LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS +(plus) @ 恵比寿リキッドルーム

LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS +(plus) @ 恵比寿リキッドルーム
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS +(plus) @ 恵比寿リキッドルーム
LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS +(plus) @ 恵比寿リキッドルーム
11月11日はイッちゃんの日! しかもソロ・キャリア11年目というところまで数字が揃った、今年の恵比寿リキッドルーム・ワンマン公演である。開演前のSEでは“ANARCHY IN THE UK(RE-TAKE VER.)”や“Time After Time”といった、先頃リリースのカバー集『MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01』からの楽曲群がオーディエンスを迎え入れてくれる。ソールド・アウトとなった会場は、開演前から早くも熱気ムンムンだ。

様々なメンバーとの、様々なバンド形態でのライブで知られるイッちゃんだけれども、今回はTHE RHYTHM MAKERS +(plus)という名義。つまり、ドラムにTDC(FRONTIER BACKYARD)、ベースに村田シゲ(CUBISMO GRAFICO FIVE、□□□)というトリオ編成に、プラスαであると。客電が落ち、ステージの幕が開いてそこにメンバーたちの姿が露になったところで、その全貌が明らかになった。ドラム・セットがステージの上手下手に1組ずつ置かれている。ツイン・ドラム編成なのだ。上手で叩く長髪の男は、TOTALFATのBuntaである。

「LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERSプラスワン! 行きま~す!」とギターを掻き鳴らすイッちゃんを中心に、オープニング・ナンバーの“NEW THINGS”からパンキッシュに転がり出した。フロアは早々に揉みくちゃになってしまっている。ステージ上のメンバー全員がベストを着ていて、イッちゃんはダウン・ベスト。かっこいいけど、暑くないのだろうか。新旧織り交ぜながらのセット・リストで、大きなシンガロングやハンド・クラップを巻きながらLOW IQ 01ナンバーを次々に繰り出してゆく。常に新しいキッズを招き入れながら熱狂を生み出してゆくイッちゃんの衰え知らずな現役感は、何度目の当たりにしても頭が下がる。フレッシュな音楽を生み出し続ける若々しいイッちゃんが凄いのか、イッちゃんに若々しさをキープさせるフレッシュな音楽が凄いのか、とにかくそれは魔法のような力だ。ただしそれは、目に見える明らかな現実なのだが。

4曲目の“Makin’ Magic”をプレイし終えたところで、さすがに全員がそれぞれに着込んだベストを脱ぐ。暑い暑い。Buntaは、ド派手な星条旗柄のタンクトップ姿になっている。これが似合う男というのもなかなかいない。そしてイッちゃんが切り出した。「久々のライブです。メンバーそれぞれ忙しいのに、付き合ってくれてありがとう! そしてユー(お客さん)、ユー、ユーたち!」。“A.A.A.(Again And Again)”のマシンガン・ボーカルがぶっ放され、そのあとには“Miracle”“Rules”といったキャッチーな楽曲が続く。

ヘヴィな曲も疾走感に満ちたパンキッシュな曲も、そして陽光に包まれるような暖かいポップ・ナンバーも(或いは、そのすべてが1曲に盛り込まれていたりする)。貪欲で多彩なイッちゃんのソング・ライティングを、圧巻のツイン・ドラムが支える形でパフォーマンスが進む。2人のドラマーは師弟関係というふうに紹介されていたが、TDCは円軌道を描くような滑らかなフォームでドラムを打ち鳴らし、一方のBuntaは直線的でソリッドな、力強いビートを刻む。この2人がすべての楽曲においてしっかりと叩き分けをしているのだ。個性が立った2組のドラム・セットは、まるで異なる楽器のように鳴り響くのが分かる。ボーカルやギターやキーボードといったパートで考えたら当たり前の話なのかも知れないけれど、これは素晴らしい体験だ。Buntaは2日後にTOTALFATのツアー・ファイナルを控えているのだが、技術面においても体力面においても、全力を注ぎ込んでいる。

さて、イッちゃんは中盤のMCですでに「今日良かった!」とオーディエンスの盛況ぶりに早くもご満悦だったのだが、後半になると「でもねえ、おれだって凹むことあるのよ。みんなと一緒。凹んだときはおれのライブ来てください。それでおれも、救われる! 過小評価されてるのよ。知る人ぞ知る、みたいになっちゃってさあ。ACIDMANのオオキに言われたの。凄い音楽やってるのにって。そんな身内の励ましをモチベーションにしているLOW IQ 01です!」と語っていた。立ち振る舞いのかっこよさやライブの熱狂だけではなくて、彼のこんな開けっぴろげでひた向きな音楽人ぶりを、ファンは愛して止まないのだと思う。

椅子に腰掛けてトロピカルでロマンチックなアコギを爪弾いたり、オーディエンスのハンド・クラップからスタートした“T・O・A・S・T”では「お客さん! 上がってきちゃダメだよ!」と言いながらステージ袖で観ていたイッソンこと磯部正文を招き入れてマイクを預けたり、終盤まで魅せまくる大サービスのパフォーマンスだ。そしてファストに転がる“Super Prodigy”、ラストは《ウォーオーオオオ》とフロアにシンガロングが広がる“GOT LUCKY”へ。『MASTERPIECE MUSIC MAKES LOW IQ 01』からのカバー曲は披露されずにオリジナル曲のみの演奏だったけれど、ツイン・ドラム編成でのどこまでも力強いパフォーマンスが新鮮なステージであった。

アンコールでは、「観てるみんなもそうだと思うけど、やっぱ新鮮。やっぱ初心忘るるべからずですよ。じゃあやろうかな、初心に戻って」と、Super Stupidのナンバーも披露された。ハードコア・スピリットとポップさが共存する“ROCK OF TRUTH”の演奏は、もはやパンクの達人芸と言えるものであった。さらにダブルアンコールではイッちゃんが「僕なりの正装です」と蝶ネクタイを締めて登場する。その脇でBuntaが上半身裸なのがおかしい。彼なりの正装なのだ。“Little Giant”でのフィニッシュには再びイッソンが飛び出してフロアを煽り立て、イッちゃんはシゲと楽器をスイッチしてベースを激しくスラップしまくっていたのだった。

なお、本編中に「凄い新曲が録れたのよ~」という話もあったのだが、2011年1月12日、LOW IQ 01のニュー・シングル『DIS IT』のリリースが決定した。新曲3曲に既発曲リミックスが2曲の、計5曲が収録予定とのこと。ファンはぜひ情報をチェックして、リリースを楽しみにしていて欲しい。(小池宏和)

セット・リスト
1:NEW THINGS
2:SWEAR
3:五日はまた雪(More Speed Ver.)
4:Makin’ Magic
5:A.A.A.(Again And Again)
6:Miracle
7:Rules
8:4/5(80%)
9:LOW IQ & THE BEAT BREAKER
10:F.A.Y. (FIGHT AGAINST YOURSELF)
11:YOU CAN’T HAVE IT ALL AT ONECE
12:So Easy
13:WAY IT IS
14:YOUR COLOR
15:T・O・A・S・T
16:Super Prodigy
17:NOT ALONE

EN1-1:ROCK OF TRUTH (Super Stupid楽曲)
EN1-2:I GET GOOD SUNDAY (Super Stupid楽曲)
EN1-3:GOT LUCKY

EN2-1:Game
EN2-2:Little Giant
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