によって一気にリセットされる。20歳そこそこの若さで早くも「ロックンロールの未来を担う新鋭」として熱い視線を集めている4銃士・OKAMOTO'S、12月の東名阪ワンマン+来年1月から3月にかけての対バン全国16本からなる「OKAMOTO'S Live Tour 2010-2011 『Bring The BEAT! Bring The NOISE!』」、そのワンマン3連戦の最終日=リキッドルーム公演(実はハマ・オカモト加入後では初の東京ワンマン)は、この1年で急激に高まった期待(とそれに伴うプレッシャー)すら楽しんでみせるかのような、アグレッシブで溌剌としたアクトだった。

1曲目“Stomp Feet Stomp”から勢い余って立ち上がりながらドラムを連打する新世代の手数王・オカモトレイジ(Dr)。“Beek”の鋭利なリフもファンキーで粘っこいカッティングも自在にこなしながら、楽曲にドライブ感を与えていくオカモトコウキ(G)。ハイ・ポジションにベースを構えた直立不動の姿勢から、あたかもグルーヴ生き字引のような佇まいで多彩なフレーズを繰り出していくハマ・オカモト。そして、マラカス振り回しブルースハープをぶいぶい吹きまくりながら、ロックンロールの艶とエネルギーを発散していくオカモトショウ。そのビートを貪欲に身体全体で浴びながら、フロアのキッズは序盤から熱く踊り、跳ね、拳を突き上げまくっている。

ザ・フーやストーンズをはじめ60~70sロック・レジェンドの音楽からその核心だけを高純度抽出して21世紀に勢いよくぶちまけたようなストレートなOKAMOTO'Sのスタイルだが、彼らのロックンロールの爽快さを支えているのは、その快活さの裏にあるインテリジェンスだ。彼らのことをつい「ロックンロールの恐るべき子供たち」とか呼んでしまう訳知り顔のおっさんたちの講釈に対しても鬱陶しがったり中指立てたりすることもないし、彼らのあまりに直球ど真ん中なロックンロール・ラバーぶりにしたって「これが好きだからやってんだ文句あっか!」的な頑さではなく「自分たちのやり場のない憤りをアウトプットするために膨大なロックのアーカイブと向き合って『それ以外の可能性』を1つ1つ丹念に潰してきた結果としてロックンロールを選び取った」とでもいうような、決然とした意志を感じさせるものだ。

「最近、OKAMOTO'Sは結構忙しくしてて。11月3日に出したアルバム(『オカモトズに夢中』)を持って、いろんなところに広めに行ってたから」とプロモーションにと跳び回っていた日々を振り返るオカモトショウ。昨年6月には『Here are OKAMOTO’S』を、今年5月にはメジャー・デビュー・アルバム『10'S』、11月には『オカモトズに夢中』を……と、この1年半で実に3枚のアルバムを連射してきたOKAMOTO'S。この日の内容はまさにその3作を一気にダイジェストしつつ、新曲も2曲盛り込みつつ、本編16曲+アンコール3曲の中で彼ら4人の「今」と「これから」を大放出してみせた、充実のアクトだった。カラッとした陽性ナンバー“Telephone Telephone”も、“マダラ”の赤黒く渦巻く狂騒感も、ルースターズのカバー“恋をしようよ”のブレーキ壊れたほぼ倍速の疾走ぶりも、“人間大嫌い”で会場全体を「人間大嫌い!」の合唱に導いてみせたロックンロール愉快犯ぶりも、メンバー紹介でジミー・ペイジばりのヘアスタイルのオカモトコウキを指して「OKAMOTO'Sサウンドは彼の頭の中にある!……だからそんなに膨らんでんの?」と笑いを誘ってみせたオカモトショウのMCも、「このメンバーでの東京ワンマンは実は初めてなんですよね」(ショウ) 「まだちゃんと『入ってくれ』って言われてない!」(ハマ)といった、中学からずっと一緒だからこそのテンポのいい掛け合いも含め、オールド・ロックンロールをぴっかぴかの最新型にチューンナップして爆走中のOKAMOTO'Sならではの躍動感に満ちている。

アンコールではスペシャル・ゲスト=うつみようこ(ショウの英語の「先生」だそうだ)を招いてザ・フーの“The Kids Are Alright”を披露した後、熱気むんむんのフロアを見回して「こんなに人が来てくれるとは思わなかったよね」とレイジ。「これが出発点で、ここからまだまだ駆け抜けていくんでね」とショウ。「これ、言っちゃっていいんだっけ?」と言いつつ、「来年4月に『Bring The BEAT! Bring The NOISE!』ツアーの東名阪追加公演が決定、東京では再びここリキッドルームでワンマン・ライブ開催」とインフォメーションすると、ひときわ高い歓声が沸き上がる。ラスト“キモチとキモチ”の最後の1音を渾身の力で叩きつけ、「また会おうぜ! ありがとう!」というショウのコールとともに4人がステージを後にするまで2時間弱。ロックンロールの未来そのもののような、胸のすくようなダイナミックなアクトだった。(高橋智樹)


[SET LIST]

01.Stomp Feet Stomp
02.Insane Man
03.Beek
04.The “M” Song
05.笑って笑って
06.20
07.新曲
08.誘惑ブギー中毒ver.(メドレー)
09.ハッピーワールド
10.新曲
11.Telephone Telephone
12.おやすみ君のこと
13.マダラ
14.恋をしようよ
15.Run Run Run
16.人間大嫌い
EC1.The Kids Are Alright(w/うつみようこ)
EC2.トンネル天国
EC3.キモチとキモチ
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