ONE OK ROCK @ 日本武道館

ONE OK ROCK @ 日本武道館
ONE OK ROCK @ 日本武道館
「今日は11000人がここに来ています! 正直ビックリしてます。このまま時間が止まってほしいとも思うし、でも、次に進みたいっていう気持ちもあるし。すごく複雑な気分です」

最新アルバム『Nicheシンドローム』を引っさげ全国ツアー『ONE OK ROCK 2010 "This is my own judgment" TOUR』真っ最中のONE OK ROCK。そのツアーの一環として『THIS IS MY BUDOKAN?!』と題して、初の日本武道館ライブを行った。オーディエンスが密集した、いつもの濃密なライブハウスという空間から場所を移して、今日はステージを囲むように客席が設置されている広大な武道館という空間で、彼らは得も言われぬ一体感とオーディエンスの心をしっかり掴んで離さない求心力で、その先にある目標地点まで共に進んでいくような前進力を私たちに見せてくれた。いつまでもこの時間を共有していたいと思う気持ちはオーディエンスもきっと同じだったと思う。

場内暗転とともに怒号のような大歓声が沸き起こる中、突如ドラムのTomoyaにスポットライトがあたり、地鳴りのようなリズムを鳴らしては、また暗転する。この演出がまた憎いくらいにかっこいい。徐々にメンバーが加わっていき、最後に勢いよくステージに突入してきたのはTaka(Vo)。「俺たちがONE OK ROCKだー!!」という堂々たるシャウトからアルバムのオープニングを飾る“Never Let This Go”でライブはスタート。「お前らの今日の気合いを見せてみろーーー!」と初っ端から観客を煽っていき、今にも爆発しそうなエネルギーを放出していく。まだ始まって間もないというのに2曲目“夜にしか咲かない満月”では「暴れていけーーー!!」とマイクをオーディエンスに預けてしまうほど、武道館全体が急ピッチにヒートアップしていった。

「今日はお祭りみたいなもの。だから、サプライズ的に普段あまりやらないような曲もやります!」と言うと、ファースト・アルバムから“カゲロウ”をプレイ。オーディエンスはたちまちこぶしを突き上げ、飛び跳ね、割れんばかりの大歓声に包まれ、武道館を揺らしていく。その熱さを一瞬クールダウンさせるかのようにミディアム・テンポで壮大に広がっていく“Living Dolls”で、美しい声をどこまでも伸びやかに聞かせてくれる。全身全霊を捧げるように歌い上げるTakaの姿には、思わずグッとこみ上げるものがある。

「今までにいろんなバンドが武道館でライブをやっていて、(ステージで)『ブドウカーーーーン!!』って叫ぶのは、みんなやってると思うんだよね。だから、今日、今これからはもう一切『武道館』って呼びません。これからは『九段下』って言います!」と「九段下のみなさーん!」と武道館改め九段下をさらに熱く燃え上がらせたのは“完全感覚Dreamer”。足を大きく開いて頭を振り乱しながら重厚なベースラインを繰り出すRyota、確実なテクニックに裏づけされたダイナミックなリズムで客席を揺らすTomoya、ラウドに突き抜けるギターで煽動していくToru、そして、より観客を近く感じようとステージの端から端まで駆け抜けながら叫び歌うTaka。激しさを増すほどに一糸乱れぬ4人のパワフルなプレイが炸裂し、観客を巻き込んでいく。

「今まで何枚もアルバムを出してきたけど、今回の『Nicheシンドローム』は俺らにとってすごく意味のあるアルバムができたと思っているから、ツアーを頑張って回っています。バンドを組んでいろんなことを教わった。言葉では言い尽くせないことだけど、伝えたいことを話します」とこれまでのストーリーを振り返るようにTakaは語り出した。今日初めてライブに来た人は、他のバンドのCDを聴いたり、ライブにも足を運んでみてほしいということ。すべてのバンドは「生きろ」というメッセージをもってやっていると思うから、あきらめずに生きてほしいということ。Takaは「バンドで世界を変えられると思っているから」とまで話していた。頭ではそんなに生易しいものではないと思ってしまうけど、いや、ひょっとしたら実行さえすれば、本当にそうなるかもしれないと思わせるほどの説得力が今のONE OK ROCKには備わっている。その後に披露された新曲『アンサイズニア』(2月16日にニュー・シングルとして発売決定!)は、無駄を削いだシンプルでスピード感溢れるバンド・アンサンブルにキャッチーなメロディが乗った印象的な楽
曲。Takaの言葉を全身で受け止めていくようにかみ締めた。

そして、早くもライブは終盤戦に突入。“Viva Violent Fellow~美しきモッシュピット~”ではオーディエンスがくるくると回すタオルで武道館中が覆い尽くされて本当に壮観だったし、“独り言ロンリーナ”のコーラスを掛け合いしていくシンガロングは本当に爽快だった。本編ラストの“内秘心書”で生み出された最高の一体感によって、メンバーとオーディエンスとを繋ぐ信頼関係が結束力となって表れていた。

アンコールでTakaはこんなことを語っていた。高校を辞めるときに先生からは「辞めてどうするんだ」とか、周りの友達からも「終わったな」とか言われたときもあった。めちゃくちゃ悔しかった。でも、その悔しさを忘れなかったから、その悔しさがあるからこそ、今、自分はここに立ってるんだと思うということ。そして、バンドを組んでいろんなことを教わり、メンバーの脱退などさまざまな困難を経て、今こうしていられるのは、支えてくれたスタッフや今日ここに集まってきてくれたお客さんのおかげだということ。ONE OK ROCKは苦悩や悲しみ、悔しさを背負いながらも、それをバネに前進し、今日武道館という一つの到達点に立った。“努努-ゆめゆめ-”で途中、「俺らだってできるんだから、お前らもできるはず! がんばれ!」とシャウトしていたのだけど、困難を乗り越えてきた今の彼らだからこそ、伝えられる重みのある言葉だと思った。最後の最後は「お父さん、お母さん、生んでくれてありがとう! 俺は今ここに立ってるよ」と両親への最大の感謝を込めて“Nobody's Home”で締めくくった。バンドのこれまでのスト
ーリーと、そして、その先の未来を見せてくれたパワフルなステージだったと思う。ツアーはこの先、12月11日の沖縄公演まで続き、来年2月16日にはニュー・シングルと今日の模様を収めたライブDVDが同時発売される予定だ。(阿部英理子)

1.Never Let This Go
2.夜にしか咲かない満月
3.皆無
4.Shake it down
5.未完成交響曲
6.カゲロウ
7.カラス
8.Living Dolls
9.アダルトスーツ
10.完全感覚Dreamer
11.Wherever you are
12.Yes I am
13.じぶんROCK
14.Liar
15.アンサイズニア(新曲)
16.恋ノアイボウ心ノクピド
17.Viva Violent Fellow~美しきモッシュピット~
18.独り言ロンリーナ
19.内秘心書

アンコール
1.(you can do)everything
2.努努-ゆめゆめ-
3.Nobody's Home
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